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チーズに賭けるブランド再生
「縮み経営」の陰で大胆な改革が

雪印乳業

  • 小林 暢子

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2009年4月1日(水)

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2度の品質問題で企業解体の危機に瀕(ひん)した雪印乳業は、市乳部門を分離し、乳製品専業メーカーとして再生を誓った。
そのカギとなったのが、2007年に投入したチーズの新ブランドだ。
社運を賭けたプロジェクトとして、生販管理の体制を強化する一方、顧客の声に耳を傾け、社員の意識改革も遂行した。
チーズ事業を成長軌道に載せた2009年秋、日本ミルクコミュニティとの経営統合によって、総合乳業メーカーとして再スタートを切る。

(文中敬称略)<日経情報ストラテジー 2007年7月号掲載>

プロジェクトの概要

 2000年の食中毒問題、2002年の子会社による牛肉偽装問題という2度の不祥事を起こした雪印乳業は、2003年に総合乳業メーカーからバター、チーズなど乳製品の専業メーカーに転じた。市乳部門などを切り離し、社員数は6000人から1400人まで減少。黒字転換を追求するために、徹底したコスト削減を実施し、広告宣伝もほとんど打たなかった。

 再建の最終目標である株主への復配を実現した今春、一転して成長戦略を打ち出す。北海道産原料を100%使用したチーズの新ブランド「雪印北海道 100」を積極的に拡販し、次代を担う基幹事業と位置付ける。SCM(サプライチェーン・マネジメント)システムによる在庫コントロールや、コンプライアンスへの取り組みを通じて身につけた顧客志向を武器に、シェアアップのみならずチーズ市場の活性化も狙う。

雪印社員が来場者に新ブランドのサンプル商品を配る。管理職が休日を返上して集まり、会場設営も行った。スキー部の斉藤浩哉、原田雅彦も参加(横浜市のこどもの国牧場で) (写真:的野弘路)

 「おっいしいチーズはゆっきじっるしー」

 2007年4月中旬。横浜市郊外の遊園地「こどもの国牧場」のイベント会場で、子供たちがステージに向かって腕を振り上げる。掛け声をかけてじゃんけんゲームの音頭を取るのは、長野五輪ジャンプ金メダリストで、現在は雪印乳業スキー部コーチを務める原田雅彦。同部監督の斉藤浩哉とトークショーを繰り広げるこのイベントは、雪印乳業が今春発売したチーズの新ブランド「雪印北海道100」のプロモーションの一環だ。ゲーム終了後は、副社長の高原憲一をはじめとする幹部社員が、そろいのユニフォームで1000人近い来場者にサンプル商品を手渡す。

 札幌を皮切りに、日本全国で開催されるこうしたイベントには、新ブランドに賭ける雪印の並々ならぬ期待が込められている。シェアアップのみならず、国産チーズ市場全体の拡大を担う戦略商品として。そして、2度の不祥事で傷ついた雪印ブランドを再び浮揚させる原動力として。

今出さなければ意味がない

 「雪印北海道100」は雪印が6年ぶりに発売した新ブランドだ。原材料に北海道産の生乳のみを使用し、食の安全に関心を持つ消費者に訴求する。スライスチーズやクリームチーズなど19品目をそろえた。「発売後1カ月を経て売れ行きは期待通り。特にスライスチーズは主要取引先のほぼ100%が取り扱ってくれた。通常の新商品はよくても8割の扱い。ブランドのコンセプトと商品の良さの両方を理解してもらえたようだ」。新ブランド立ち上げをけん引した家庭用事業部営業企画グループ課長の稲葉聡は、好調な出足に胸をなで下ろす。

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