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近代国家の限界と21世紀型の国家像

『国家の崩壊』から考える日本企業の雇用問題

2009年4月3日(金)

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 『国家の崩壊』(日本経済新聞出版社刊、原題 The Breaking of Nations : Order and Chaos in the Twenty-First Century)というなかなか面白い本がある。刺激的なタイトルとは裏腹に、落ち着いたトーンで21世紀の国家(及び国家連合)像について語る好著だ。

 英国の外交官である著者ロバート・クーパーは、国家をプレ近代、近代、ポスト近代の3類型に分けて考える。内戦などでカオス状態にある「プレ近代国家」。確立された国民国家(ネーションステート)であり、自国の安全保障の手段として軍事力に依存する「近代国家」。そして、安全保障のためには相互に透明かつオープンであること、相互に良好な政治関係を維持することを、軍事力よりも重視する「ポスト近代国家」だ。

 クーパーはこの3類型について、歴史を踏まえながら、21世紀の国家像、特に「ポスト近代国家」の在り方について詳述していくのだが、いかにも英国の教養人らしい、切れ味の良い「修辞」があちこちに顔を出す。例えば、「古代及び中世の世界にとって、選択肢は帝国と無秩序しかなかった」だとか、「コミュニズムとファシズムは、どちらも、啓蒙思想と産業革命のテクノロジーがもたらした社会の近代化に抵抗しようとした試みだった」といった具合だ。

 この「修辞」自体が魅力なのだが、もちろん具体的な論考そのものもしっかりしている。あえてごくごく単純化すれば、以下のようなことが述べられている。

 「近代国家」は、軍事力を保有し、場合によっては戦争という手段によって自国の主権を守ろうとする。しかし、これが行き過ぎると、主権防衛をうたいながらも、ほかの主権国家を侵略したり、版図に加えたりする「帝国」主義になってしまうことは、史上何度も起こったことだ。

 また、通常の近代国家は、文化や民族に一定の共通性を有する「国民」という存在を中心に国民国家を形成していくのだが、米国は自由と民主主義という「イデオロギー」を中心に国家を形成してきた。このため、このイデオロギーをベースとした独特の「帝国」主義的傾向を持つことになりがちだ。その米国が圧倒的な軍事的優位を持つ故に、これに反発する国も後を絶たないということになる。

 さらには国家ではなく、もっと小規模なグループからのテロでも主権国家に対して大きな脅威を与えるようになってきたため、従来型の「国家間の勢力均衡」を通じた安全保障戦略が必ずしも有効なものではなくなってきている。

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「近代国家の限界と21世紀型の国家像」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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