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反逆としてのセゾン流通革命

常識の源流対論・辻井 喬 (その1)

2009年4月14日(火)

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 辻井 今日はとても楽しみにしていたんです。伊東さんとはお目にかかりたかった。

 伊東(以下――) 過分なお言葉です。

 辻井 ただね、こうやって初めてお目に掛かる媒体が「日経BP」っていうのが意外で。どうもまだ、その、イメージが繋がらないんですね。

 ―― とおっしゃいますと?

 辻井 私が受けている日本経済新聞、日経BPはまさにビジネスのメディアという感じで、それはそれなりに権威があって。ただ最近の理論的な傾向は間違っていると思うけれどね。つまり自由競争を中心に考えるというのは、どんなものかな?と感じています。そういうビジネスの傾向と、私が持っている伊東さんのイメージとどう繋がるか、よく分からない。

 ―― 音楽家としての、あるいはある種の物書きもする僕の仕事と、日経というメディアは、確かに距離があるかもしれません。そこからお話を始めましょう。もちろん僕は新自由主義を礼賛しているわけではありません。ただ経済も含め、僕の本来の仕事である芸術の仕事を考える上でも、実は辻井さんが作ってくださった環境で育てて頂いたというのが、実は本当のところなのです。

 辻井 どういうことですか?

環境としてのセゾン文化戦略

 ―― 実は、僕の一番古い辻井さん・・・その当時は堤清二さんとしてですが・・・の記憶は小学校1年生まで遡ります。辻井さんは僕には小学校の大先輩に当たられます。辻井さんご自身が卒業生で、また現在は理事長を務めておられる国立学園小学校で、お名前を初めて伺いました。もう40年近く前のことです。

辻井 喬 (つじい・たかし)氏
詩人・作家。本名、堤清二。1927年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。55年に詩集『不確かな朝』を刊行、以来数多くの作品を発表。2006年に第62回恩賜賞・日本芸術院賞を受賞。日本芸術院会員、日本ペンクラブ理事、日本文藝家協会副理事長。詩集に『異邦人』(室生犀星詩人賞)、『群青、わが黙示』(高見順賞)、『鷲がいて』(現代詩花椿賞、読売文学賞詩歌俳句賞)、『自伝詩のためのエスキース』(現代詩人賞)など、小説に『いつもと同じ春』(平林たい子文学賞)、『虹の岬』(谷崎潤一郎賞)、『沈める城』、『風の生涯』(芸術選奨文部科学大臣賞)、『父の肖像』(野間文芸賞)、『書庫の母』、『遠い花火』など。また、評論・エッセイ集に『新祖国論』など、講演録集『憲法に生かす思想の言葉』がある。(写真:大槻 純一、以下同)

 辻井 国立学園にいらした、卒業生?

 ―― 昭和46年の入学、52年春の卒業です。

 辻井 それは光栄だなぁ。

 ―― いえ、とんでもないです。当時はもちろん西武百貨店や西武電車のことはきちんと分かっていなくて・・・まだパルコなんか出来る前か出来たばかりでしたし。

 辻井 そうですね。

 ―― これが本当の原体験ですが、次に中学高校時代、僕が専門的な音楽の勉強、特に前衛的な音楽の傾向を、美術や文学とも関わりをもって、世界の先進地域と時差なく学ぶことができたのは、渋谷や池袋の西武、それにパルコなんかのおかげでした。

 とくにセゾン劇場での武満徹監修の音楽祭「ミュージック・トゥデイ」。それから池袋西武の中にあった楽譜店「アール・ヴィヴァン」の存在が圧倒的で。20歳を過ぎて、ご縁があって、今度はその「ミュージック・トゥデイ」の季刊誌創刊にComposer-Editorial(コンポーザー・エディトリアル)という形で参加することになりましたし、作曲家としてのデビューも(今対談をしているセゾン文化財団の事務所が入居している建物の)すぐ裏にあるセゾン劇場での「ミュージック・トゥデイ」だったので・・・。

 辻井 なるほど、そうだったんですか・・・。

 ―― とくに雑誌が決定的でした。これは編集プロダクション「アルク出版企画」の秋山晃男さんが編集長を務められて、僕の10代の夢だった企画すべて、当初から英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語圏くらいまでの範囲なら好きなように、興味ある世界中の音楽家に書き下ろし原稿を依頼させてもらって・・・もう22~23年前のことになります。

 辻井 そういうことだったんですね。

 ―― ですから全て、実は辻井さんが準備してくださった環境があって、今の僕の芸術家としての活動があるといって、まったく過言ではありません。さらに「経済・ビジネスとの関係」も、ここに原点があるんです。

「セゾン50」をめぐる人々

 ―― この当時、同じ「アルク出版企画」では「セゾン50」というプロジェクトを進めていました。西武セゾングループ50年の社史編纂企画ですね。

 辻井 ええ、その通りです。

コメント3件コメント/レビュー

70年代生まれ、地方育ちの自分には、共有できる体験はほとんどないのですが、それでもすごく面白かった! こんなに面白い記事は初めて読みました。(2009/04/14)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

70年代生まれ、地方育ちの自分には、共有できる体験はほとんどないのですが、それでもすごく面白かった! こんなに面白い記事は初めて読みました。(2009/04/14)

その時代の経済・経営が造った土壌で音楽や美術等の芸術が出来るということを再認識できました。(2009/04/14)

芸術に関しては門外漢の私ですが、同時代を生きるものとしてわくわくしながら読ませていただきました。(2009/04/14)

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三品 和広 神戸大学教授