「同世代リーダーに聞く〜「体にいい経営術」」

健康と業績のために、評価シートを破り捨てろ!

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)柴田励司COO【5】

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2009年4月24日(金)

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 日々激務をこなしつつ、自らの体をマネジメントし、それを組織全体の健全さに結びつける工夫を、40代を中心とした若手経営者たちに聞く連載「体にいい経営術」。第1クールはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のCOO(最高執行責任者)、柴田励司氏にお聞きする。

●前回はこちら→「人事権を社員に『戻せ』ば、組織は健やかになる

 「会社が人事を決め、上司が部下を評価することが、社員の主体性を奪っている」と見る柴田氏は、人事権と評価権を社員一人ひとりへ委譲しようと試みている。その根底には、「顧客に近い現場こそが組織の頭脳だ」という思考がある。

――一般的な人事評価の仕方は、上司と部下が評価シートを挟んで面談するというものです。部下は期初に目標項目を列挙し、期末に達成内容を申告する。しかし、あくまで一般論としてですが、私はこのやり方は社員の体にも、心にもよろしくないと思っているんです。

(写真:大槻 純一)

柴田 おっしゃる通りです。なぜそう思いました?

――なぜでしょう(笑)。ともかく、この評価シートに「これがやりたい!」と挑戦しがいのある目標を掲げてしまうと、達成できなかった場合に評価が下がるわけですよね。だから、無理なくできる無難な目標ばかり挙げがちになる。チャレンジしなければリスクは少ない、と思ってしまうから。

 期末の評価者への申告はもっと体に悪い。自分が思っているよりも、自分のやったことを大きく見せて申告しなくてはならないからです。「これは俺がやった」「あれも俺がやった」「あいつを助けてやったのも俺だ」という具合に。控えめに書いたら、上司たちだけが集まる評価者会議では、「他の部員に比べて、彼はこの1年なにもやっていないね」と判断されてしまう。

 期初も期末も、自分の本音を殺さないといけないんですよね。非常に不健康だと思います。

――で、実は上司の側も嫌々やっている。こんなやり方はおかしいと思っているから、部下思いの上司ほどこう言います。

 「俺は毎日見ているから、お前がよくやっていることは分かっている。だけど、俺より上の連中はお前をよく知らない。ヘタすると顔も知らない。だから、評価シートは、誰がどう読んでも、お前がすごい奴だと分かるように書け」と。

評価シートに書かないことは評価されない?

 ほとんどの会社はそんなことのために、ものすごい時間とエネルギーを割いているわけで、もったいないですね。おまけに、評価の時期は、花粉症と重なってつらいしね(笑)。

――若手もかわいそうだと思います。なんだか若い人よりも40代前後のほうに元気のいい人が多いと思いませんか。バブル期の成功体験だろうという見方もありますが、加えて、評価シートがない時代を体験していて「あんなもの、なんぼのもんだ」とどこかで思うことができるからじゃないでしょうか。

 まったくのたとえ話ですが、ある若手の記者が今の部署ではやりたいことがやれず元気がない、とします。そこで私が「日経ビジネスオンラインで記事を書いてみろよ! 話通すよ!」と声をかけたとしましょう。ところが彼は、「その仕事は評価シートに書けますか。関係のない業務に手を出して評価を下げられませんか」と二の足を踏んでしまう。どうしてかというと、入社したときから評価シートに縛られていて、これに書いたことしか会社から、上司からは評価されないと思いこんでしまい、どんどん消極的になってしまう。こんな馬鹿な話はない。

 その手の評価シートを目にしたら、僕はビリビリと破きたくなります。だって、何ひとついいことがないんだもの。世の中みんなそうじゃないですかね。そろそろ、違うやり方にした方がいいんじゃないかな。CCCでも違うやり方にしようかと思っています。

――前回うかがった「自分で自分を評価する」制度へ変えるんですね。

 それとセットで、他に考えていることがあるんです。

お世話になった人に加点するポイント制度

 自分がやったことを上司に自己申告するやり方だと、まともな感覚の持ち主が自己嫌悪におちいる一方で、自分を売り込むのがうまい社員ばかりが評価を上げる。

 だから、自分の成果を申告するのではなく、「私はあの人にこういうふうにお世話になった」と、他人の成果を申告するのはどうでしょう? ポイント制で加点評価するんです。

 例えば、各社員が毎月100ポイントずつ持つ。そして月末に、「今月は山中さんにこういう仕事でこれだけお世話になったから、50ポイントあげます」「●●さんにも助けられたから30ポイントあげます」と、自分のポイントを振り分ける。

 この方法だと、本当にいい仕事をしている人、感謝されている人にポイントが集まります。

――査定にも反映させるんですか。

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著者プロフィール

奥原 剛(おくはら・つよし)

1974年、大阪生まれ。PHP研究所を退社後、フリーランスライターに。執筆業の傍ら、東京都台東区で「操体レクリエーション」を開業し、気持ちよさで身心の治癒を促す医術「操体法」の施術・講習を行なっている。

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス、日経クリック、日経パソコン編集を経て、2006年2月から日経ビジネスオンライン副編集長、編集委員を務めた後、2010年4月から日経ビジネスアソシエ副編集長。ツィッターはこちら



このコラムについて

同世代リーダーに聞く〜「体にいい経営術」

 経営とは、つまるところ体の問題である。

 ぎりぎりの状況下での判断、分刻みでの感情の切り替え、そして土壇場での振る舞い。土気色のリーダーにそれがこなせるだろうか。すべて、健康な体が土台にあってのことだ。だが、リーダーは忙しい。体調に顧慮する余裕などあるのだろうか? 実は逆だ。リーダーが不健康な状態に陥る組織は、内部に重大な問題を抱えている。言い換えれば、健全な判断をリーダーが下せる組織は、優れた経営システムを持っている、と言っていい(もちろんこれは、リーダーが部下に全てを押しつけて安楽に暮らすという馬鹿げた話ではない。そんな組織はモラルハザードを起こし、すぐ崩壊する)。

 日々激務をこなしつつ、自らの体をマネジメントし、それを組織全体の健全さに結びつける工夫を、40代を中心とした若手経営者たちに聞いてみよう。

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