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会社の履歴書【2】パナソニック

松下王国の試練-成熟の壁を越えられるか 1

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2009年4月17日(金)

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 バブル崩壊後、日本企業は好むと好まざるとにかかわらず、大きな「変革」を余儀なくされた。金融部門の痛みは、日本企業の成長を支えた間接金融の縮小、株式の持ち合いの解消を迫り、急速に進展したグローバル化は終身雇用、年功序列の終焉をもたらした。その中で問われたのは企業の変革能力である。劇的に変化する外部環境にどう対応し、組織をどう変えていくのか。それに成功した企業もあれば、依然として対応し切れない企業もある。企業が「失われた15年」をどう生きたのか。1991年以降、「日経ビジネス」で取り上げた日本の代表的な企業の記事を「会社の履歴書」として取り上げる。
(文中の肩書き、名称などは掲載当時のままです)

パナソニック(旧松下電器産業)

 米ハリウッドの映画・娯楽会社MCMの買収――。パナソニック(旧松下電器産業)の1990年代は、エレクトロニクスというハードだけの会社からソフトまでを囲い込もうとする大きな路線転換から始まった。創業者の松下幸之助氏の死去以降、脱創業家を進めてきた当時の経営陣にとって、この路線転換は幸之助氏の路線からの決別でもあった。

 だが、その新路線はあえなく潰える。映画会社との企業風土の違いを乗り越えられず、その後のゲーム機開発も失敗。以降のパナソニックはまた、長い低迷の時期を迎えた。

 だが今、パナソニックは息を吹き返した。中村邦夫前社長の改革が奏功し、社内は活性化。中村改革はパナソニックへの社名変更で完結した。新生パナソニック誕生までの軌跡を振り返る。

* * *

1992年12月14日号より

 下がり続ける営業利益率、相次ぐ不祥事、情報家電への出遅れ。松下電器産業が危機に直面している。ビジョンなき系列店政策、事業部本位の縦割りシステム、家電モノカルチャーの弊害など、問題は山積だ。谷井昭雄社長は「経営構造革新プラン」を提唱、家電市場が成熟化しても利益を出せる体質作りを目指す。しかし、より具体的な対策が必要だ。松下はエクセレントカンパニーとして復活できるのか。

(桜井 敏昭、石井 智明、松平 由美子)

内外から問題噴出
理念風化し大企業病まん延 拡大路線も行き詰まる

業績は長期低落傾向で組織は硬直化、大企業病が進行する。経営陣は「経営構造プラン」で量から質への転換を図るが、企業理念を再構築して活力を引き出さなければ再生できない。

 かつて超優良企業と自他ともに任じてきた松下電器産業。だが、このところの同社からは、その姿を想像するのは難しい。

 まず、業績面で精彩がない。1992年9月期の中間決算は、売上高が主力のAV(音響・映像)やエアコン、FA(ファクトリー・オートメーション)関連の低迷などで前年同期比7%減の2兆2942億円。営業利益にいたっては前年同期比マイナス57%の273億円と激減した。

 93年3月期には従業員わずか825人の任天堂に経常利益で追い抜かれる見込みで、銀行・証券を除く上場企業中、トヨタ自動車、日本電信電話(NTT)に続く定位置を確保していたベストスリーの座から滑り落ちるのは確実だ。もちろん、出口の見えない不景気、AV市場の成熟という経営環境や構造的な要因は大きい。

 かつて、作れば売れた家電業界の成長率は今や1ケタが当たり前の時代。総合エレクトロニクス産業化を進め、売上高に占める家電分野の割合が50%以下にまで低下したとはいえ、その影響は大きい。

 しかし、それを差し引いても松下が抱える問題には根深いものがある。

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