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韓国と共に考える科学技術の未来

「ノーベル賞」から見た極東先進国の役割

2009年4月22日(水)

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 世の中には思いもかけないことがあるものです。昨年の10月7日、たまたま私は日経ビジネスオンライン編集部で「日本人3人にノーベル物理学賞」という第一報を聞き、予定を変更してその週の金曜日に「日本にノーベル賞が来た理由」という記事を書きました。これが予想外に多くの読者の目に留まり、初日だけで20万ほどアクセスがあったことから、編集部からのリクエストもあってシリーズで書くことになったものでした。

 またやはりリリース初日、読者としてこの記事を読まれた朝日新聞出版のU社長から、新書化できないかという相談がやはり編集部を通してありました。日経BP・朝日両社の相談の末、ウェブの連載と並行して『日本にノーベル賞が来る理由』という書籍をまとめることになったわけです。

 今週は辻井喬さんとの「対論」の途中になりますが、編集スケジュールとの兼ね合いで、今週は、先週4月15日に韓国ソウルで開かれた、このノーベル賞記事シリーズに深く関連するシンポジウムなどの話題をお届けしたいと思います。

 改めて申すまでもありませんが、私はかつて物理学を学んだことのある一音楽家に過ぎません。現役の物理学研究者ではないし、科学評論家でもありません。ただ、そのような自分の立場からでも書けること、国連の科学教育行事で幹事などをする過程で感じたことなど、多くの人に知ってもらいたいと思う内容をまとめました。これに関連して意外な展開がありました。

ソウルでのノーベル賞シンポジウム

 実はもう1つ、敢えて本にもネットにも強調して書かなかったのですが、こうした記事や本を書いた動機があるのです。

 物理の中でも、私のかつての専門(物性実験)ではない素粒子理論へのノーベル賞について、どうしても言及したいと思った理由。それは、私のかつての同級生で、大学院で素粒子理論専攻に進んだあと、オウム真理教のマインドコントロールと洗脳によって、地下鉄サリン事件の実行犯となってしまった豊田亨君のことがあったからです。

 南部陽一郎先生や小林誠・益川敏英両博士の1960~70年代の先駆的理論業績が20世紀最末年から21世紀初頭にかけての実験で検証されて今回の受賞に至りました。しかしその間、冷戦後期から末期、そして冷戦直後の国際社会経済の動きの中で、「宇宙開発」や「素粒子物理」などの巨大科学の足取りが極めて緩慢になった時期があったことを、多くの「お祭り報道」は意識していないように見えたのです。実はその「遅延の時期」に「オウム真理教事件」は起きました。この背後には理科教育の問題や、大人たちが無責任に「科学の未来への夢」を子供たちに植えつけたことのツケが大きく関係していると(まさにその世代に当たる)私は考えています。

 こうしたハードな問題にもおいおいきちんと言及すること、さらに自分も責任が取れる理科教育のプロジェクトなども念頭に、主としてポジティブな面を強調して書いたのが上記の連載であり、新書だったわけです。

 この後、関連の事柄について内外から問い合わせや依頼が続き、日本語・英語でいくつか仕事をしましたが、さらに韓国の先進社会研究院と延世大学から依頼があり、ソウルで開かれた「フォーラム・ニュー・コリア」のノーベル賞シンポジウムで、同じ内容を韓国の現実に合わせてお話ししてきました。幸い現地でも反響を頂き、本も韓国語訳が出ることになりました。

韓国・先進社会研究院でのノーベル賞シンポジウム

 実際にソウルで40分ほど話をし、韓国産官学界の方々と2時間ほどシンポジウムで討論して、私が事前に持っていたイメージやある種の懸念が、嬉しい方向に大きく裏切られるのを痛感しました。それについてお話ししたいと思います。

韓国側に提案した「ノーベル賞戦略」

 以前から私は、韓国社会で自然科学分野での韓国人科学者のノーベル賞受賞が切望されている、と小耳には挟んでいました。そこで敢えて「ノーベル賞戦略」という、やや刺激的なタイトルで基調講演したのですが、内容はタイトルから予想されるのとはやや違う、ある意味では大変地味なものを準備しました。

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