• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

喫煙室の「風通し」がよいのはなぜか

強い会社のヒントがそこにある

  • 常盤 文克

バックナンバー

2009年4月27日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 前回のコラムでは、ヨコの連携を強化することの重要性についてお話ししました。企業や組織のヨコの連携を効果的に進めるには、人と人との連携、すなわち「協働」がカギを握ります。それには、経営の中心をカネから人へと変えていかねばなりません。

 ある会合で企業の経営者たちと話し合っていたときのことですが、リーマンショック以後の世界不況の原因は何か、という話題になりました。すると、どの会社でも「経営がカネに偏りすぎた結果だ」「今こそ改めて人を大切にする経営に注目すべきだ」との議論が起きているというのです。実際に企業の一部では、経営戦略や組織戦略よりも、人材育成や企業哲学を重視する傾向が見られます。

 これまでに私は、さまざまな規模・業種の企業を訪ね、経営者の皆さんと話してきました。その経験を振り返ると、いくつか思い当たる節があります。その一つは、社員同士のヨコの関係が強い会社は、総じて「強い会社」である、ということです。そこにあるのは、協働の実践です。

大きな目標や一体感がヨコのつながりを強める

 そのほかにも、いくつか強い会社の共通点があります。

 まず、経営者が会社として進むべき方向やビジョンを社員に明確に示しており、また社員も共通の夢や目標をしっかりと持っていることです。誰もが同じ思いで仕事に取り組むので、おのずと組織全体に一体感が生まれます。組織の風通しの良さ(すなわちコミュニケーションの密度)も重要です。風通しが悪いままでは、優秀な人材や個性的なアイデアが、組織の中に埋没してしまいます。

 強い会社の条件を満たす組織には、上下関係をあまり気にせずに本音で語り合えるような空気が漂っています。オレは部長だ、課長だ、といった気負いがなく、良いことも悪いことも率直に話せるのです。すると、タテの関係からは見えてこなかった物事の本質が見えてきます。ここが大事なのです。

 これはよく言われることですが、人と人との交流や一体感がもたらす効能の具体例は、多くの企業に置かれている「喫煙室」に見ることができます。では、なぜオフィスではなかなか生まれない「風通しの良さ」が、喫煙室ではたやすく実現できるのでしょう。

 喫煙の良し悪しは別の問題として、そこに集まる社員たちは職制や職位に関係なく、「同じ喫煙者である」という仲間意識があります。「肩身が狭いね」という、悩みを同じくする者同士、という要素もそれを強めているかもしれません。この「同じ仲間」という気持ちが、タテの関係を超えたヨコへのつながりを生みだし、互いに打ち解けてしまうのです。

 「君、いま何やってるの」「そうか、面白そうだね」「僕はこんなことをやっているんだが、うまくいかず困っているんだ」「じゃ、こうしてみたらどう?」「そりゃいいアイデアだ」…といった調子です。タバコを吸いながら話が弾み、いろいろな愚痴や悩み、ときには奇抜なアイデアが飛び出します。

 結果として、人と人とのヨコのつながりは確実に深まります。ここでは喫煙室を例に挙げましたが、同じようにコーヒーブレイクで社員が一息入れて、気軽に話し合える場所があるといいと思います。大事なのは、肩の力を抜いて気負わずに話せる、本音が出てくる「場」をつくることです。

 風通しの良さと一体感を組織の中につくり出す、さらにはこれを自社内だけでなく他社との間にも広げていくことが、会社を強くしていくには大切です。企業はタテだけを強化しても決して強くはなりません。ヨコが大事なのです。きれいな織物は、決して縦糸だけでは生まれません。縦糸と横糸とが織りなす絶妙な調和があってこそ、素晴らしい模様があらわれてくるのです。

 それでは、ヨコの結びつきを強めるマネジメントとは何でしょうか。

コメント6件コメント/レビュー

当社もたばこ談義が活発です。で、以前の社長(当社の社長は天下り)はたばこ談義で重要なことを決めていました。非喫煙者には理不尽極まりないことです。  確かにインフォーマルなコミュニケーションは大切ですが、その話の中身をフォーマルに反映させるのは、おかしいと思います。(2009/04/27)

「常盤文克の「新・日本型経営を探る」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

当社もたばこ談義が活発です。で、以前の社長(当社の社長は天下り)はたばこ談義で重要なことを決めていました。非喫煙者には理不尽極まりないことです。  確かにインフォーマルなコミュニケーションは大切ですが、その話の中身をフォーマルに反映させるのは、おかしいと思います。(2009/04/27)

何をいまさら、な話です。わかったいないのは、経営層だけです。それが証拠に、成果主義が日本社会にしっかり根付いてしまっています。成果主義は横のつながり(これを”甘えとなれ合い”と定義している)を断ち切り、会社に利益をもたらす人間のみを選択していく制度です。優秀な人材には何十倍もの報酬を出し、優秀でない何割かは毎年解雇していく一部の外資系企業式経営では、必要な制度でしょう。何十年にわたる知識や協業の積み重ねによって成功した、日本式経営の企業にとって、成果主義は猛毒でしかない事を、現場の社員は嫌ってほど思い知っている。でも直さない様なので、気付いたときは手遅れでしょう。(2009/04/27)

 「風通し」と喫煙室の関係、納得しました。 かつて企業に勤めていたとき、喫煙者で喫煙ルームの常連だったのですが、一念発起して禁煙者に転向しました。その経験から喫煙者だったころはさまざまな情報を知らず知らずのうちに入手していたのだと思います。情報は仕事に関係するものから人間関係、うわさ、あることないことを含んでいるのですが、多ければ多いほど個人の情報処理能力が向上したとの記憶があります。禁煙者になってからは組織の中の情報に疎くなりました。 禁煙者はゴルフ、キャンプ、魚釣り、ヨットクルージング、運動部の応援、など「場を作って」情報を集めて処理する能力を高める必要があるでしょう。 組織の運営者は諸般の事情で「横つながり」を作る事が難しくなったと嘆いておられるのではと思います。あるところで割り切った考えを持たないとストレスが歪みに変わってしまいます。ご注意を。(2009/04/27)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

変化を受け入れやすい組織体質があればビジネス上の“地殻変動”が起きた際にも、他社に半歩先んじられる。

井上 礼之 ダイキン工業会長