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国内市場縮小の中で模索した成長シナリオ

危機的状況にあっても組織には“光”が必要

  • 新貝 康司

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2009年5月11日(月)

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 2002年の12月、2001年のGDP(国内総生産)実質成長率が確定値としてマイナスであったとの報道がなされる中、たばこ税の増税が決定されました。2002年は、国内たばこ事業では、高齢化進展に伴う、想定を上回る総販売数量の落ち込みを記録しており、その中で、増税による一層の事業量減を覚悟せざるを得なくなりました。翌年の2003年の景気について期待できるデータも出てきていましたが、たばこ税増税決定で、一気に社内の緊張感が高まりました。

目先の利益を確保するかそれとも…

 さらに、前回述べたように、2005年4月で契約満了を迎えるMarlboroライセンスを更新するのか、終了するのかについて、会社として決断する時期にきていました。

 Marlboroは、当時JTの販売数量のほぼ12%を占めており、その販売により、JTは500億円程度の限界利益を得ていたのです。つまり、このブランドがなくなることは、約500億円の営業利益喪失を意味しました。この金額は、実に、当時の連結営業利益の約30%、連結EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の約15%に相当したのです。

 契約を更新するか終了するか――。これは非常に難しい選択でした。ライセンスを更新できれば、確かに上記のように利益を確保することができます。しかし、ライセンスを更新するということは、誠実に契約を実施することです。それは、ライバル会社のMarlboroブランドに我々の経営資源を投資し、さらにMarlboroを成長させることを意味します。

 また、一旦はライセンス契約を更新しても、そのさらに先にライセンス契約を更新できる保証はありません。まるで、風船がどんどん膨らんでいき、破裂する瞬間をびくびくしながら待っている――。そんなふうにも思える状況でした。

 一方で、海外たばこ市場では、我々はこのライバルメーカーの世界No.1のシガレットブランドMarlboroを相手に戦っているという状態でした。このライセンスは、国内外の販売現場へのメッセージ性を考えても、大変よじれた状況にあったのです。

 当時の本田勝彦社長は、Marlboroライセンスを、契約満了をもって終了するとの決断を、内々に下しました。大変重い決断でした。私なりに解釈すると、その決断を支えたのは、常に「自らの将来は自らが拓く」とのぶれない信念であったと思います。

有事態勢で社長直轄プロジェクト立ち上げる

 この決断が下される中、経営企画部と財務企画部は、将来の成長のために抜本的な国内のコスト構造改革を実行し、かつ、国内での成長戦略を描くために、社長直轄のプロジェクトを立ち上げることを検討していました。

 平時であれば権限を委譲し、通常の組織や決裁権限で仕事を進めればよいのですが、増税、想定を超える事業量減、Marlboroライセンス終了と、JTが置かれた状況は有事の様相を呈していました。「有事は集中」との原則下、トップダウンで物事を決していかねばならないと考えたのです。

 その時点では、経営幹部すべてが、臨場感を持って危機感を共有するには至っていませんでした。増税決定で緊張感は高まったとはいえ、その影響が現実化したわけではなかったからです。こういった時に、有事態勢を敷くのは難しいものです。しかし、時の経営企画部長は信念の人でした。当時の経営幹部を粘り強く説得し、2003年1月1日、社長を本部長とする直轄プロジェクト、改革推進本部を発足させました。

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