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破壊と創成から考える「裁判員制度」

常識の源流対論・團藤重光(その1)

2009年5月12日(火)

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伊東(以下――) 今月、つまり2009年5月21日に、いよいよ日本で「裁判員制度」が導入されます。そこで64年前の1945年から、第2次世界大戦後の「司法改革」に当たられ、GHQと折衝しながら現行の刑事訴訟法・・・いや、今や旧刑事訴訟法というべきかもしれませんが、世界的にも完備で名高い刑事法体系を自ら書き上げられた團藤先生に、2009年5月時点でのご所見や、私たち一般国民が意識しておくとよいことなどを、まとめてお伺いしておきたいと思いました。そもそも先生は裁判員制度にはご反対だったのですよね?

團藤 ええ、僕自身は今出ている裁判員の制度には反対なんです。でも、決まってしまったものは、それに即して実務を考えてゆかなきゃならないでしょう。

―― 僕もご教示いただいて、そのように思いまして、先生とご一緒させていただいた『反骨のコツ』(朝日新書)のあと、「裁判員制度」の問題を積み残した宿題のように思っていたので、いろいろ関係者にヒアリングして『ニッポンの岐路 裁判員制度』(洋泉社新書y)という本を作ったわけです。この本の準備過程で、様々な現場の実情も聞くことができましたので、今日はそうしたご報告を併せて、お話を伺えればと思います。

團藤 それは楽しみです。

破壊から始まる創造

―― しかし改めて、裁判とか裁判所というものは、なかなかは面倒くさいものですね。

團藤重光(だんどう・しげみつ)氏
1913年生まれ。刑法学者、東京大学名誉教授。東大法学部長、最高裁判所判事、宮内庁参与を歴任。95年に文化勲章受章。『刑法綱要』(創文社)、『刑事訴訟法綱要』(弘文堂書房)、『死刑廃止論』(有斐閣)、『法学の基礎』(有斐閣)など著書多数。
(写真:大槻 純一、以下同)
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團藤 ええ、面倒くさいですよ。それもね、特に判例が硬直しているのがいけませんね。僕が最高裁判事だった時にはね、あんまり硬直しているのでずいぶん議論して。何とかほぐそうと思って、もう評議のたびにね。評議って裁判官の間の議論ですが、その評議のたびに必ず何か議論するようにしました。

 だから、直接僕の意見としては出ていないけれど、みんなの中にある議論の中で判例を調べれば、僕の意見もずいぶん紛れ込んでいるわけです。

 当時の最高裁判事は、とにかくみんなあんまり硬い議論をする。いや、法律というのは元来そんなものじゃない、ということを強調したかったから、もう思い切って、議論をぶち壊すような議論ばっかりしていたんです(笑)。まず破壊から始まりますからね。

―― 「まず破壊から始まる」強烈なお言葉です。

團藤 大事なことはハッキリ言わないとね。

―― そこまではっきりした表現は『反骨のコツ』の時にはしておられませんでした。

團藤 まず破壊から始まると思って間違いないですね。

―― 先生が最高裁におられた1970年代は、それこそ学生運動なんかが下火になって、言ってみれば「破壊」が静まり、高度成長から安定成長になった時期に当たりますが、学生運動の闘士を裁かれた團藤先生も、全く違う意味で「破壊から創造が始まる」と言われるわけですね。

團藤 ええ、そうです。今では昔話だけれど、僕が最高裁に入った時、問題になっていたのは、例の大阪空港事件ですね。航空機の離着陸で住民の生活が脅かされていたわけですが、大阪高裁では原告側に勝訴を言い渡したでしょう。ところが最高裁では、それはおかしいと言うんですよ。「住民に対してそういう考慮をする必要はない」などと言い始めてね。僕は、それはとんでもないことで、まず第一に住民のことを考えるべきだと主張したわけです。だってそもそも法律は人間のためでしょう。

―― いや、そういう根本の1の1が、大変におろそかになっていると思います。

自律的自由が生む「法の進歩」

團藤 人民のため、ということを抜きにした法律の考え方などは、とんでもないという議論を盛んにしたわけです。やはり本来、住民とか、市民、人民のためにあるべき法、というのが大前提ですから。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官