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episode:5
「5年経ったら必ず経済はよくなると思うか?」

  • 阿川 大樹

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2009年5月15日(金)

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「どういうことです?」

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 大日本鉄鋼を助けて欲しいという松宮会長の思いもよらぬ申し出を聞いて、旭山隆児は首を傾げた。自分が大日本鉄鋼の社員だったのは、もうすでに12年も前のことだ。

 松宮賢一は、当時、旭山隆児の上司で、新事業担当の取締役としてボードメンバーの中でももっとも若い58歳だった。そこからとんとん拍子にランクを上げ、昨年、社長を譲って会長職についている。

「わたしなんかが天下の大日本鉄鋼を助けるだなんて。第一、世界経済の波で収益が悪くなっているだけで、会社自体は健全じゃないですか」

「そう、今の赤字は鉄鋼メーカーとしての大日本鉄鋼に大きな問題があるわけではない」

 アメリカ発の金融危機から世界同時不況へ、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻で、世界の経済が一転した。復調の兆しを見せていた日本経済も大波をかぶることになった。

 前年までトヨタは2兆円の利益を上げていた。ホンダは直前、史上最高益を記録するほど好調だった。それが一気に赤字に転落してしまったのだ。

「突然、地震がやってきたようなものだ」

 松宮は会社が直面した状況をそう表現した。台風なら事前にもっと予測できたというのだ。

「地震が来るのを止めることはできないでしょう」

「そのとおりだ。止めることはできないし、その最中にはできるだけ体を小さくして机の下に隠れてじっとしているしかない」

 小学校の時、先生の号令で、クラス全員、一斉に机の下に隠れたさまを思い出した。

「だが、いまはもう地震の揺れは止まったんだ」

「だって世界中が不況に喘いでいるじゃないですか」

「地震は終わったんだ。その後、次々に家が壊れたり、火事が拡がっている。それでケガ人や死者が出ている。放っておけば、まだまだ火は拡がる。雨が降れば壊れた堤防から洪水が起きる」

「つまり、いまはどうやって復旧するかということが問題になる時期だと……」

「そのとおり」

 隆児は腕を組んで考え込んだ。松宮が意図していることをできるだけ正確に理解しようとするように。

「たしかに。いま激震だと思って見ているのは地震そのものではなく連鎖反応の部分なのかもしれない。山から火事が迫ってきている。消すのか、逃げるのか、消すならどうやって、逃げるのならどんな手段で……」

「景気回復に少なくとも5年かかると君は言った」

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