昨年秋以降の不況で痛手を受ける家電量販業界。最大手のヤマダ電機は純利益が32.5%減で15期ぶりの減益、2位の エディオンも減益見込みで、赤字転落の企業も珍しくない2008年度決算。そんな逆風下でも増益企業はある。
目先のことで無理をしないという「頑張らない経営」で創業以来、62年連続で増収を続けるケーズホールディングス(水戸市)の売上高5741億円は、ヤマダ電機、エディオン、ヨドバシカメラ、ビックカメラに次ぐ。経常利益は188億円(前期比14%増)と2ケタの増益を達成。その特徴は、多くの家電量販店が採用している「ポイント制」を採用せず、「現金値引」をうたって独自の経営路線を進んでいる点だ。
全国で約300店舗を抱えつつ出店数は毎年20店前後のペースを止めずに攻め続けながらも、「頑張らない経営」で現場を活性化して快走を続けられる理由を、加藤修一・ケーズホールディングス社長に聞いた。
(聞き手は日経ビジネスオンライン編集長 廣松 隆志)
―― ポイント制度を採用しないなど、ケーズデンキは他社とは違うやり方で業績を伸ばしています。「ケーズデンキは頑張らない」という社長の考えは、「常識破りの経営」とも思えます。

ケーズホールディングス代表取締役社長
1946年茨城県生まれ。69年、東京電機大学工学部を卒業し、有限会社加藤電機商会(ケーズHDの前身)に入社。73年、株式会社カトーデンキ(ケーズHDの前身)代表取締役専務。82年、代表取締役社長。88年、株式を店頭公開。97年、カトーデンキからケーズデンキに社名変更。 (写真:山西 英二、以下同)
いえ、今いちばん常識的なんです。社員には「お客さんが求めていることから目をそらさないように」とよく言っています。お客さんがいったい何を望んでいるかをしっかり見ればいいのです。
ところが売る側は「こうやったら売れる」「ああやったら売れる」と言って、望んでないことをどんどんつけていくわけです。短期的にはお客さんはそれに踊らされる場合があるわけですが、延々とは続かないため、売る側は品を替え物を替えていろいろとやっていかなくちゃならない。そうすると、完全にゲタを履いたように、コスト水準が上がっちゃうんです。みんな無駄なことをやろうとしているんです。
若い頃はよそを参考にしていろいろと取り組みましたが、やってもやっても、すぐに終わってしまい、また違うことをしなくちゃいけなくなる。だったら最初から、そうじゃないものにしていったらどうなんだ、と考えました。
おいしい天ぷらというのは、そんなに衣が大きくなくて、ちょっとついていればいいと思うんです。素材がいい方がいいわけです。だんだんと衣を大きくするのが上手になり、どうだ立派に見えるだろうと言っても、本当は違う。
例えばポイントも、自分のところのポイントだけがありそれで売り上げが少し増えるのであれば、そのポイントの費用は消化できるという話になるけれども、今の家電業界はそうではない。売価を下げる分を下げないでポイントをつけるわけです。そうすると、エビは一緒なのに衣が大きくなり、いろいろな副作用が出てきます。会社がメタボになるんです。
会社の売り上げが、例えばケーズデンキで10万円でも、よそでは11万円で1万円のポイントといったら、売り上げは1割。同じ商売をしていても。それは会社がメタボ状態になっていると思うんですよね。なおかつ、もらった方のお客さんも、そのポイントで買うと今度はポイントがつかないとなると、値引きしてくれないという話ですよね。
そんなところにコストをかけて、なおかつ、そのためにポイントカードとか、仕組みとか、機械とかを用意する。それは必ず会社の収益上のどこかでコストに入っていくわけです。
農業なんかと比べても分かるでしょう。お客さんが望んでいるのは、農薬を使っていない自然のものです。でも虫が食わない方がきれいでいいとして農薬を使ったり、出荷時に大きさをそろえて手間をかけて出荷をしたりして、どんどんコストを上げています。海外では取れたまま置いてあるみたいな形のリンゴがあったりしますが、日本では全部、立派なものにしちゃいます。
たくさんの商品を並べて個別のお客さんのニーズに応える
ケーズデンキで言っているのは「お客さんはいい商品を安く、サービスよく買いたい。これ以外のことは望んでない。だから、それをどこまでも推進しましょう」ということ。いい商品とは、お客さんに合った商品だと思うんです。それで大きな売り場を作ってたくさん並べます。どんな希望なのか、どんな使い方をするのかによって、買ってもらう商品が違ってくるわけです。
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