「日経ビジネス リポート」

ソニーvsアマゾン“異種格闘技戦”に身を投じた男

「激安デジタルの脅威」、その最前線

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2009年5月18日(月)

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 日経ビジネスでは2009年5月18日号で「激安デジタルの脅威」という特集記事を掲載した。日本では32型液晶で地上デジタル放送に対応したノーブランド5万円テレビがヒット、画質は国内大手テレビメーカーに見劣りしない。新興国市場に目を転じると、中国では海賊版ケータイ「山寨機(さんさいき)」に満足する消費者の姿がある。まさに「デジタル機器は誰でも作れる」ようになった。

 この現実は、新たな競争軸を生む。参入障壁が低くなったのを機に、米マイクロソフトや米インテル、米グーグルといったIT(情報技術)業界の強者が、家電市場に乗り込んできたのだ。家電メーカーにしてみれば、突如現れた思考回路の異なる競争相手――。それは“異種格闘技戦”の様相を呈す。

 ここではどのような戦いが繰り広げられるのか。米ソニーエレクトロニクスの野口不二夫デピュティプレジデントに話を聞いた。彼が意識するのは韓国サムスン電子でも、パナソニックでもない。インターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムだ。

 ソニーvs米アマゾン・ドット・コム。家電メーカーとネット流通という業態を異にする大手両社が、米国で真正面からぶつかっている。それは電子書籍端末の市場だ。

 日本では電子書籍端末は普及していないが、米国は成長の途上にある。

 話題を集めているのは、アマゾンが5月に発表した最新の電子書籍端末「キンドル DX(Kindle DX)」(販売価格489ドル)。前モデルである「キンドル2」(同359ドル)の発売からわずか3カ月しかたっていないが、画面サイズは2.5倍の9.7型と大きくなり、保存できる書籍数は約1500冊から約3500冊に増えた。短期間での新製品投入は、自社で工場を構えていないが故の“早業”と言える。

 アマゾンは約25万種類のコンテンツを用意。そこには最新刊や新聞の書籍欄で紹介されるベストセラーなども含まれる。キンドルは無線機能を備えており、いつでもどこでも読みたいコンテンツをダウンロードして楽しめる。かさばる書籍を持ち運ぶ面倒から解放される。

急成長の電子書籍市場

 このアマゾンと市場を2分しているのが、ソニーの電子書籍端末「リーダー」だ。日本では2007年に電子書籍端末の生産を打ち切って市場から撤退したが、米国では堅調に事業を伸ばしている。2006年に米国で事業を開始。現在はボタン操作の「PRS-505」(販売価格299.99ドル)と、タッチパネル対応の「PRS-700」(同349.99ドル)がある。今年1月末までに米国を中心に端末を40万台、有償コンテンツを400万件、販売した。

 昨年のクリスマス商戦は好調だった。2008年11月までの販売実績は、端末が30万台、有償コンテンツが300万件。一気に販売が増えた。ここにきて、急激に利用が広がっている様子がうかがえる。

 「有償コンテンツをダウンロードできる端末を販売しているのは、ソニーとアマゾンのみ。シェアを分け合っているだろう。ただし、キンドルはアマゾンのウェブサイトでしか扱っておらず、売れ行きに関するデータも公表していないので、実態は見えないところもあるが・・・」

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