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成果主義の本質は人材育成にあり

青木寧 花王執行役員人材開発部門統括に聞く

2009年5月15日(金)

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 成果主義の是非がずっと論じられているが、そもそも成果主義とは何かがはっきりしない──。

 花王の青木寧執行役員はこう疑問を口にする。さらに、人事制度から評価と報酬だけを切り離して論じることがおかしいとも指摘する。

 報酬に結びつける前に、評価を基にして役割の適否や今後の育成のあり方を考える。これこそが真の成果主義ではないかと同氏は問いかける。

 成果主義の是非については、かなり前からいろいろと議論されていますね。本もたくさん出ているし、いろいろな大学の先生も発言している。

 それでも実はいまだによく分からないんですよ。成果主義とは何なのか。きちんとした定義があるのかどうかさえ、はっきりしない。この点については、今でも戸惑いを感じています。

 ですから、当社の制度は成果主義だと私は言ったことがありません。役割と成果を重視した制度だとは言い続けてきましたけどね。

成果主義を切り離して論じるのがおかしい

青木 寧(あおき・やすし)氏
1955年生まれ。79年慶応義塾大学法学部政治学科卒業、花王石鹸(現花王)入社。2000年人事部門組織・企画グループ部長。2004年3月人材開発部門統括。2006年6月に執行役員に就任。
(写真:菅野 勝男、以下同)

 企業ですから、目標があり、その達成に向けてみんなで頑張るのが基本です。ですが、頑張った度合いは社員によって異なる。

 だから頑張りの度合いを評価して、それに応じて報酬を支払うわけですが、その一方で、頑張りの度合いを上げていくための仕組みが必要です。

 花王では既に1965年頃から、社員の能力開発の支援に力を入れてきました。成果主義の諸悪の根源のように扱われている目標管理についても、その頃から取り組んでいます。ですから当社には、ある時点で年功序列を一気に成果主義に変えたという意識はありません。

 目標を共有し、その達成に向けて皆で努力することに加えて、企業という組織を運営するうえでの基本がもう1つあると考えています。それを当社では「人間尊重の原則」と呼んでいます。

 組織が成長するためには、個々の社員の成長が欠かせません。当社はメーカーですから、商品開発における創造性を特に重視していますが、創造性を発揮するのは誰かといったら、それは人です。だから人を尊重する。一人ひとりの社員の能力開発支援に力を入れる理由もここにあります。

 目標管理のようなもので組織の効率を高めると同時に、社員の能力開発や創造性の発揮を促す環境を整備する。この両方が揃って初めて、組織のパフォーマンスは向上します。どちらか一方だけではそうはいきません。

 ここで改めて強調したいのは、人事制度は評価だけでなく、能力開発や教育、キャリアパスなども含んだ形で総合的に成り立っているということです。

 ところが、成果主義を巡っては、評価と報酬だけを切り離して取り上げ、評価に応じて報酬に差をつけることの是非ばかりを論じている。これは本来おかしなことです。

職種別の制度が社員の意欲を引き出す

 当社では制度を一気に変えてはいませんが、常に修正はしてきました。現行の制度のベースが出来上がったのは、99年から2000年にかけてのことです。

 管理職は役割に応じた等級を全社で共通にしていますが、それより下の主任クラスから一般社員までは、フィールド(職種)ごとに役割等級の仕組みを変えているのが特徴です。これを当社では「職群制度」と呼んでいます。

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コメント8件コメント/レビュー

「成果主義とは何なのか。きちんとした定義があるのかどうかさえ、はっきりしない。」冒頭のこの言葉に結局のところ集約されているのではなかろうか。どういう制度を組むにせよ、多様多彩な職務を組み合わせて組織が動いている以上、一律な仕組みを入れてもうまく機能する訳はない。それを何かしら「主義」の一言に集約し、挙句単純化の行き過ぎた仕組みに変えてしまうのでは、どんなものであってもうまく行く筈がない。(2009/05/16)

「嫌われ成果主義の逆襲」のバックナンバー

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「成果主義の本質は人材育成にあり」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「成果主義とは何なのか。きちんとした定義があるのかどうかさえ、はっきりしない。」冒頭のこの言葉に結局のところ集約されているのではなかろうか。どういう制度を組むにせよ、多様多彩な職務を組み合わせて組織が動いている以上、一律な仕組みを入れてもうまく機能する訳はない。それを何かしら「主義」の一言に集約し、挙句単純化の行き過ぎた仕組みに変えてしまうのでは、どんなものであってもうまく行く筈がない。(2009/05/16)

成果主義と言っても、日本的な成果主義でしょう。アメリカ的な成果主義であれば、人材育成は不要。自分で能力を上げなければ首になるだけ。結果を出して給料を上げたいなら、自分で自分に投資して、スキルアップをする。アップしないものは蹴落とされるだけ。人材育成なんて、アメリカ人は考えませんよ。現在能力がないものは首です。将来の伸びシロなど勘案する必要はない。部下の能力がアップする頃に、自分が今の会社の今のポストにいるかどうかもわからないのに、そんなものを考慮に入れるわけがない。今結果を出すかどうかだ。どんなに能力があって、どんなにがんばっても、結果が出ないものには用がない。そういう判断基準であるから、成果主義が成り立つ。とにかく同僚の足を引っ張ってでも、成果を出せば、待遇があがる。成果が出そうになければ、環境を変える。会社を変えるだけである。そういう成果主義に日本の会社とサラリーマンが耐えられるのでしょうか?成果主義を押し付けるコンサルタントよ。実際にアメリカに行って雇われてみてから、成果主義を主張せよ!(2009/05/16)

日経ビジネス本誌の記事も読みましたが、「成果主義」と「能力主義」の違いも分かっていない人が書くと、こういう記事になるのだろうなぁと感じました。成果主義の弊害が声高に叫ばれる昨今、こういうタイトルの特集を組むのは、雑誌の戦術としては有りなのかも知れません。実際、私も買いましたし。ただ、記事を読んで尚、見識の低い人たちだなという印象は拭えませんでした。結局、本誌記事で紹介されている三社の事例は「成果主義」ではありません。あれを成果主義と呼ぶなら、1990年代の成果主義導入ラッシュ以前に、日本企業がやっていたのも成果主義と呼んで差し支えないでしょう。この程度で「成果主義は死なず」なんてかっこいい主張が出来るなら、同じ取材事実を元ネタにして「年功序列は死なず」という特集だって組めるでしょう。単なる言葉遊びです。別の角度からまとめられていれば、それなりに役立つ特集記事になったと思うのですが。(2009/05/15)

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