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主要工場をダイナマイトで爆破し、全社中継した企業

していることをやめないと、新しいことはできません

  • 鈴木義幸

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2009年5月19日(火)

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 ニューヨークで開かれたカンファレンスに出席したときの話を思い出します。エグゼクティブコーチングを受けることを通して企業変革に成功した経営者が、その成果について語るという会議でした。

 衝撃的だったのは、ある製造会社のCEOが紹介していた事例です。その会社は、これまで収益を上げてきたある事業から撤退し、別の事業に乗り出すことになっていたのですが、そのシフトのさせ方がすごい。

事業撤退、爆破開始

 事業の象徴であった工場を、爆破したというのです。ダイナマイトを仕掛け、生産現場をあとかたもなくする。しかも、その映像をリアルタイムで各オフィスに流し、全員で見る。

 CEOは、次のように話します。「この事業から撤退することで、社員の中にある旧態依然とした意識も一掃したかった。“なんとなくこれまでの事業の延長線上を進む”ということではないんだということを知ってほしかった」

 社員全員、これを機に「捨て去りたい」と思うこと、「やめる」と決意することを紙に書き、それを棺おけに入れ、工場もろとも爆破したそうです。牧師さんまで呼んでのフューネラル(お葬式)でした。

 やることが型破りでアメリカ的だなとも思いましたが、アメリカ人にとっても、セレモニーをして決別しなければならないくらい、何かを捨てたり、やめたりすることは難しいのでしょう。ましてや、維持存続に価値を置く日本人にとって、やめることはとても難しい。

次の創造のために破壊は不可欠

 私も100人の社員たちからなる会社をリードしていて思いますが、何かを始めるのとやめるのと、どちらが大変かというと、やはりやめるほうです。一度スタートしたことにストップをかけるのはとても勇気が要る。みなさんはいかがでしょうか。

 立ち上げた新規事業から撤退する、新しく導入した人事評価システムを捨てる、実施したばかりの労働時間制度を再見直しする、などなど。

 インド哲学によると、この世は「創造、維持、破壊」というサイクルで成り立っているそうです。つまり、破壊しない限り新しい創造は生まれない。

 ところがたいていは、破壊せずにまた新しいものを創造してしまうため混乱が起きてしまう。“創造に対する創造”は“混乱”であるとインド哲学は教えます。一旦、破壊を経験しないと真の創造は生まれないということです。

 リーダーは、新しい何かを創造する使命を帯びているわけですから、この哲学に従うと、やはりまず壊さなければいけない。壊す手腕や、やめる能力が、実はリーダーには強く求められます。

残業をやめて増収増益

 お読みになった方も多いと思いますが、トリンプ元社長の吉越浩一郎さんの著書『「残業ゼロ」の仕事力』には、やめるということに対してとても参考になることが書かれてあります。

 トリンプの生産性を高めるために彼が断行したのは、一切の残業を禁止することでした。「いつまでも時間がある」と思うから生産性は下がる。「この時間までにやり切る」と思えば、その時間でやれるのだと吉越さんは考えました。

 残業をやめさせるため、吉越さんは、終業時間になると各部署の電気を消しに周ります。それでもこっそり残業している人を見つけると、所属部署に連帯責任を取らせ、反省文を書かせたりする。強力な力を持って残業をやめさせていくわけです。この残業をやめるという活動が、トリンプの長年に渡る増収増益につながっていきました。

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