およそ15年前の1990年代半ば、電話機から通信ケーブルが消え、どこにでも持ち歩けるようになり始めた。10年前には、パソコンからも通信ケーブルが消え始め、仕事や生活の環境が様変わりした。そしてついに、最近になって電源コードさえも不要にする技術が登場した。
開発したのは、米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)の研究者であるマリン・ソーリャチッチ氏。同氏はこの技術を2006年に開発し、「Witricity(wirelessとelectricityを合わせた造語)」と名づけた。携帯電話のように基地局から数百mも離れて使うことはできないものの、数十cmから数m離れた「アンテナ」間で、数十W〜数百Wの電力を比較的高い伝送効率を保ちながら、しかも理論的には人体に安全に伝送できる。
実用化できれば、携帯電話などと同様かそれ以上に、私達の生活を刷新する可能性がある。例えば、アンテナとなる大型コイルの一種を天井に埋め込むことで、その部屋内にあるほとんどの家電への給電がワイヤレスでできるようになる。携帯電話機やパソコンはもちろん、炊飯器、扇風機、照明機器、こたつ、掃除機など多くの家電製品の電源コードが不要になるだろう。もちろん、可能性は屋内に限らない。道路にアンテナを並べて埋め込むか、あるいはパンタグラフのように空中につるせば、走行中の自動車やバスにも給電可能になる。
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