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頑張らないから11年連続で増収増益

不況下の増益企業スペシャル第3回~ケーズホールディングス(後編)

2009年5月21日(木)

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 昨年秋以降の不況で逆風下の家電量販業界。最大手のヤマダ電機や2位のエディオンは減益、また赤字転落となる企業も珍しくない2008年度決算。そんな逆風下で11年連続で増収増益を続けているのが、ケーズデンキを展開するケーズホールディングス(水戸市)だ。

 創業以来、62年連続で増収を続け、2009年3月期の売上高は5741億円で、その規模はヤマダ電機、エディオン、ヨドバシカメラ、ビックカメラに次ぐ。経常利益は188億円(前期比14%増)と2ケタ増益でしかも過去最高益を達成。多くの家電量販店が採用している「ポイント制」を採用せず、「現金値引」をうたって独自の経営路線を進んでいるのが特徴だ。

 加藤修一・ケーズホールディングス社長が説く、不況時でも増収増益を続けられる理由…。その1つは、目先のことで無理をしないという「頑張らない経営」。もう1つは、不況期こそ出店環境が整うため積極的に行っている新規出店だという。

(聞き手は日経ビジネスオンライン編集長 廣松 隆志)

前編「経営とは終わりなき駅伝競走」から読む)

―― 厳しい経済状況でありながらケーズデンキは積極的な出店を続けています(2009年3月期の年間新規店舗数は40、閉鎖は20)。一般的には景気が悪い時は少し脇を締めて抑え、景気がよくなったら増やすのかと思いますが、その考え方も社長にとってはおかしいんですよね。

加藤 修一(かとう・しゅういち)氏
ケーズホールディングス代表取締役社長
1946年茨城県生まれ。69年、東京電機大学工学部を卒業し、有限会社加藤電機商会(ケーズHDの前身)に入社。73年、株式会社カトーデンキ(ケーズ HDの前身)代表取締役専務。82年、代表取締役社長。88年、株式を店頭公開。97年、カトーデンキからケーズデンキに社名変更。2007年、現社名に変更。 (写真:山西英二、以下同)

 はい、その反対です(笑)。売り上げを安定的に伸ばした方が、コストをコントロールしやすい。トータルの売り上げは景気によってぶれますが、売り上げが上がり過ぎるとか、下がるというのが経営的には大変なんです。

 景気がいい時は、店を増やさなくても、既存店の売り上げが増えていきます。景気がいいとお店が忙しくなっているから、それだけでいい、というわけです。まあ機会があったら少し店をつくりましょう、くらいですね。

 しかもそういう好況時に店をつくろうとすると、物件が高いし社員も足りない。採ろうとすると、どこでも社員を採るからいい人が来ないし、給料がずいぶん上がります。だからそういう時は、それなりに適当にやっていきましょう、ということです。

 ところが景気が悪くなってくると、既存店の売り上げが下がる。悪くなるんだったら、20人でやっている店は19人でできる。ちょっと暇なんだから1人減らして何とかやると人件費5%ダウンですから、その店の売り上げが2~3%下がってもいいということになりますよね。

不況期に新規店舗を出すことで経営は安定する

―― 既存店の売り上げが減ったら、20人を19人でやるのではなくて、20人のまま何とか売り上げを確保しようという話になるかと思ったのですが。

 今みたいに300店体制になってくると、各店舗で1人ずつ余らせたら300人余ります。それで新店舗が40店舗となると各店20人なら800人が必要です。でも300人が余っているから、500人を採用すればいい。人が余るわけではないからリストラする必要もない。この新規店をつくらなかったら、どうやって300人に辞めてもらうかになっちゃうんです。辞めてもらえないから、その分、300人の人件費だったら1人500万円としたら15億円ぐらいになります。だから僕が言っていることは普通ですよ。

 人件費が減らない、競争も激しい中で人や売り上げを増やそうとすると、いっぱいお金をかけないと増えません。何とか売り上げが増えたとしても、コストがその何倍もかかってしまって減益になっちゃうんです。

―― すべて合理的ですね。常識的な話に聞こえます。結果的に2009年3月期は62年連続の増収、そして11年連続の増益ですか。

 うちは不況の影響を受けていますが、ほかの会社ほどひどい状態にはならないんです。ローコストというよりも、無駄なお金を使っていないということだと思っています。

―― 売り上げが減るのは経営者にとって恐怖感のあることだから、普通は何とかして売り上げを増やそうとします。

 いや、その何とかするとか頑張っちゃうのが、やはり良くないんです。

コメント5件コメント/レビュー

岐阜県の主婦です。エイデンのすぐ近くに、ケーズデンキがあります。 一昨年テレビを買う時に、3店ほどのチラシを見比べていました。エイデンの会員カードを持っているのでエイデンへ行って、同じ商品で他店の値の方がずいぶん安いので、もう少し値引きしてくれるか聞いたら、店員は高慢な態度で鼻で笑って、値引きなんか出来ないと言ったので、ケーズデンキへ行ったら”他店と同じ値にしますよ”と気持ちよく売ってくれた。テレビを家へ取り付けに来てくれた時も、本当に気持ちのよい態度だった。あれ以来、パソコンも冷蔵庫もカーナビもプリンターも掃除機もケーズデンキで買いました。(2009/05/23)

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「頑張らないから11年連続で増収増益」の著者

大村 洋司

大村 洋司(おおむら・ようじ)

海外事業戦略室プロデューサー

1989年日経BP入社。95年「ナショナルジオグラフィック日本版」編集、2004年同誌副編集長。07年「日経ビジネスオンライン」副編集長。10年「日経ビジネスアソシエ」副編集長。12年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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岐阜県の主婦です。エイデンのすぐ近くに、ケーズデンキがあります。 一昨年テレビを買う時に、3店ほどのチラシを見比べていました。エイデンの会員カードを持っているのでエイデンへ行って、同じ商品で他店の値の方がずいぶん安いので、もう少し値引きしてくれるか聞いたら、店員は高慢な態度で鼻で笑って、値引きなんか出来ないと言ったので、ケーズデンキへ行ったら”他店と同じ値にしますよ”と気持ちよく売ってくれた。テレビを家へ取り付けに来てくれた時も、本当に気持ちのよい態度だった。あれ以来、パソコンも冷蔵庫もカーナビもプリンターも掃除機もケーズデンキで買いました。(2009/05/23)

アメリカ的な短期的に最大利益を目指す経営は、長期的には倒産リスクになる。日本の昔からの経営は長期的に企業の存続を目指すもので、無理な拡大を目指さない。最大利益よりはシェアをとることを、株主への配当を増やすことよりも、開発費を増やすことを、首切りよりも社員育成を目指す。アメリカに経営法を教えてやるべきだ。アメリカ人は目先のもうけしか見ていない短絡的な人間だからである。三方良しを目指す。お客様に良い製品、サービスを、社員に給料と幸福を、社会にも貢献を、三方に良いことをすることで、企業は社会に存在意義を持ち、存続する価値を持つ。社会から搾取するばかりの企業は、社会に存在する意義も価値もない。(2009/05/23)

家電業界に身をおいてきました。加藤社長の話は何度も聞きましたが、今回触れられていない重要なことがもうひとつあります。 小売業で言葉としてはタブーなのでしょうが、一番大事なのはお客様ではなく従業員だとおっしゃいます。次が仕入先等の協力業者、次がお客様の順番と明確です。確信をつく言葉で、当たり前のことですがこのことを口に出して言える経営者はほとんどいませんよね。以前よりケーズは家電小売では必ず残る3社に入ると見ていますし、必ず残ると確信しています。(2009/05/21)

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沓掛 英二 野村不動産ホールディングス社長