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禁じられた起死回生の一手

「郵政・日通」連合はいくら運んでも稼げない

  • 大矢 昌浩

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2009年5月26日(火)

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 「郵政・日通」連合から荷主が逃げ出した。正確には日本通運「ペリカン便」から通販会社などの大口ユーザーが離脱している。この理由として、前回取り上げたように、日本郵政グループ「ゆうパック」と統合した後のサービス体制が不透明であること。お役所体質になって融通の利かなくなることが懸念されている。

 不安材料は、実はこれだけではない。そもそも、日通が事業の強みを失いつつある。これまでは、ヤマト運輸や佐川急便に対して、低料金を売り物にしてきた。ところが、ヤマトや佐川が大口法人向けの実勢料金を下げている。今や、大口向けの法人価格は、ヤマト・佐川・日通で横並びとなっているのが実情だ。

90円下げたヤマト、10円の日通

 最も平均単価の高いヤマトと日通を比較してみよう。ヤマト「宅急便」を見ると、2000年度の平均単価は732円だったが、一貫して下がり続け、2008年度は645円と、90円近く下がっている。一方、ペリカン便は、2000年度の501円から2004年度は521円といったん平均単価が上がったものの、それから下落傾向となり、2008年度は491円となっている。結局、2000年度からは、わずか10円しか下がっていない。

 ヤマトの平均単価が高いのは、個人向けに定価販売している比率が高いからだ。また、法人向けについても従来は、スピードとサービスレベルで他社を上回ることで、相対的に高い価格を維持してきた。

 一般に宅配便は全国翌日配送という認識が定着しているが、実際にはオプション料金のかかる航空便を除いて、通常の宅配便で翌日に届くエリアは限られており、各社間でも違いがある。

 集荷の締め時間も異なる。個人で利用する場合には気にならない差であっても、毎日大量の宅配便を出荷する法人ユーザーにとっては現場の作業スケジュールを左右する大事なポイントだ。同様に輸送品質のわずかな違いも、クレームを処理する企業にはコストに直結する。宅配料金が多少高くても、サービスレベルの良い方を選ぶだけの理由はあるのだ。

 しかし、宅配便市場は2000年以降、急速に淘汰が進んだ。一時は数十社が乱立し、宅配各社のトレードマークから“動物戦争”とまで言われた競争も、今や大手3社(ヤマト、佐川、郵政・日通連合)で、市場の9割を占めるまで寡占化している。

 勝ち残った企業同士の競争では、スピードやサービスレベルに有意な差はなくなった。利用者の評価基準は、価格に移っている。宅配便のコモディティー(汎用)化だ。

 同じ値段であれば、少しでもサービスレベルの良い方をユーザーは選ぶ。2強のヤマトと佐川が、法人に対して低料金で攻勢する戦略を打ち出してきたことで、日通は競争の手段を失った。

 宅急便の平均単価が下がっている背景には、ヤマトが相場の低い法人向け事業を拡大している点が見逃せない。個人と違い、法人は相対の交渉で料金が決まるだけに、料金が低く設定されがちになる。法人向けが伸びれば、全体の平均単価を押し下げるというわけだ。

 ここにきて、従来は価格を重視してペリカン便を選んでいた利用者が、2強に鞍替えしているのだ。

物流ではなく、金融で儲ける

 宅配便では、規模の経済が働く。ドライバー1人で荷物を1日当たり何個運べるか、集配作業の密度がモノをいうためだ。シェアが高ければ、価格対応力を持つことができる。

 このため、規模が小さいペリカン便やゆうパックは実質赤字。質で2強社に劣り、ほかに武器を持たないので、利益の出ない価格設定を余儀なくされてきた。これが相場を崩す原因となっている。足を引っ張られるような格好で、2強の収益性も落ちている。

コメント2件コメント/レビュー

現状で、ゆうちょ銀行と郵便との連携を進めようとしても、総務大臣がまたイチャモンつけてくるのがオチでしょう。 だから、3事業間の連携がうまくいかず、民営化のメリットを生かせずにもどかしい思いをしている、というのが“まともな”郵政の幹部の意識ではないかなーと。(2009/05/26)

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いただいたコメント

現状で、ゆうちょ銀行と郵便との連携を進めようとしても、総務大臣がまたイチャモンつけてくるのがオチでしょう。 だから、3事業間の連携がうまくいかず、民営化のメリットを生かせずにもどかしい思いをしている、というのが“まともな”郵政の幹部の意識ではないかなーと。(2009/05/26)

なるほど.こういうことになっているのですね.国際物流という課題もある.確か,日通・郵政グループもどこかと組んではいたと思うが.郵政民営化見直し,と言っても,今,政局がらみの話題になっていることとは方向が違うような見直しが必要のようだが,一体,どうなってしまうのだろう.(2009/05/26)

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