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「地味で安いからこそ儲かる」。危機下で稼ぐ不動産会社

スター・マイカ 水永 政志社長

2009年5月22日(金)

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 帆船は、真正面から風が吹いたら押し戻されて逆戻りするしかないのか? もちろんそんなことはない。だったら、歴史は別の進み方をしただろうし、大航海時代など訪れなかったかもしれない。逆風には「間切り」で立ち向かうことができる。ただし、追い風と異なり、船長、船員たちの上手下手がはっきり現れる。荒天強風の中、風上へと進みゆく企業の戦略を紹介する

 金融危機以降、不動産業界には猛烈な逆風が吹き付けている。だが、アゲンストの中、安定的に利益を出している不動産ベンチャーがあった。それは、大証ヘラクレスに上場しているスター・マイカ。売上高140億円、営業利益で16億円(2008年11月期)ほどの新興企業に過ぎないが、2009年11月期の第1四半期には2億5100万円の営業利益を確保。通期でも17億円の営業利益を見込む。経営破綻や営業赤字に転落する企業が相次ぐ中、スター・マイカの堅実性は一際目を引く。

 入居者がいる中古マンションを取得し、賃貸人がいる間は大家として賃料収入を得る一方、退居後は中古マンションとして中古市場で販売していく――。これがスター・マイカのビジネスモデルである。こう書くと、単純なビジネスモデルに聞こえるが、なかなかどうして他社には真似ができない。なぜ逆風下でも安定的な利益を出しているのか。なぜ競合他社に真似ができないのか。ゴールドマン・サックス証券に在籍中、伝説のプライベートバンカーとしてならした水永政志社長に話を聞いた。
(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者 篠原匡)

水永 政志(みずなが まさし)

1964年生まれ。東京大学在学中に、コンピューターソフトウェア会社を設立。卒業後、三井物産に入社。UCLA経営大学院への海外留学を経て、ボストン・コンサルティング・グループに入社。その後、ゴールドマン・サックス証券に移籍。プライベート・ウェルス・マネジメント部長として、上場企業のオーナーなど、個人資産家を対象とした資産運用を統括した。2001年、スター・マイカを設立

(写真:村田和聡、以下同)



――経営破綻や営業赤字に転落する不動産企業が相次いでいる今、黒字基調を維持しているスター・マイカの堅実性は際だっています。既に入居者がいて賃貸されている中古マンションをオーナーチェンジで取得し、賃料収入を得る一方、退居後は個人に販売していく――という独自のビジネスモデルはどのようにして生まれたのでしょうか。

水永 私は証券会社の出身ですが、金融商品などの流動性を上げるためには、売り手と買い手の双方の希望する価格を提示することが非常に有効、と教えられてきました。有価証券や為替のマーケットメイクを見ればわかるように、「いくらなら売る」「いくらなら買う」と気配を出すことによって、値段がつきやすくなるわけですね。ところが、不動産は正反対のマーケットでした。

1年間に売買するマンション数、1000戸!

 不動産を売却したことがある方ならご存じでしょうが、不動産は有価証券とは違って、売りたい時にすぐに売れるとは限りません。特に、賃貸中のマンションは流動性に問題があるため、売却したとしても価格が低くなってしまう。こうした流通しにくい物をちゃんと流通させる、つまり売りたい相手から不動産を買うことがビジネスになるのではないか。そう思ったことがそもそものきっかけでした。

――それから今のビジネスモデルに発展したわけですか。

水永 先ほども申し上げたように、賃貸中のマンションは価格が安いので安く買うことができる。従って、入居者のいる中古マンションを割安に購入し、しばらく保有しておき、空室になったら普通に売る、と。賃貸中のマンションは流動性が低いので、こうしたビジネスとして成り立つわけですね。

――入居者のいる中古マンションと通常の中古マンションの価格差に注目したわけですね。

水永 もっとも、普通の不動産業者の発想であれば、マンション価格を上げるために、すぐに入居者を追い出すでしょう。ただ、我々は不動産屋ではなく金融屋なので、人を追い出すということをしなかった。それが、従来の不動産業界で見ると、新しくもあり、まどろっこしくもあったのでしょう。

 現在、スター・マイカはバランスシートで約1000戸のマンションを保有しています。我々の取得するのは2000万~3000万円の中古マンション。それを、年間に500戸の物件を購入し、400~500戸の物件を売却している。それで、1000戸が維持されている感じでしょうか。年間に不動産を1000回取引している会社はそうそうありませんよ。

――取得したマンションはどのくらい保有するのでしょうか。

水永 だいたい1年半から2年の間。このビジネスはすぐには儲かるものではありません。ゆっくり儲かるタイプのビジネスですね。

ビジネスモデルとは同じことを何万回と実現する仕組み

――リターンはどのくらいですか。

水永 賃料収入は7~9%ほど。賃貸が終わり、空室物件として売却する時のキャピタルゲインは昨年の結果で12%でした。物件を購入する時は、賃料収入で7~9%、キャピタルゲインでは10%のリターンが上がるように値段をつけていますね。

――短期で転売するよりも、リターンが高くないですか。

水永 そうですね。2年間、8%の賃貸収入を得ていたと仮定すると、「8%」「8%」「12%」の28%ですか。2年で28%儲かるというのはなかなかいいのではないでしょうか。

 この数年、ビルを購入し、短期で転がすという商売がはやりましたよね。あの人たちは、普通に儲けても1割から2割の間だったんですよ。すぐに転売して1割も儲かるのならいいじゃないか、という意見もあるでしょうけど、あの手のビジネスは繰り返すのが大変。儲かる時は儲かるけど、再現性がないんですよ。

――「再現性」とは。

コメント3件コメント/レビュー

年収500万の層で2000万位の中古マンションが売れる。服でも食事も高い店ではなく、マクドナルドとcoco一番が売れている。参考になりました。(2009/05/23)

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「「地味で安いからこそ儲かる」。危機下で稼ぐ不動産会社」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

年収500万の層で2000万位の中古マンションが売れる。服でも食事も高い店ではなく、マクドナルドとcoco一番が売れている。参考になりました。(2009/05/23)

素晴らしい記事です。飽きない(商い)という意味を本当に考えさせられるお話でした。短期間でどーんと儲かる話しのほうが、メディアには取り上げられやすいですが、実際に仕事をしている者とすれば、こういうコツコツ儲ける話しの方が役立ちます。またこういう記事を待っています。(2009/05/22)

おもしろい。とても投資銀行で数百億の金を動かしていた人とは思えない発言がぼろぼろ出てきて興味深かった。でも、結局このような地道なやり方が一番うまくいくということなのでしょうか?発想がとても製造業的な人ですね。(製造業界人)(2009/05/22)

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