「出張自粛により、お伺いできなくなりました」
昨日、打ち合わせを予定していたお客様から、こんな連絡が来た。社員の新型インフルエンザ感染を防ぐために、出張が自粛となったのだ。首都圏でも新型インフルエンザの感染者が確認されたので、企業の社員感染対策は、さらに進むだろう。
万が一社員が感染すると社内に広がり、欠勤者が続出、業務が停滞する。さらに今回の場合、別の意味で怖いのが「社内に新型インフルエンザ感染者が出た」ということによる風評被害だ。社員が感染すると、企業は大きなイメージダウンになりかねない。
しかし今、大切なことは、目の前の現状だけを見て「過剰反応する」ことでも、「安心する」ことでもなく、この経験を生かして次への体制を備えることではないだろうか。
今回の新型インフルエンザは、季節性のものと変わらないことが分かってきたが、将来毒性が強まったり、冬に大流行したり、あるいは従来恐れられている鳥インフルエンザが同様の状況になる危険性が確実に存在しているのだ。
「自宅待機」よりも「在宅勤務」を
もし、致死率の高い強毒性のウイルスが今回のような勢いでパンデミック(世界的大流行)を起こしたら…。社員全員マスク着用とか、出張自粛とか、時差通勤とか、そんなレベルの話ではなくなるだろう。
メキシコで新型インフルエンザが広がり始めた時、その毒性がまだ分からない時点で、「自宅待機」を言い渡す現地企業が多くあった。最良かつ最速の感染予防だからだ。
しかし「自宅待機」は、「自宅にいて、仕事をしない」ということであり、「事業の継続」を考えると、企業にとっては非常に厳しい選択だ。
では、どうすればいいのか。その答えとして、注目を浴び始めているのが「在宅勤務(テレワーク)」だ。社員が自宅でパソコンとネットワークを使って仕事をすることで、感染リスクを最小限に抑えつつ、仕事を継続できる。
米国では、新型インフルエンザの感染者が出て数日もたたないうちに、連邦人事管理局(OPM)が、州政府のテレワーク・ポリシーを強化することを発表した。 ちなみに、米国の60%の州政府機関が災害時における事業継続計画にテレワークを含めている。
日本政府は、2007年にテレワーク人口倍増アクションプランを発表し、2010年には就業人口の20%が、テレワークすることを目指し、様々な施策を実施している。
しかし、日本の企業における在宅勤務の現状は、「週1日から2日程度」で、対象も育児・介護中の社員に限定されていることが多い。つまり、パンデミック対策として有効な「社員の多くが、同時に、継続的に在宅勤務をする」体制は、整っているとは言い難いのが現状だ。
オフィス機能ストップを体験して分かる危機管理
私が経営する会社のオフィスは、奈良県と北海道にある。
2つ目の拠点を置くことを決意したのは、5年前、北海道のオフィスを爆弾低気圧による大雪が襲った時だった。3日間、延々と雪が降り続き、2メートル近くの積雪となった。飛行機、電車、道路、すべての交通が途絶え、コンビニの食料品は底を突き、社員は出社できなくなり、オフィスの機能がストップした。
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