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人気でも「日本一」を目指す
30年続いた事業形態を刷新

埼玉西武ライオンズ

2009年5月27日(水)

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2008年11月9日に読売ジャイアンツを4勝3敗で破り、4年ぶりに日本一を奪回。
通算16回のリーグ優勝を誇るも、ここ数年は親会社の上場廃止などで売却も取り沙汰された。
これまでグループ内の複数企業に分けて運営してきた野球事業を一本化、
権利と責任を球団運営会社に集約することで、人気でも日本一を目指す改革が加速した。 (文中敬称略)

<日経情報ストラテジー 2009年1月号掲載>

プロジェクトの概要

 1978年10月にクラウンライターライオンズを買収して、本拠地を福岡市から埼玉県所沢市に移した西武ライオンズ。“常勝”と呼ばれ、2006年まで25年にわたりAクラス(3位以上)を守ってきた。ただし、その強さに見合う観客を呼び込めない球団でもあった。

 メスを入れたのは30年近く続いていた事業形態。チームの管理、試合の興行、球場運営をグループ内の異なる企業が担当していた。責任の所在もあいまいになるし、経営にスピード感は生まれない。球団運営会社である西武ライオンズに野球事業を集約することで、これまでになかったイベント企画も可能になった。顧客満足を追求した結果、観客動員(客数)とチケットの平均価格(客単価)を同時に引き上げた。西武ホールディングス(東京・豊島)の中核企業から出向してきたエース級の社員に“凄腕助っ人”らが加わった球団改革を追った。

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 接戦となった2008年のプロ野球日本シリーズ。第7戦を逆転勝ちした埼玉西武ライオンズ監督の渡辺久信は直後のインタビューで「1年で何とか強いチームに立て直そうと思っていた」と口にした。新人監督ながら、“おかわり君”こと中村剛也や、シリーズ中に完封勝利から中2日でリリーフ登板してみせた岸孝之、果敢な走塁でチームを鼓舞した片岡易之ら個性的な面々をまとめ上げた。

 チームが前年5位から日本一を奪回した一方、球団運営会社西武ライオンズ(埼玉県所沢市)も見事なV字回復を見せた。12球団最少に落ち込んだ観客動員数は前年比29%増で7位に、様々なチケット戦略が奏功して平均単価は40%増。長年十億円単位の赤字が当たり前であったパシフィック・リーグにおいて、2010年の営業黒字を目指す。

 日本一になった強さだけが、観客を呼び寄せたわけではない。ライオンズは2006年まで25年連続でAクラス入りを果たしてきた“常勝”チームだが、強さに見合った集客は無かった。2008年は何が違ったのか。答えは監督・渡辺と同様に「何とか強いチーム(会社)に」と改革に挑んだ球団運営会社としての西武ライオンズにある。

30年の慣習に立ち向かう

 改革は2年前の春に始まった。2006年4月、軽井沢プリンスホテル副支配人の荒原正明は西武ライオンズへの異動を命じられた。ライオンズは長年、新卒社員を採用しておらず、グループ内の西武鉄道(東京・豊島)とプリンスホテル(東京・豊島、当時コクド)からの出向者が大半を占める。珍しい人事ではなかった。

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 現在事業部長の荒原は西武鉄道の沿線で育ち、球団設立時は小学5年生。初年度は40回も球場に足を運んだが「5回勝ったかどうか」(荒原)。開幕12連敗を喫して最下位に終わったものの、以来ずっとライオンズ一筋だった。ホテル事業の楽しさを感じていたが、所沢への単身赴任を決意する。

 ライオンズを応援していても球団経営に詳しいわけではなく、2006年シーズンは「何もできなかった」という。門外漢であったことだけが理由ではない。球場内でのイベントにせよ、チケットの販売戦略にせよ、球団運営会社のライオンズにやれることは限られていたからだ。

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「存亡の危機からの脱出 改革の軌跡(第2部)」のバックナンバー

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「人気でも「日本一」を目指す
30年続いた事業形態を刷新」の著者

上木 貴博

上木 貴博(うえき・たかひろ)

日経ビジネス記者

2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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