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「買わない消費者」に新スタイルの住宅

「持たない生活」志向を追求する「コレクティブハウス」

2009年5月25日(月)

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 世界経済危機で一気に冷え込んだ日本の消費。住宅メーカー、自動車販売店、百貨店などの販売不振が連日、メディアで報じられている。

 だが、消費低迷の理由は景気の悪化ばかりではない。「日経ビジネス」が4月に実施した読者アンケートでは、消費の飽和やそれに伴うモノ離れの実態が明らかになった。

 今回は日経ビジネス誌2009年5月25日号特集「物欲消滅 『買わない消費者』はこう攻めよ」の連動企画として、特に住宅に対する読者のアンケート結果から新たなニーズを考える。また新たな賃貸ビジネスについても紹介していく。

 住宅業界で注目を集めている「コレクティブハウス」という、新たな形態の賃貸住宅をご存じだろうか。

 共有スペースを重視した賃貸住宅のことで、同じ住宅に住む複数の住民同士で洗濯機や大型テレビ、クルマなどのモノを共同所有し、食事や清掃など生活の一部を協力して行う、いわば共同生活型の賃貸住宅だ。共同生活の運営・管理は居住者が自主的に行う。ただし個人の住居は独立しておりプライバシーは守られている。

 今年4月、東京都多摩市の京王線「聖蹟桜ヶ丘」駅から歩いて5分ほどの場所に完成した「コレクティブハウス聖蹟」もその1つだ。25平方メートルのワンルームから50平方メートルの2LDKまで全20戸がある地上2階建ての賃貸マンション。一見するとどこにでもある普通の新築マンションだ。しかし、建物の中に入ると雰囲気は通常のマンションとは異なっている。各部屋への通路は屋内にある。床と壁の一部は板張りになっており、さながら旅館や和風ホテルのようである。

東京多摩市にあるコレクティブハウス。写真右の広いウッドデッキと奥のキッチンのダイニングは住人の共有スペーだ。
画像をクリックして拡大表示

 そして最大の特徴は、共同のキッチンと食堂があること。火力の強いガスバーナーやオーブン、大型冷蔵庫や食器洗い乾燥機などの調理器具が揃った調理場と、20人分のテーブルを置いたダイニングは72平方メートルの広さがある。夕方になると住人が三々五々集まり分担して調理を始める。子供は食堂の外に付随しているウッドデッキを走り回って遊び、親が料理をしながら時々、子供の様子に目をやる。

 調理に参加しなかった人も加わり、食事は19時頃から始まる。1時間程度で終わると、食材を購入した入居者がスーパーのレシートを持ち寄って計算を始め、参加者の頭割りで代金をその場で回収する。「コモンミール」と呼ぶ共同の食事会だが、決して特別な催しではない。毎晩、住民の当番制で行われる。参加は自由で、事前に予約をしておけばよい。

「コモンミール」と呼ぶ夕食会は毎晩開催される。参加は自由で費用は人数頭割りが基本。当番制で運営、管理は住民が話し合って決める。

 そのほか、リビングや洗濯機などの共有スペースがあり、特に部屋が狭いワンルームの住人が利用できるようになっている。

家事分担で合理的な生活を送る

 共同スペースがある分、相場に比べて家賃は若干高い。また、入居時には1人当たり25万円の出資金が必要で、そのほか毎月約1万円の会費を支払う。建物に関する管理費用は大家持ちだが、建物周りの植栽や共用部の清掃作業やそれにかかる費用は住人持ちだ。

 これら通常のマンションにはない負担を払ってまで、住民がコレクティブハウスに住む動機とは何か。住民の声を聞いてみよう。

 2歳の子供を持つ共働き夫婦の場合、20代後半の奥さんは「以前は通常の賃貸マンションに住んでいたが、働きながらの子育ては大変だった。近所付き合いもほとんどなく、3人だけの生活が続いたことで閉塞感が増し、それが私だけでなく子供にも悪い影響をもたらすと感じていた」と語る。

 一家はコレクティブハウスに入居し生活が一変した。ここでは帰宅すれば常に食事が用意されている。自分が当番となることもあるが、それは月に数回だけ。しかも、子供から、若い独身者、家族持ちからお年寄りまで様々な世代と触れ合うことができる。子供からちょっと目を離しても、子供同士遊んだり、誰かが面倒を見ていたりと、子供にとっても親にとってもストレスなく過ごせると言う。

 一方、60代後半の女性はワンルームに一人暮らし。2年前に2人の息子が相次いで結婚し、自宅での一人暮らしとなった。寂しさや将来不安があるうえ、息子から心配をかけられることが心理的な負担となり、コレクティブハウスへの入居を決意した。ここでは得意な料理の腕を生かし、周囲に感謝されながら共同生活を送ることができ「共同生活のルール作りなど大変なこともあるが、楽しいことが多い」と語る。

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「「買わない消費者」に新スタイルの住宅」の著者

宇賀神 宰司

宇賀神 宰司(うがじん・さいじ)

日経ビジネス記者

日経クリック、日経ベンチャー(現・トップリーダー編集などを経て、2007年1月から日経ビジネス編集記者。流通、中小ベンチャー、マネジメント、IT(情報技術)を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師