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郵政民営化は、お手本を失った

小泉・竹中ラインが目論んだ成長戦略の挫折

  • 大矢 昌浩

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2009年6月2日(火)

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 日本の郵政民営化を強力に推進した小泉純一郎・竹中平蔵ラインが、手本として盛んに持ち上げた「国際インテグレーター」の事業モデルが瓦解している。世界中に張り巡らした輸送ネットワークとフルラインの物流サービスを兼ね備えた総合物流会社というビジョンは、物流市場において今や説得力を失った。

 グローバル物流市場で4強とされる会社をご存じだろうか。売り上げ順に、独ドイツポスト、米UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)、米フェデックス、蘭TNTである。このうちドイツポストは、独郵政局が民営化して大手物流会社の米DHLを買収したもの。UPSとフェデックスは米国の国際宅配会社、TNTはオランダ郵政局が前身だ。

 いずれも、貨物航空機や陸上輸送網を自社で所有し、複数の輸送モードを組み合わせたドア・ツー・ドアの複合一貫輸送を行っていることから、国際インテグレーターと呼ばれている。うちドイツポストとTNTは郵政民営化の成功例としても評価されてきた。

各社「ワンストップ」の旗を降ろす

 1990年代末から2000年代前半にかけて、国際インテグレーターの4社は世界各地の有力物流会社を次々に買収して自らの傘下に収めた。物流サービスのワンストップ・ショッピングが可能なインフラとメニューを揃えて、グローバル企業のロジスティクスを一手に担うアウトソーシング企業に進化しようという戦略だ。

 そのノウハウを学ぶため、小泉首相時代には日本郵政の経営陣がドイツポストを頻繁に訪問して指導を仰いでいる。また、2005年には日本郵政とTNTとの間で合弁会社の設立を前提とした業務提携も結んでいる。

 ところが現在、国際インテグレーター各社は一時の買収攻勢から一転し、海外に広げ過ぎた戦線を縮小して、事業モデルの建て直しを迫られている。

 最大手のドイツポストは今年1月30日、米国の国内輸送市場からDHLエクスプレスを撤退させた。ドイツポストにとって米国市場はライバルのUPSとフェデックスが本拠地とする敵の本陣。そこに足場を作るため、2003年に米国3位のエアボーン・エクスプレスを10億ドルで買収した。

 しかしその後、DHLエクスプレスUSは巨額の赤字を計上し続けた。もともとエアボーンの運賃単価はUPS、フェデックスよりも10~15%安かったとされる。2強に比べて不十分なネットワークとサービスレベルから、低価格を余儀なくされていた。

コメント6件コメント/レビュー

誰も困っていないのに突然始まった郵政民営化。時の総理が就任以前より郵貯の財政投融資について、その使途について検討をするべきとの主張だったと認識しています。郵政各事業のサービスについてその当時、郵便、保険、郵貯いずれにおいても利用に際し、不便を感じていただろうか。おそらく多くの利用者がそうは感じていなかったと思う。利用者のための民営化ではなく、改革という名の政争に巻き込まれただけではないのか。志と結果がこれだけ乖離する改革は政治家にありがちな結末か。チルドレンといわれる存在も郵政民営化なくして存在してませんもんね。鳩山大臣がんばれ。(2009/06/04)

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いただいたコメント

誰も困っていないのに突然始まった郵政民営化。時の総理が就任以前より郵貯の財政投融資について、その使途について検討をするべきとの主張だったと認識しています。郵政各事業のサービスについてその当時、郵便、保険、郵貯いずれにおいても利用に際し、不便を感じていただろうか。おそらく多くの利用者がそうは感じていなかったと思う。利用者のための民営化ではなく、改革という名の政争に巻き込まれただけではないのか。志と結果がこれだけ乖離する改革は政治家にありがちな結末か。チルドレンといわれる存在も郵政民営化なくして存在してませんもんね。鳩山大臣がんばれ。(2009/06/04)

小泉政権時代、既にオーストラリアは民営化失敗で再国有化した、、、というような主張が当時の国会内でもネタにした議員がいたはずで、「瓦解」というのであれば当時から始まっていたはずですから、「お手本を失った」という表現には最初から違和感を感じました。「最初から手本は無かった」なら賛同できました。●宅配に限りませんが、それが儲かる商売なら、そう簡単にM&Aの対称になるはずはない(儲かってる企業なら、当然に買収コストも高い→購買側の資力が不足する)ので、M&Aが成立していた時点で怪しいのです。今すぐにでも郵便事業だけは国営に戻せ、というのが小泉政権時代から変わらない私の主張です。保険・貯金部門は廃止で構いません。「民間でできることは民間で」、自体には賛成ですし、両部門は従前から、そして今でも複数企業が継続的にやっていけるジャンルの商売ですから。●ヤマトが「やっていける」というのはハッタリでしょう。本当にやっていけるのなら、メール便は郵政省時代の郵便料金80円と同額ではなく70円以下にするべきで、今すぐ値下げすれば偽障害者団体を使っていた客からDMを奪い取れるはずです。それに、郵便局は転居転送してくれるので、ヤマトなら80円で済む(代わりに転居されれば絶対に届かない。)と判っていても郵便を使っている(郵便局にハガキ1枚だすだけで1年間無料転送。という行為をヤマトが実施するとはとうてい思えない。)組織は多いですし、そもそも、裁判の証拠になる旧配達記録や内容証明郵便には手を出す気などさらさら無いはずです。彼らに旧郵便局の代わりは勤まりません。●郵政民営化の利点は、最初から無理と嘘を塗り固めていただけだと今でも思います。(2009/06/03)

結果評価のみであり、本来の検証論議抜きであるつまり小泉・竹中の施策取り組みの評価検証は安倍・福田両首相が検証改善をすべきであった、検証もせずに途中放棄での今日の結果のみの評価批判は如何なものか(2009/06/03)

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三品 和広 神戸大学教授