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低価格になびかない消費者は残っている

狙うべきは、高品質を求める消費者層

  • 上田 隆穂,中野目 純一

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2009年6月6日(土)

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 「100年に1度」とも言われる今回の不況。まるで蒸発でもしたかのように需要が急減した事態を受け、商品の大幅な値下げや特売で需要を喚起しようとする動きが、小売りを中心に広がっている。

 「だが、その多くは利益をきちんと確保する仕組みを伴わず、周囲に追随して無謀な値下げを繰り返しているに過ぎない」。企業の価格戦略研究の第一人者である学習院大学経済学部の上田隆穂教授はこう喝破する。

 需要蒸発に見舞われるほど深刻な不況にあっても、利益を出せる価格を設定する。そして、その価格で製品やサービスを消費者に購入してもらう仕組み作りが必要だと上田教授は説く。今回の連載では、同教授に、企業が本当に実践すべき価格戦略について企業の実例を基に解説してもらう。

(取材構成:日経ビジネス記者 中野目 純一)

 「イオンの価格は、他店にくらべて、決して安くはありませんでした」「イオンの売場には、欲しいと思える商品が並んでいませんでした」「イオンは、お客さまへのサービス改善を、怠っていました」

 総合スーパー最大手のイオンは今年3月、こうしたお詫びの言葉を並べた広告を出し、生活必需品5100品目を値下げするキャンペーンを始めて話題を呼んだ。

 同社だけでなく、小売りの大半が商品の大幅な値下げや特売の実施に踏み切っている。それに伴って、消費財メーカーの多くが、自社製品の値下げを余儀なくされている。

 1年前の今頃はまだ、資源や原材料の価格高騰を背景に、多くの企業が値上げを検討し、小売りも容認の姿勢を示していた。それが昨年9月のリーマンショックを境に消費財の需要が急減するや否や、今度は値下げへと一斉に動き出したわけだ。

 その企業の姿に、デジャヴ(既視感)を覚える人も多いだろう。バブル崩壊後にモノやサービスの価格が下がり続けたデフレを思い起こさせるからだ。

 「価格破壊」という流行語まで生み出した本格的なデフレが再来すれば、それは、多くの企業にとっては悪夢のような出来事であるに違いない。

 価格がとめどなく下落し続けたため、売り上げの増大によって業績を回復させるどころか、利益の確保がままならなくなって業績をさらに悪化させる企業が続出したからである。その結果、多くの企業が経営に行き詰まって破綻した。

 この苦い経験を踏まえて、2000年代に入って景気が拡大し始めると、多くの企業がデフレからの脱却を図った。製品やサービスの質に見合った適切な価格を設定し、利益をしっかりと確保しようと努めたのである。それが今、再び価格破壊のオンパレードへと逆戻りしようとしている。

「恐慌」でも消費者は一様にはならない

 確かに需要が世界的に“蒸発”してしまった今回の不況は深刻だ。今年1~3月のGDP(国内総生産)が年率換算で戦後最悪の15.2%のマイナスとなるなど、各種の統計結果が深刻さを物語っている。

 「景気の悪化に伴って、消費者の購買意欲は急速に冷え込むはず」。こう考えるのはごく自然な反応だろう。だからこそ、大幅な値下げや特売による価格破壊の動きが再び勢いを増しているのである。

 しかし、すべての消費者が一様に価格の安いモノしか買わなくなっているのだろうか。

 答えは「否」である。現実には不況がどんなに深刻でも、価格の低さよりも商品やサービスの質を重視する消費は存在する。すべての消費者が一様に同じ消費行動を取るようになることはないのである。

コメント4件コメント/レビュー

安けりゃ良い、わけではないのは当たり前。でも高くて個性的な商品が大量に売れることも無い。ニッチで高付加価値、価値を認めてくれる少数を相手にする、は経済の主流にはなれない。日本の一般消費者の所得はどんどん下がっていますし、これからも更に下がるでしょう。中国やインドの所得はどんどん上がっていますが日本のレベルに到達することは無いのではないか、と思います。つまり、これからの消費社会は、極少数の富裕層と圧倒的多数の低所得層になる。ただし、貧困層では無いので生活レベルは追い求める。これからの消費財は、基本機能と性能をいかに安く提供するかという競争になる。輸出で稼いで、原料やエネルギー、食料を輸入に頼らざるを得ない日本。高付加価値路線では生き残れないのは明らかだと思います。(愚痩子)(2009/06/09)

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いただいたコメント

安けりゃ良い、わけではないのは当たり前。でも高くて個性的な商品が大量に売れることも無い。ニッチで高付加価値、価値を認めてくれる少数を相手にする、は経済の主流にはなれない。日本の一般消費者の所得はどんどん下がっていますし、これからも更に下がるでしょう。中国やインドの所得はどんどん上がっていますが日本のレベルに到達することは無いのではないか、と思います。つまり、これからの消費社会は、極少数の富裕層と圧倒的多数の低所得層になる。ただし、貧困層では無いので生活レベルは追い求める。これからの消費財は、基本機能と性能をいかに安く提供するかという競争になる。輸出で稼いで、原料やエネルギー、食料を輸入に頼らざるを得ない日本。高付加価値路線では生き残れないのは明らかだと思います。(愚痩子)(2009/06/09)

企業は格安激戦をしていると思いますが、消費者にとってはもっっと値下げしてほしい所。だが、企業もそうは言ってられず、むしろこのままいけば、現状維持もしくは、ヒートアウトするだけだと思う。では、企業は何をすればいいか??コストダウンと整頓、エコがキーワードだと思います。エコなら、消費者は食いつくし、関心あるし。整頓は要か、不要か?不要なら捨てる。やめる、止める。きっぱり白黒させること。コストダウンにもつながると思います。あとは、企業のココ一番っていう商品を磨きをかけること!!ここ数年はじっと耐えるしかないと思います。(2009/06/06)

何故いつも、作り手側からの発想になってしまうのか?使う側、利用する側からの発想がないのが残念だ。自分たちができることをいくら並べても、所得の高低、財布の余裕の有無に関わらず、彼ら(我ら)が望んでないものは、売れる分けがない。マーケットなんて言う顧客はいない。個性ある我侭な人間がいるだけ。「木を見て森を見ず」とは言うが、「森をみても木の個性を知らなれば、森は枯れてしまう(顧客は離れて行く)」かも知れない。そう言う意味では、「対面販売」が基本なんでしょう。望まれるものは、量の大小はあっても必ず売れる。これが商売・経済・市場の原則だと思う。一口に需給関係と言うが、ない物は売れない。所謂市場はリニアな関係にはなっていないと思うが。工場生産=量産化⇒安値生産からの呪縛(制約)から逃れて初めて、顧客に向き合えるのではなかろうか。欲しい物をその場で作る、これが(究極の未来の)「工場」かも知れない。(寿司屋は高いが!)(2009/06/06)

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三品 和広 神戸大学教授