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会社の履歴書【3】東芝

「強い東芝」への胎動 1

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2009年6月8日(月)

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 バブル崩壊後、日本企業は好むと好まざるとにかかわらず、大きな「変革」を余儀なくされた。金融部門の痛みは、日本企業の成長を支えた間接金融の縮小、株式の持ち合いの解消を迫り、急速に進展したグローバル化は終身雇用、年功序列の終焉をもたらした。その中で問われたのは企業の変革能力である。劇的に変化する外部環境にどう対応し、組織をどう変えていくのか。それに成功した企業もあれば、依然として対応し切れない企業もある。企業が「失われた15年」をどう生きたのか。1991年以降、「日経ビジネス」で取り上げた日本の代表的な企業の記事を「会社の履歴書」として取り上げる。
(文中の肩書き、名称などは掲載当時のままです)

東芝

 日立製作所と並ぶ日本の総合電機の雄、東芝。同社のここ20年は、事業の「選択と集中」に注力した歴史だった。その最終章を飾ったのが2006年に発表された原子力発電大手の米ウェスティングハウスの買収。54億ドルの巨費を投じたこの買収は東芝にとって、次の20年で収益を確保する戦略的投資。CO2削減が世界的に喫緊の課題となる中で、原子力発電需要が大幅に高まるとにらんでのものだった。ただし2009年3月期には、半導体事業の大幅赤字で、自己資本比率が8%台まで低下、5000億円規模の増資に追い込まれた。新たな「選択と集中」戦略が注目される。

* * *

1991年12月16日号より

「強い東芝」への挑戦が始まった。ヒト、モノ、カネの経営資源を集中投入する「選択経営」で液晶など新規事業の早期離陸を図る。これまで収益源だった半導体、パソコンの不振で、経営の再構築が迫られている。同時に抜てき人事やエリート養成で、仲良しクラブと言われる東芝の「甘えの構造」を払しょくしようとの試みも始まった。

(野中 高秀、中川 貴雄、野間 潔)

パソコンに不況直撃 「選択経営」次は液晶

 1991年1月末、コンピューター事業を統括する水嶋都香常務(情報処理・制御システム事業本部長)は、産業用エレクトロニクスを担当している奥田友弥専務から呼び出され、「欧米のパソコン市場がおかしい。急いで対応策を打って欲しい」と指示を受けた。

 欧米のパソコンは日本から部品を供給して現地で組み立てるノックダウン生産。国内からの部品供給を絞り込む一方、パソコン事業の責任者の溝口哲也パソコン・ワークステーション事業部長ら10人を米国に派遣した。

 1カ月かけて現地の製造、販売体制を隅から隅まで調べた。その結果分かったのは、パソコン市場の“史上最大の急変”(水嶋常務)。売れなくなったにもかかわらず、販売前線の情報が日本にうまく伝わらず、現地で危険水域を超える在庫を抱えてしまった。

 急きょ在庫整理をしなければならない。その上、「ライバルのコンパック、IBMなどが販売不振で相次ぎ値下げ。対抗上、うちも値下げせざるを得なくなり、一層、収益を悪化させた」(溝口事業部長)。しかも、市場急変が米国と同時に欧州でも起こり、今年後半から国内にも波及しつつある。「91年度上期のパソコン事業は赤字」(大手証券アナリスト)。大打撃だ。

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