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大日本印刷がブックオフに出資した理由(後編)

「潜在的な顧客を、むざむざ失う必要はない」

2009年6月18日(木)

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 取り次ぎの図書館流通センター(TRC)に始まり、書店大手の丸善、ジュンク堂書店、出版社の主婦の友社を傘下に収めた大日本印刷。出版業界へのM&A(合併・買収)、出資攻勢は、今年5月、古本販売最大手のブックオフコーポレーションへの出資で、一応の幕を閉じた。

 講談社、集英社、小学館の出版大手3社と協調した出資。合計、約29%を握り、そのうち大日本印刷グループは約16%と筆頭の位置につけた。

 発売直後に新品同様の出版物が半値でブックオフの店頭に並ぶ様は、出版業界にとって目の上のたんこぶでしかなかった。株主の立場で取り引きを規制し、業界を守ろうとしているのか。大日本印刷の森野鉄治常務取締役に聞いた。(「大日本印刷がブックオフに出資した理由(前編)」を先にお読みください)

(聞き手は、日経ビジネスオンライン記者 井上 理)


 (前編から読む)

 ―― メディア制作のプラットフォームだけではなく、流通の一大プラットフォームも作ろうとしていますよね。そのために、TRCを買収した。ブックオフへの出資も、その文脈ですか。

 森野 さっきも話したように、我々が140刷っても、40は返本として返ってきてしまう。それを、ロスとして本当に断裁しちゃっていいんですか、という問題があるわけですよね。

 ロスを減らす努力をしても、どうしても断裁せざるを得ないものも残ってしまう。その時、社会正義からしたって、断裁される前に活用されるべきだろうと。そのために、新刊本以外の小売業も、プラットフォームの仲間に入れたわけです。

 ―― ロスとなった書籍は、断裁される前に再販指定を解除されて、いわゆる「自由価格本」や「バーゲン本」「B本」と呼ばれる形で、安売りされることがある。ブックオフも、全国約900店舗のうち約160店で取り扱いを始めています。新刊本でも中古本でもないバーゲン本の市場も拡大させたいと。

独禁法に違反しない範囲で中古本販売のルールを整備

大日本印刷の森野鉄治常務取締役
(写真:陶山 勉)

 森野 推定ですが、今、出版物の販売部数が年間7億~8億冊ぐらい。図書館は1割だから7000万冊か8000万冊。でも、だいたい1冊平均で10回貸し出しがあるから、読者の数は同じです。だから、新刊で読んでいる人が延べ7億~8億人、図書館も延べ7億~8億人。

 それからブックオフだけでも年間約2~3億冊の取り扱いがある。これも考えてみれば、紙メディアの大事な顧客であって、延べ7億人+7億人+2億人の市場があるということです。

 だから、出版業界全体のことを考えるのであれば、図書館やブックオフのような中古本、バーゲン本の市場も含めて、効率的な流通のプラットフォームを作らないといけない。

 バーゲン本の還元は議論のあるところではありますが、結果としては読者を増やすことになるので、やっぱり大事だろうと。還元すれば、読んでくれるであろう潜在的な顧客を、断裁して捨てちゃって、むざむざ失う必要はありません。

 ただし、一物二価になってしまっては新刊が売れなくなってしまうので、整然とした管理があってのうえですが。

 ―― とはいえ、大手はいまだにバーゲン本を放出していないし、ブックオフが扱う出版物の大半は中古本。ここのコントロールが本当の狙いなのでは。

コメント6件コメント/レビュー

モノを増やすことが大嫌いなので、図書館 や 中古本の売買を頻繁に利用します。 ですが、いつもどこかで、著作権者へ対価を支払うことができない後ろめたさを感じています。 →電子ブックの早期普及を含め、読者も作者もハッピーな(=経済的メリットを享受できる)システム作りを期待いたします。(2009/06/23)

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「大日本印刷がブックオフに出資した理由(後編)」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

モノを増やすことが大嫌いなので、図書館 や 中古本の売買を頻繁に利用します。 ですが、いつもどこかで、著作権者へ対価を支払うことができない後ろめたさを感じています。 →電子ブックの早期普及を含め、読者も作者もハッピーな(=経済的メリットを享受できる)システム作りを期待いたします。(2009/06/23)

裁断が減ればコストも減るわけですから、新刊の値段を下げて欲しいですね。最近は文庫でも1000円越えが珍しくないので、買うのに躊躇することがあります。(2009/06/21)

「kindleは敵ではない」。確かに一理あります。Kindleも出版業界もGoogleという共通の敵を抱えているのですから。(2009/06/21)

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