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社内から顧客へ起点を逆転
次世代システムを生んだ危機感

ヤマト運輸

2009年6月24日(水)

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サービス開始から2006年1月でちょうど30周年を迎えたヤマト運輸の宅急便。
取扱量の増大に、社内の業務支援システムを刷新することで対応してきた。
一方、2005年春の120億円かけたシステム刷新は従来と異なり、顧客起点に狙いを変えた。
ナンバーワンの地位を守るために新サービスを提供できる基盤が必要だった。 (文中敬称略)

<日経情報ストラテジー 2006年3月号掲載>

プロジェクトの概要

 ヤマト運輸は、数年おきにセールスドライバーの業務を支援する「NEKOシステム」を刷新してきた。2005年春の刷新は6回目となるが、あえて第6次とせず、「次世代システムプロジェクト」と名付けた。

 このプロジェクトが発足したのは2003年10月。それまでは、年々増え続ける取扱量をこなすための業務改善が大きな目的だった。プロジェクトリーダーは今回のプロジェクトも当初はその延長線上で考えていた。だが、社長は違った。顧客サービスを向上させるための仕組みを構築するように命じた。その結果、「ご不在連絡eメール」などを実現した。

 次世代システムの投資額は120億円。そこまでかけたのは、宅配便のパイオニアながらライバルに差を縮められつつある危機感があったからだ。

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 最近、ヤマト運輸の宅急便で新しいサービスが増えたのをご存知だろうか。不在通知書に印刷された2次元バーコードを携帯電話で読み取らせると担当のセールスドライバー(SD)と電話できるサービス。配達を事前に知らせたり、不在時にあらかじめ登録したメールアドレスにお知らせが届く「ご不在連絡eメール」などだ。これらの新サービスを陰で支えているのが、「次世代システム」である。

SDの腰には携帯業務端末、携帯電話など4つの道具が巻きついている (写真:村田和聡)

 SDのベルトには、新型の業務端末のほかに、小型プリンター、携帯電話、クレジットカード決済端末が付いている。4つの端末が無線通信技術「ブルートゥース」でやり取りすることで、コードで接続することなく通信できる。これらによって2次元バーコードを印字できたり、顧客にリアルタイムで荷物の位置を伝えられるようになった。

 同社は、年々増え続ける荷物をさばくために情報システムの刷新を繰り返してきた。それがSDの業務を下支えするNEKO(通称ネコ、ニュー・エコノミカル・カインドリー・オンライン)システムだ。1974年に第1次NEKOシステムを導入したのを皮切りに、2000年に導入した第5次NEKOまで数年おきに刷新した。第2次NEKOはバーコード、第4次NEKOはICカードを導入するなど当時の最新技術を取り入れながら進化してきた。

「システムオタクの提案は要らない!」

 だが、今回の次世代システムの開発はこれまでのシステム刷新とは一線を画している。これまでヤマト運輸でシステム刷新といえば、社内における業務改善が目的だった。一方、今回のプロジェクトは狙いを顧客起点に変えた。他社とのサービスレベルで圧倒的に差をつける――。これが全体で120億円もかけたシステム刷新の目的だった。

「「現場力」が会社を救う(第3部)」のバックナンバー

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「社内から顧客へ起点を逆転
次世代システムを生んだ危機感」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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