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「声の力」はマインドコントロールする!

常識の源流対論・湯浅 譲二 (その2)

2009年6月30日(火)

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伊東(以下――) 今回は声とメディア、そしてテクノロジーの問題を、音楽家の観点から、枠組みを超えて考えてみたいと思います。僕が大学時代、最初にセミナーをやっていただいたのは1986年と思うんですが・・・。

湯浅 譲二 ええ。

―― 大阪万博から見れば16年後ですね。この当時、武満徹さんのように、すっかりテクノロジーから離れてしまった人も多かったわけですが・・・当時僕は彼の雑誌の創刊スタッフをしていたので、実際そう思いました・・・実は音楽情報のデジタル化、LP(レコード)がCDになったり、工業規格として「MIDI(電子楽器デジタルインタフェース)」が作られたり、また社会全般にパソコンが普及したりとか、今考えるとあの頃から、本当に時代が変わり始めてもいたわけで・・・。

湯浅 そうですね。

―― あの時伺った「A Study in White」という作品、あれはスタディー、つまり習作と言っていいんでしょうか。

湯浅 あれは初めて、本格的にコンピューターが生成、ジェネレートする音楽というのを作ったわけですから、それで「スタディー」としたわけです。

―― 科学者の観点で見て深い意味のあることを、音楽家が世界で最初に実現しておられるわけです。このあたりをもう少し細かく伺いたいのですが。

最先端工学の死角を突く

湯浅 譲二(ゆあさ・じょうじ)氏
1929年福島県生まれ。作曲家。慶應義塾大学医学部在学中から音楽活動を始め、52年に芸術家グループ「実験工房」に参加、ピアノ曲「二つのパストラール」でデビュー。作曲活動に加え、81~94年まで米カリフォルニア大学サンディエゴ校で教授を務め、現在も日本大学藝術学部で講義を受け持つなど後進を指導している。ベルリン映画音楽祭審査員特別賞、芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、日本芸術院賞・恩賜賞など受賞は多数 (写真:大槻 純一、以下同)

湯浅 ええ、誰もやらないことをやらなければ意味がないので。僕はそれまでホワイトノイズを散々電子音楽でやっていましたから、それの延長線で、ホワイトノイズを使うということと、コンピューターだからできることは何か、と考えて、それで人間の声とホワイトノイズの、簡単に言えばアマルガメーションですよね。

―― 合金化。

湯浅 そう。「クロスシンセシス」と言うわけですが、それは誰もやっていなかったと思うんですね。

―― ええ。一方で工学的には、ホワイトノイズを使って少ない情報量で効果的な人工音声を作ろうという人はいました。アナログ時代から「ヴォコーディング」の技術として、よくSF映画で見る「ロボットボイス」みたいなものはあったわけです。日本のポップスで言えば、細野晴臣たちの「イエロー・マジック・オーケストラ」が「トキオ」なんて言わせていたのは、すべてアナログベースの「テクノ・ポップ」でした。80年代に入ってから、湯浅さんが世界に完全に先駆けてなさったように、デジタルベースで、つまりすべての音響要素を自在に制御しながら、現実の声をサンプリングして、その構造だけを抜き出して中身を好きな割合でホワイトノイズに置き換えて・・・なんて具合に、全く新しい「声」や「言葉」を作り出す発想は、かつてどこにも存在していませんでした。

 直感だけでミュージシャンだ、というアプローチでは、これは無理です。また工学では、直線的に利益や省力化などに結びつかないものは、ほとんどのエンジニアが眼中に置いていません。

湯浅 ええ、ですからそれをやろうと思って。

―― そこに、本当の意味で「クレージー」であることが重要なわけですね、イノベーションでも、私たちが今考えているような作曲でも。

湯浅 コンピューターですから、声のエネルギーのフォルマント(パワーの集中した周波数帯域構造)だけを残しておきながら、テープの上ではいろいろな操作、例えば時間を延ばしたり縮めたりできるわけですよね。

―― 多くの日経読者には、この「フォルマント」という言葉がピンとこないと思うので、今日は「日経ビジネスオンライン(認証を問われたらID: capito PASS: soundで試聴可)」というサンプルを作って持ってきました。

(再生する)

湯浅 なるほどね(笑)。

―― これはもともと「日経ビジネスオンライン~」と、声は僕が歌っているものですが、そのフォルマントだけ取り出して、中身を別の音色に完全に入れ替えたものです。現在ではこうした処理は「デジタル・ヴォコーダー」あるいは「ハーモナイザー」のソフトウエア類で簡単に行うことができます。もう1つ、こちらのサンプルは「岩波書店・科学(前リンクと同様、認証を問われたらID: capito PASS: soundで試聴可)」)」という、もう少し面倒な話を書いている別の雑誌・・・そのままですが・・・のサンプルもありますので・・・。

(再生する)

―― どちらも音色だけではなくて和声、つまりコード進行をつけているので、こんな感じになっています。

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