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大恐慌を乗り越えた“勝ち組”は誰か

当たり前のことを、きちんと、素早く行う

2009年6月26日(金)

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 今回の金融危機・景気悪化と比較されることの多い1929年以降の大恐慌。皮肉なことに、これを的確に乗り切り、勝ち残り組として優位なポジションに立った企業の代表格が、米ゼネラル・モーターズ(GM)と米クライスラーだった。

 大恐慌前の25年時点では、米国の自動車市場では米フォード・モーターが40%のシェアを持ち、ダントツの企業の座にあった。2位のGMが20%だったので、その2倍ということになる。創業間もないクライスラーは、その他多数の中小メーカー同様、2強を仰ぎ見る「残りの40%のほんの一部」という位置にあった。

 この2強プラス弱小メーカー多数という市場構造は、その後、大恐慌を経て大きく変化する。不況の傷が癒えた40年には、GMが48%のシェアを獲得して1位、2位がクライスラーで27%。3位に転落したフォードは、シェア19%と半減している。

 では、GMとクライスラー、フォードの明暗を分けたのは、どういう要因だったのだろうか。振り返って比較できる今だから言えることなのかもしれないが、実際には「至極当たり前のことを、きちんと、かつスピーディーに実行できるかどうか」ということでしかないように見受けられる。

コストは迅速に削減し、将来への投資は継続

 まず、GMとクライスラーは、猛スピードで大幅なコスト削減を実行した。GMは、29年から32年の間に収入が7割落ちたにもかかわらず、利益を確保し続けた。いかに強烈なコスト削減が行われたかが、よく分かる。結果的に、損益分岐点は競合に先駆けて大幅に下がり、不況期の売れ筋である低価格ラインのシボレーは、同じ期間に損益分岐レベルが3割以上下がったという。

 25年に創業したばかりだったクライスラーは、28年に米ダッジ・ブラザーズと合併し、規模のメリットを享受できるレベルに達しつつあったが、29年の不況以降、こちらも同様に大幅なコスト削減をスピーディーに行った。彼らの場合、間接コストを1年間に3割削減、同時に、生産現場の生産性向上を徹底した。

 ある調査によると、クライスラーの安価なラインであるプリマスは、当時1時間に90台生産されていたが、フォードでは安価車が1時間に60台しか作れなかったらしい。

 また、両社とも、不況時の需要構造の変化への対応もスピーディーに行った。それぞれシボレー、プリマスという低価格ラインに資源を徹底投入したのがその代表例だし、チャネルの見直しも素早く実行した。

 一方、将来への投資は、選択的にではあっても継続した。例えば、両社とも、売れ筋ブランドへのマーケティング投資は積極的で、結果として培われたブランドは、恐慌後大きな力を発揮したとされる。クライスラーは、研究開発(R&D)投資にも積極姿勢を変えず、これが「エアフロー」という大ヒットデザインにつながった。GMは、大恐慌直前までに様々なR&D投資を行っていたが、不況とともに費用は削減。それまでのイノベーションを活用するという方向に方針転換した。

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「大恐慌を乗り越えた“勝ち組”は誰か」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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