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会社の履歴書【3】東芝

西田厚聰 3兆円投資の勝算 2

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2009年6月25日(木)

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 バブル崩壊後、日本企業は好むと好まざるとにかかわらず、大きな「変革」を余儀なくされた。金融部門の痛みは、日本企業の成長を支えた間接金融の縮小、株式の持ち合いの解消を迫り、急速に進展したグローバル化は終身雇用、年功序列の終焉をもたらした。その中で問われたのは企業の変革能力である。劇的に変化する外部環境にどう対応し、組織をどう変えていくのか。それに成功した企業もあれば、依然として対応し切れない企業もある。企業が「失われた15年」をどう生きたのか。1991年以降、「日経ビジネス」で取り上げた日本の代表的な企業の記事を「会社の履歴書」として取り上げる。
(文中の肩書き、名称などは掲載当時のままです)

東芝

 日立製作所と並ぶ日本の総合電機の雄、東芝。同社のここ20年は、事業の「選択と集中」に注力した歴史だった。その最終章を飾ったのが2006年に発表された原子力発電大手の米ウェスティングハウスの買収。54億ドルの巨費を投じたこの買収は東芝にとって、次の20年で収益を確保する戦略的投資。CO2削減が世界的に喫緊の課題となる中で、原子力発電需要が大幅に高まるとにらんでのものだった。ただし2009年3月期には、半導体事業の大幅赤字で、自己資本比率が8%台まで低下、5000億円規模の増資に追い込まれた。新たな「選択と集中」戦略が注目される。

* * *

2006年6月19日号より

1兆円を超える半導体への投資計画、三菱重工業との一騎打ちに約6000億円をつぎ込んだ米ウエスチングハウスの買収劇。
無謀にも見える西田厚聰・東芝社長の成長戦略に果たして勝算はあるのか。
大胆に即決していくという外部からの印象とは裏腹に、実は様々な情報を分析し、綿密にリスクを評価したうえで決断、実行する細心さも併せ持っている。
グローバルで寡占化が進む中、リスクを取らないことが最大のリスクになると、攻めの経営に舵を切った東芝。3年間で3兆円に及ぶ投資計画の成算を探った。

(西頭 恒明、上原 太郎、大豆生田 崇志、山崎 良兵)

敗北バネに巨額投資
王者サムスンに挑む

東芝がフラッシュメモリーへの大型投資で、シェア拡大を急いでいる。
投資判断の遅れで、DRAM撤退を迫られた過去の教訓が背景にある。
価格下落のリスクは覚悟のうえで、用途の拡大と先行者利益に賭ける。

 近鉄四日市駅から車で北西に30分、小高い丘の上に周囲を圧倒する3棟の巨大な建物が姿を現す。フラッシュメモリーを生産する東芝の四日市工場だ。敷地は東京ドーム7個分の31万2300㎡。日本最大の半導体工場である。

 ここ1年間、四日市工場では生産能力を増強する工事の槌音が途絶えたことがない。敷地内には工事を請け負う建設会社の事務所が集合アパートのように立ち並び、作業着に身を包んだ屈強な男たちが闊歩する。

 とりわけ最新の製造装置の搬入が続く第3棟の存在感は際立つ。1棟で床面積は東京ドームの2.5倍。ガラス越しでしか覗けない製造工程はSF映画のようだ。天井に縦横無尽に張り巡らされたレールを、25枚のシリコンウエハーを載せた130台の無人搬送ロボットが毎秒3mの速さで走り回る。

 西田厚聰社長の就任以来、東芝は半導体への設備投資を加速している。2006年3月期、東芝は半導体の設備投資額を3度上方修正した。「2006年2月の追加投資は、当初4月の予定だったが、西田社長が前倒しを後押ししてくれた」(東芝のセミコンダクター社社長の室町正志上席常務)。前期の半導体への投資額は2890億円。2007年3月期は、それを上回る3540億円を投資する。

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