• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

バルシリー氏、またもや敗戦だが…

破綻したアイスホッケーチームなら強奪できるのか?(下)

2009年7月2日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 前回のコラムでは、経営破たんした北米アイスホッケーリーグ(NHL)に所属するフェニックス・コヨーテスの米連邦破産法11条(いわゆる「チャプターイレブン」)申請が、チーム売買におけるリーグ機構による買い手審査をかいくぐる“抜け道”になってしまう恐れがあることを書きました。この件については、対岸の火事のように感じる読者も少なくないと思います。しかし、実は、日本のスポーツ界にとって、あまり他人事ではないのです。

 2004年、大阪近鉄バファローズが実質的に経営破たんしてオリックス・ブルーウェーブに吸収・合併されたことをご記憶の方も少なくないと思います。この際、堀江貴文社長(当時)が率いるライブドアがバファローズ救済(買収)に名乗りを上げたものの、「私の知らない人は入れるわけにはいかない」という球団オーナーの発言もあって、バファローズ買収は門前払いされた形になりました。

 しかし、今回のコヨーテスの一件でチーム移転が認められてしまえば、リーグ機構による移転の審査機能は有名無実化します。多少強引な例えかもしれませんが、もしこの裏技が2004年の日本野球界再編騒動で使われていたら…。つまり、「大阪近鉄バファローズが民事再生法を申請していたら、大阪ライブドア・バファローズが誕生していたかもしれない」という話になってしまうのです。

 その注目の判決が6月15日に下されました。

「チーム移転拒否は、自由なビジネスを阻害する」

 判決内容をご紹介する前に、そもそも「球団移転は誰の権利なのか?」について考えてみましょう。

 訴訟大国・米国では、こうしたリーグ経営におけるリーグ機構とチームの権利範囲が訴訟によって明らかにされているケースが少なくありません。球団移転も例外ではありません。

 1980年、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)ロサンゼルス・ラムズは老朽化が進むホームスタジアム、ロサンゼルス・メモリアル・コロセウムを見限り、隣接するアナハイム市にあるアナハイム・スタジアムを本拠地として使う決定を下しました。

 これに目をつけたのは、同じくカリフォルニア州オークランドに本拠地を置くオークランド・レイダースのオーナー、アル・デイビス氏でした。レイダースは、オークランド・アルマダ郡コロセウムを使用していたのですが、スイートボックスなどの高収益座席からの収益分配がなく、実入りのよい“新しい宿”を探していたのです。これに対し、ラムズに去られたロサンゼルス・メモリアル・コロセウムは、“新しい主人”を招き入れるべく、レイダースにスイートボックスからの収益配分を約束し、デイビス氏は移転を決断します。

 しかし、NFLがこれに「待った」をかけます。いくら今まで同じカリフォルニア州に本拠地を置いていたチーム同士とはいえ、オークランドとロサンゼルスは約360マイル(約600キロメートル)離れています。600キロメートルといえば、東京-神戸を上回る距離です。これは、横浜スタジアムとのリース契約で苦しむ横浜ベイスターズが(オリックス・バファローズが専用球場として使わなくなった)スカイマークスタジアムに移転してくるようなもので、NFLとしてはオークランドのマーケットを失うことになり、ラムズにしても突如マーケットが半分になるようなものです。NFL全体の共存共栄を考えた場合、レイダースの移転は好ましくないと考えたのです。

 NFLはオーナー会議で、レイダース移転について賛成0、反対22、棄権5で移転を拒否します。これに対し、デイビス氏は反トラスト法(日本の独占禁止法に当たる)違反でNFLを訴えました。「NFLの決定はチームの自由なビジネスを阻害する」というのが、その理由です。先ほどの日本で置き換えた例で言えば、神戸移転を拒否された横浜ベイスターズが日本プロ野球組織(NPB)を訴えたイメージです。

チーム勝訴=リーグ敗訴ではない!?

 裁判では、デイビス氏が勝訴しました。結果だけ聞くと、リーグによる球団移転審査の権利が認められなかったようにも見えますが、そうではありません。

 裁判所はこの訴訟において「合理の原則(Rule of Reason)」という考え方を採用しました。これは、裁判所が制度の是非を問う時に、競争抑制的な面と競争促進的な面を比べ、「前者が後者よりも大きい場合のみ違法とする」という判断基準です。

 

コメント0

「鈴木友也の「米国スポーツビジネス最前線」」のバックナンバー

一覧

「バルシリー氏、またもや敗戦だが…」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授