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ヤマト小倉昌男の“郵政民営化推進論”

郵便事業は存在意義が揺らいでいる

  • 大矢 昌浩

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2009年7月7日(火)

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 郵政民営化は物流業界の再編を余儀なくする。郵便と物流の垣根が取り払われて、圧倒的な規模を誇る最大手が突然市場に舞い降りることになるからだ。米国では、それを恐れたフェデックスが郵政民営化反対に動いたのではないかとする個人的な疑念を前回紹介した。

 これに対して、日本では民間物流会社が郵政民営化を推進した。ヤマト運輸の故・小倉昌男元会長は、1990年代に民間物流会社の立場から郵政民営化推進論を展開していた。

 筆者の手元には95年に小倉元会長をインタビューした取材資料が残っている。

小泉元首相と重なる新自由主義思想

 「郵政も民営化すること、それから参入を認めることですよ。JRだってそうでしょう。民営化しました。どこが変わりましたか。レールは変わらない。駅も変わらない。機関車も変わらない。でもサービスは良くなった。どうしてですかね? やはりそこに国営と民営の違いがある。つまりJRが民営化したら、誰かがJRの向こうを張ってレールを敷いて商売に参入するかと言うと、そんなことは誰もしない。それでもやっぱり民営化したら良くなったでしょう?」

 「郵便局は赤字だという。赤字だとしたら、儲かっているものを伸ばし、赤字の部分を改善すればいい。ところが、そういう内情を一切公開しないで、ただ赤字だという。赤字になったら値上げすればいい。その気持ちの違いがある。赤字になったら経営努力をして赤字を減らそうと考えるのか、赤字になったら値上げすればいいんだというのとでは違いますよ。大きな違いです」

 公共事業の民営化と規制緩和という主張は、小さな政府を是とする新自由主義の経済政策とピタリと重なる。実際、その急先鋒とされる小泉純一郎元首相と小倉元会長は古くから盟友関係にあり、首相に就任する前まで小泉元首相はヤマト関連のイベントでは常連客だった。

 しかし、小倉元会長をして郵政民営化推進論に駆り立てたのは、政治経済学的なイデオロギーなどではなく、もっと素朴な物流業経営者としての事業欲だったはずだ。

 この取材当時のヤマトはメール便でクレジットカードを扱うことが、民間事業者による信書の送達を禁じた郵便法に抵触するとして、郵政監察局から警告を受けていた。これに対してヤマトは、クレジットカードは郵便法の規定する信書には該当しないと反論し、徹底抗戦の構えを見せていた。

 この論争は2003年に信書便法が施行され民間事業者に信書の配達が解禁されて以降も決着を見ていない。現在もヤマトは総務省から信書便事業者としての許可を受けないままメール便事業を行っている。そのために昨年は総務省がヤマトを郵便法違反の疑いで業務改善指導するなど、小競り合いは今も続いている。

 メール便に先立つ宅急便では、時の運輸省(現・国土交通省)とやり合っている。宅急便は行政管理上、運輸省が監督する路線便(現・特別積み合わせ貨物運送)の商品バリエーションの1つに位置づけられている。

 ただし、路線便は企業間(BtoB=ビジネス・トゥ・ビジネス)の商業貨物に特化した混載輸送で、顧客は事前契約を結んだ荷主企業に限られる。個人宅への配送も原則的に行わない。一方、宅急便は消費者間(CtoC=コンシューマー・トゥ・コンシューマー)の物流を対象に設計されている。事前契約は不要で料金体系も全く違う。

「運輸省が僕に逆らっている」

 これに運輸省が待ったをかけた。他の路線会社はヤマトが新しいサービス商品を販売することで業界秩序が乱れ、既得権益が脅かされることを警戒した。その要請を受けて運輸省が業界保護に動いたのだ。もちろん小倉元会長も黙っていない。

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