2006年4月から連載を開始したこの「日米企業往来」も今回で最終回となりました。
先般、ある読者の方から「一日でも早く、日本が希望を持って生きられるような国になってほしい」というメールを頂戴し、考え込んでしまいました。
私が日経ビジネスオンラインで書いてきた記事の多くは、老婆心の塊のようなものでした。それは事業家や投資家の人々に「こんな危険がありますよ。足をすくわれないようにしてください」というような内容ばかりでした。
老婆心の一覧
例えば、「宴の終わりの始まり」ということを記事で述べてから、結局戦後最大の不況に入り込みました。
「円安麻薬に浸っていてはいけませんよ」という趣旨の記事を1ドル125円くらいの時に申し上げました。それが今は95円程度。円安という下駄を外されると、日本経済は輸出が4割減りました。そして今は何と輸入超過です。
「米国企業の格付けの低下」を問題にしましたが(参考)、とうとうGM(ゼネラル・モーターズ)とクライスラーが破綻するまでになりました。
老婆心から申し上げたことは、残念ながらそのほとんどが現実のものとなってしまいました。ガックリです。もっと良い世の中にならない(できない)ものでしょうか。
ルネサンスを起こす
私は、拙著『さらば、強欲資本主義』(亜紀書房)、『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文春新書)、慶應義塾大学の小幡績准教授との共著の『世界経済はこう変わる』(光文社新書)などで、「日本からルネサンスを」と述べてきました。
私の世代がルネサンスを起こすことが無理でも、ルネサンスを起こす基の「土と水と光」を準備することぐらいの貢献はしたいと思ってきました。
同世代の友人は「この土とは教育、水とは資金、光とはビジョンのことだね」と述べたのですが、まさにその通りだと思います。教育も資金もビジョンもすべて重要ですが、このビジョンを打ち出すことは容易ではないと思います。
少なくとも、私の世代からは出せないように思えます。なぜならば、私たちの世代は、幼い頃から数字を追っかける生活をしてきたからです。例えば、GDP(国内総生産)を大きくするという国家目標。増収増益や株価上昇という会社の目標。そういうものを、とっぷり刷り込まれてしまいました。
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