「神谷秀樹の「日米企業往来」」

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2009年7月3日(金)

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 2006年4月から連載を開始したこの「日米企業往来」も今回で最終回となりました。

 先般、ある読者の方から「一日でも早く、日本が希望を持って生きられるような国になってほしい」というメールを頂戴し、考え込んでしまいました。

 私が日経ビジネスオンラインで書いてきた記事の多くは、老婆心の塊のようなものでした。それは事業家や投資家の人々に「こんな危険がありますよ。足をすくわれないようにしてください」というような内容ばかりでした。

老婆心の一覧

 例えば、「宴の終わりの始まり」ということを記事で述べてから、結局戦後最大の不況に入り込みました。

 「円安麻薬に浸っていてはいけませんよ」という趣旨の記事を1ドル125円くらいの時に申し上げました。それが今は95円程度。円安という下駄を外されると、日本経済は輸出が4割減りました。そして今は何と輸入超過です。

 「米国企業の格付けの低下」を問題にしましたが(参考)、とうとうGM(ゼネラル・モーターズ)とクライスラーが破綻するまでになりました。

 老婆心から申し上げたことは、残念ながらそのほとんどが現実のものとなってしまいました。ガックリです。もっと良い世の中にならない(できない)ものでしょうか。

ルネサンスを起こす

 私は、拙著『さらば、強欲資本主義』(亜紀書房)、『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文春新書)、慶應義塾大学の小幡績准教授との共著の『世界経済はこう変わる』(光文社新書)などで、「日本からルネサンスを」と述べてきました。

 私の世代がルネサンスを起こすことが無理でも、ルネサンスを起こす基の「土と水と光」を準備することぐらいの貢献はしたいと思ってきました。

 同世代の友人は「この土とは教育、水とは資金、光とはビジョンのことだね」と述べたのですが、まさにその通りだと思います。教育も資金もビジョンもすべて重要ですが、このビジョンを打ち出すことは容易ではないと思います。

 少なくとも、私の世代からは出せないように思えます。なぜならば、私たちの世代は、幼い頃から数字を追っかける生活をしてきたからです。例えば、GDP(国内総生産)を大きくするという国家目標。増収増益や株価上昇という会社の目標。そういうものを、とっぷり刷り込まれてしまいました。

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著者プロフィール

神谷 秀樹(みたに・ひでき)
ロバーツ・ミタニLLC創業者兼マネージング・ディレクター

神谷秀樹

1953年東京都生まれ。小学校時代をタイで過ごし、75年早稲田大学政経学部経済学科卒業後、住友銀行入行。ブラジル・ミナス・ジェライス連邦大学留学を経て、84年ゴールドマン・サックス証券に移籍。92年に日本人では初めて米国で投資銀行の「ミタニ&カンパニー・インク」を設立、95年に「ロバーツ・ミタニLLC」に社名変更。米国在住。著書に『ニューヨーク流たった5人の「大きな会社」』『さらば、強欲資本主義』(いずれも亜紀書房)『強欲資本主義 ウォール街の自爆(文春新書)、共著に『世界経済はこう変わる』(光文社新書)がある。これまでに大阪府海外アドバイザー、フランス国立ポンゼショセ大学国際経営大学院客員教授などを兼務。

(写真:丸本 孝彦)

ロバーツ・ミタニLLCのサイトはこちら



このコラムについて

神谷秀樹の「日米企業往来」

日米の巨大金融機関で勤務した後に、顧客と投資家と投資銀行家の3者の利害が一致する投資銀行を実現したいと一人で投資銀行を設立した筆者。日米の企業風土や人生の価値観などを指摘する。

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