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茶会はサービスクリエーション。銀座で一期一会のおもてなし

壹番館洋服店社長・渡辺新氏に聞く

  • 神田 憲行

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2009年7月9日(木)

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 最近では、若手経営者たちが茶道を学ぶ機会が増えている。千利休が「相客に心せよ」と教えた茶の道は、ビジネスパーソンの経営術にどんな影響を与えているのか。今回は、銀座のテーラー壹番館(いちばんかん)洋服店の渡辺新社長に話を伺った。

※本文中、太字で示した茶道用語は文末に解説を入れた。

 柔道で鍛え上げた180センチ以上ある大きな身体を丸めるようにかがめて、小さな茶碗を手に取る。上から下から眺める目つきは子どものようだ。

 「あ~、ここヒビが入っているな…。難しい」
 焼いた茶碗にひび割れを発見した。

 銀座のとあるビルの中にある、焼き物教室。テーブルを2つ置いただけでいっぱいになるような小さなスペースで、渡辺新(わたなべ・しん)は月2回、お茶会で使用する自分の茶碗を焼いている。茶の湯にはまる男性で、名器収集に走る人はいるが、自分で焼きにまわる人は珍しい。

画像のクリックで拡大表示

 「道具もこうして自分でつくるようになると、モノの見方が変わって新しい発見があるんですよ。普段は和装が多いんですが、着物も自分で染めています。今度は、茶釜づくりにトライしたい。800度くらいの高熱で焼かないといけないのですが、日本橋でもつくっているところがあるんですよ。『ひとり十職』計画って呼んでいるんですけれどね(笑)」

 「ひとり十職」とは、「千家十職」のもじりである。
 茶釜や茶碗など、茶の湯の千家の好む道具を代々制作する十の職家を千家十職と呼ぶ。茶碗師の樂吉左衞門、塗師(ぬし)の中村宗哲、金物師の中川淨益など十家だ。渡辺はこれらを全て自分ひとりでやりたい、と言うのだ。職人仕事に強い関心を持つのは、テーラーの血が騒ぐからかもしれない。

 渡辺は銀座に3代続くテーラー「壹番館洋服店」の3代目社長である。創業は1930年、分厚い顧客リストには政財界のVIPがずらりと並び、50年以上前に仕立てたパンツの直しを持ち込む顧客もいるという。ファッション界で注目されている若手テーラーがここで修業していたケースも多い。渡辺が茶の湯の世界と出会ったのは、米国、イタリアの留学から帰ってきてすぐの時だった。

壹番館洋服店で(写真:山田 愼二)

 「九州のお客様のところに伺った時、『まあお茶でも飲んでいきなさいよ』と言われて、気軽に返事をしたら「お薄」(抹茶を泡立てるように点てた「薄茶」のこと)が出てきちゃった」と渡辺は振り返る。

 「それまでお茶なんてしたことがありませんから、茶碗の持ち方も分からず、焦りましたよ。さすがに飲み方も知らないのではまずいと、東京に戻ってすぐお稽古に通い始めました」

 稽古は早朝7時から1時間、出社前に毎週受けた。習い始めて渡辺は、イタリア留学以来、求めていたものがここにあることを知った。

 「それは500年間以上蓄積されてきた日本の伝統文化です。自分の国の伝統と文化を深く知ることは、海外で働く時に重要な武器になる。そのことに気づかされたのが、イタリアでの体験でした」

 英国では縫製やカットなどテーラー技術を学んだ。帰国する前に、好きなデザイナー、ジャンフランコ・フェレが教授を務めるデザインスクールがイタリアのミラノにあると知り、受験して入学した。1年間だけのコースで、生徒は実務経験者やスペインからの国費留学生ら外国人も多かった。そこで毎週行われる企業コンペの授業が刺激的だったという。

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