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中国物流で最後に笑うのは誰か

多頻度小口化が進む日本式に勝機あり

  • 大矢 昌浩

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2009年7月14日(火)

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 ヤマト運輸の「宅急便」の国際化がいよいよ本格化しそうだ。同社の経営陣によると、まずは中国・上海地区に地盤を持つ国営系企業との本格的な資本提携を検討しているという。その先には北京、そしてインドを含めたアジア全域を視野に置いている。

 ライバルの佐川急便グループ(SGホールディングス)は、ヤマトに先立ち、中国国営系の大衆交通グループおよび住友商事と合弁で上海大衆佐川急便を2002年8月に設立。上海地区の宅配便事業を既に軌道に乗せている。

 独ドイツポスト(DHL)、米UPS、米フェデックス、蘭TNTの世界の物流4強は、いずれも国際宅配便の集配業務から中国市場に斬り込んでいった。日本の国内宅配便の2強は、全く異なるアプローチで中国に攻め込む。その背景にあるのは、台湾での成功モデルだ。

 最近、台湾を訪れた人であれば町中のいたるところをクロネコやペリカンマークのついた宅配便の配送車が走り回っているのを目にしているはずだ。実際、現地の国内宅配便は、ヤマト系の「黒猫宅急便」と日本通運系の「台湾宅配通」(以前はペリカンをもじった「便利CAN」というブランド名だった)の2社が牛耳っている。

台湾物流会社を“再生”した佐川

 一方の佐川は、宅配便よりもサイズの大きな商業貨物の個建て輸送、日本で路線便(特別積み合わせ貨物運送)と呼ばれる混載輸送や企業間物流を台湾で開拓した。同社が提携を結んだ新竹貨運は、現地の運送業界で今やダントツの最大手だ。

 新竹貨運は2000年に佐川と提携するまで、最大手の大栄汽車貨運に大きく引き離された万年2位の座に甘んじ、業績も振るわなかった。経営の建て直しを依頼された佐川が、日本流の物流サービスを現地に導入し、事業モデルのあり方を根本から作り変えた。

 筆者が初めて現地を取材した2002年当時の台湾の国内物流は、日本よりも30年近く遅れているという印象だった。現場には自動仕分け機やバーコード機器などのマテハン設備(工場や倉庫における運搬に関わる機器)はもちろん、荷物に貼る「送り状」さえない。食品類を運ぶのに必要な定温設備も、ほとんど見かけることはなかった。

 それが、わずか数年で日本と全く変わらないレベルにまで進化した。今では宅配便や路線便の混載輸送ネットワークが台湾全土を網羅し、山中の寒村に生菓子を送ることさえできる。平均気温が高いこともあって定温輸送網の充実ぶりは日本以上かもしれない。日本の宅配会社が台湾の物流を革新したわけだ。

 日系を含めた外資系物流会社は、従来から台湾に拠点を置いていた。しかし、その業務範囲は国際貨物の取り扱いだけに限られていた。それに対して、日系宅配会社は台湾の国内に完全に入り込んだ。

 欧米の先進国であれば、日系や外資系の物流会社が現地の国内市場に進出することも従来からあった。しかし、新興国の国内に本格参入して成功したケースを筆者は他に知らない。人件費の安い新興国に先進国から人を送り込んだら普通は採算が合わなくなる。

 実際、日系物流会社による中国の国内物流事業は、日本から派遣しているスタッフの人件費負担まで含めると、ほとんどが赤字だ。収益源となっている国際輸送の荷主企業を繋ぎ止めておくために、採算度外視で国内事業を運営しているのが現状だ。

 それに対して、宅配便の海外進出は当初から国内で儲けることを目的としている。それが不可能ではないことを台湾市場が証明した。

 ただし、誤算もあった。台湾事業が成功を収めたことで、日系宅配各社は本来であれば九州の南にもう1つ九州ができたぐらいの事業規模拡大を享受できたはずだ。ところが実際には収益面・物量面ともグループ経営にほとんど貢献していない。

 日系各社は台湾の運営会社の支配権を持っていない。わずかなライセンス料、技術指導料を得ているだけで、数%程度の持ち株比率では配当はしれている。もともと台湾事業がここまで成功するとは、自分たちでも予想していなかったのだろう。その結果、進出スキームを誤った。

消費者物流から攻め上がる

 その教訓が、中国市場で生かせる。ヤマトはこれから進出する中国や他のアジア諸国の宅配事業では、現地運営会社の資本の過半を握る考えだ。

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