ファストフードの雄、日本マクドナルドの業績が好調だ。

2008年12月期の全店売上高(フランチャイズチェーン店の売上高を含む全店舗の売上高の総計)は、前期比4.9%増の5183億円。国内の外食産業で初めて5000億円の大台に乗せた。
経常利益は同16.8%増の182億3900万円。当期純利益は、同58.5%増の123億9300万円。減収減益や赤字決算が相次ぐ外食産業で、「一人勝ち」と言ってもいい結果である。
消費不振が続く今期も増収増益を予想
2009年12月期の業績予想でも、全店売上高は同2.3%増の5300億円。経常利益は同20.6%増の220億円、当期純利益は同1.7%増の126億円と、増収増益を見込む。

日本マクドナルドの業績がここまで好調なのはなぜか。
多くの人は、「低価格」を理由として挙げるだろう。同社は、まだデフレが続いていた2000年にハンバーガーの価格を平日限定で65円に引き下げるなど、「価格破壊」によって業績を拡大。「ユニクロ」のファーストリテイリングなどとともに「デフレ時代の勝者」と呼ばれた。
その当時の印象が依然として強く残っている。加えて、現在もチーズバーガーやSサイズのドリンクなどの単品の価格を100円に設定した「100円マック」など、低価格のメニューを取り揃えている。
だが、不況の深刻化と消費の急減を招いた2008年9月のリーマンショック以降における各指標の推移を見ると、デフレ時代とは異なる同社の姿が浮かび上がってくる。
デフレ時代とは異なる勝ちパターンを確立
客数は2008年12月~2009年2月に3カ月連続で前年同月の実績を下回るなど、大きな伸びが見られない。一方で、1人の客が1回の購買で支払う金額を表す「客単価」は、前年同月の実績を上回り続けている。
デフレ時代の勝ち組企業は、価格破壊に伴う客単価の落ち込みを客数の伸びでカバーして、売り上げを増やした。つまり、「薄利多売」のモデルが基本だった。
日本マクドナルドの業績が好調なのは、フランチャイズ化による店舗の売却益によって利益が底上げされているからに過ぎません。常識的には特別利益に含めるべき利益を経常利益に計上しているから、見かけ上「過去最高益」が演出されているだけ。定款には「店舗売却」も本業として定義されているとは言え、常識的な感覚にはそぐいません。店舗売却益を除くと、2008年は前年よりも減益です。そんなマクドナルドを「一人勝ち」と称して持ち上げる本記事は、相当にミスリードの印象を感じます。原田氏がQSCに取り組んだ話や、安売りからの脱却を目指した後半のエピソードはそれなりに的を射ているし、傾聴すべきものもありますが、記事の導入部がどうにも胡散臭くて、全体の品位を下げていると感じました。(2009/08/14)