• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

episode:18
「幸福な時間を売れば、それがビジネスになる」

  • 阿川 大樹

バックナンバー

2009年7月14日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回までのあらすじ

12年ぶりに大日本鉄鋼に戻った旭山隆児(あさひやまりゅうじ)の新部署、第三企画室の出社禁止期間が明けた。旭山は風間麻美(かざまあさみ)と楠原弘毅(くすはらこうき)のふたりを前に、自分が大日本鉄鋼を離れるきっかけとなった、大日本セミコンダクタ売却のいきさつを語った。いっぽう弘毅は、渋谷のライブハウスで見たオヤジバンドのあり方から、音楽をすることと幸福について考えていた。

「ちょうどわたしも、先週、幸せいっぱいのオジサンたちに会っていたのよ」

画像のクリックで拡大表示

 弘毅が〈出社禁止期間〉に、楽器屋を回ったりライブを聴いたりして音楽三昧の日々を過ごしてみたのだという話をした最後に、先輩のライブで見かけたオヤジバンドのことを話すと、風間さんが切り出した。

「千葉をツーリングして出会った年配のライダーがいて、その人に誘われて湘南にあるガレージを訪ねてみたんです。〈秘密基地〉とその人たちは呼んでいましたけど、ようするに掘っ立て小屋を作って、そこを共同のガレージにして、自由な時間に思う存分、自分の古いオートバイを整備しているんです」

「ああ、それ楽しそうです」

 そこに漂っているだろう油の匂いを想像して、弘毅の心がきゅんと躍った。

「あ、弘毅くん、理系だったものね」

 室長の旭山さんは自分を楠原さんと「さんづけ」で呼ぶのに、風間さんは初日から自分を「コーキくん」と呼ぶ。知らない人が聞いたらまるで風間さんが室長みたいだ。

「やっぱり、機械いじりが好きなの?」

「そうですね。子供の頃、チョロQを分解してバネを交換して性能アップさせたり」

「へえ、そんなことができるんだ」

「簡単です」

「ちょろいからチョロQっていうんだよな」

 旭山さんのオヤジギャグは〈わざと〉だから、いちいちツッコミは入れずに聞き流す。

「ただバネだけ強くしても、タイヤの性能が追いつかないので、ホイールスピンしてしまうんです」

「ホイールスピン?」

「タイヤが空回りすることです。だから、タイヤを交換してみたり、ゴムの表面にボンドを塗ってグリップを高めてみたり、結構、奥が深いんですよ」

「そうそう。そのオジサンたちもコーキくんみたいに〈語る〉のよ。キャブレターのセッティングがどうのとか、錆を落とすにはどんな薬剤を使うと簡単だとか、防火バケツの置いてある場所まで〈タバコ休憩〉に来たはずなのに、そこで2時間も話し込んで、まるで整備が進まないうちに夕方になる」

「そういうのが楽しいんです。仕事じゃないんだし」

「そうみたい」

「風間さんのオートバイもそうでしょうけど、古いバイクは部品を手に入れるのが大変なんですよね」

「それがね、そこでは手に入らない部品は作ってしまうの」

「作る? 部品を? そりゃあ、確かに道具と腕があればできますけど」

コメント0

「第三企画室、出動す ~ボスはテスタ・ロッサ」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

子会社とどう向き合うかで、その企業のガバナンスを判断できる。

牛島 信 弁護士