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episode:19
「鉄のことばかり考えていると、世の中を平均や合計でしか見ていないってことになる」

  • 阿川 大樹

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2009年7月21日(火)

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前回までのあらすじ

12年ぶりに大日本鉄鋼に戻った旭山隆児(あさひやまりゅうじ)の新部署、第三企画室の出社禁止期間が明けた。その間、風間麻美(かざまあさみ)はツーリングで出会った老紳士のガレージ村に、楠原弘毅(くすはらこうき)は渋谷のライブハウスでオヤジバンドにそれぞれ邂逅した。旭山が語った大日本セミコンダクタ売却の経緯とふたりの経験から、三人は第三企画室の存在の核心に迫っていく--。

「いやあ、腰砕けっていわれてしまうかなあ」

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 風間さんは、二人にじっと見つめられたせいか、急に笑顔を作った。自信のなさそうな風間さんは珍しい。

「笑ってごまかさないでくださいよ」

 たぶん期待されているであろう、ツッコミを入れる。これで風間さんが話しやすくなるはずだ。

「どうやってお金に代えるか、ビジネスモデルのところがまだ頭にイメージできないのですが、いま、世の中に提供されているサービスに、たくさんの〈真空地帯〉があるのはわかったような気がするんです」

「真空地帯。つまりだれも手をつけていない場所、という意味だね」

「ええ。弘毅くんの話に出てくるオヤジバンドの人たちが、フェンダーやギブソンを抱えて楽しそうに演奏していたと、そして、わたしが出会ったガレージ村の人たちもとても幸せそうだった」

 旭山さんもうなずいている。

「バイク乗りの堂本さんが、動かないナナハンを手に入れたのも〈大人買い〉の一種だと思うんですよ。動かないポンコツだから値段は高くなかったと聞いています。ですが、若い頃に憧れたバイクに退職後になら乗る時間がある。直す時間もある。だから、いまの最新型じゃなく、かつて若い頃に憧れたままの古いモデルを手に入れる。フェンダーやギブソンを買うのと、気持ちは同じだと思います。違いますか、旭山さん」

「オヤジとしての答えを求められているわけだな」

 旭山さんの苦笑い。

「ええ、そうです」

 風間さんは臆面もない。

「同じだと思うよ」

「じゃあ動機は共通している、ということでいいですね。ずっと欲しかった何かを手に入れたいというモチベーションがある。それが幸福な時間につながっている。ギターの場合はすでに大人買いマーケットとして認知されています」

「お茶の水の楽器街には、高級ブランド楽器だけを並べたフロアが、たくさんありますよね」

 弘毅自身、出社禁止週間に改めて確認してきたことだ。

「ギブソンのギターを買っているのは、お金持ちじゃありません。だからといって、貧乏でもありませんが、たぶん日常のランチには支出を惜しんで380円の牛丼を食べているような人です」

 たしかに風間さんのいうとおりだ。

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浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長