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プリウスの受注を取った日鍛バルブの“すごい工場”

トヨタ購買部を納得させた「長男坊ライン」の実力とは

2009年7月17日(金)

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 昨秋以降、自動車業界は激震に見舞われている。「巨人」である米ゼネラル・モーターズ(GM)は米連邦破産法11条の適用を申請、トヨタ自動車も4600億円という巨額の営業赤字に転落した。新車の販売台数は急減、ハイブリッドカーが1人気を吐いているのが現状だ。

 金融を発火点にした自動車危機は、裾野の自動車部品メーカーも直撃した。自動車用バルブ大手の日鍛バルブもそうだった。2008年3月期に売上高364億円、経常利益41億円を達成したが、2009年3月期は売上高316億円、経常利益12億円と大幅減。当期利益も2億5000万円の赤字に転落した。2010年3月期の決算も最終利益こそ確保するものの、減収減益を予想している。

 それでも、日鍛バルブは未来のために布石を打つ。その中心は徹底したカイゼン活動。4年をかけて、製造コストを20~30%削減する新型の生産ラインを作製。その成果は、ハイブリッドカー「プリウス」のエンジンで使われるバルブの新規受注という形で実を結んだ。原点回帰とも言えるカイゼン活動で逆風に立ち向かう日鍛バルブ。高橋久雄社長に戦略を聞いた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン、篠原匡)


 ―― 2009年3月期は厳しい決算でした。

 高橋 2008年度の最終利益はプラスを見込んでいましたが、最後の最後で赤字になってしまいました。昨秋の金融危機の後にガタガタと来ましてね。やはり2月が底でしたね。相当ひどかったですよ。この本社の後ろにある秦野工場なんて、稼働率が5割ぐらいまで落ち込んでいました。

金融バブルの崩壊でバルブ在庫が急増

生産ラインの抜本的な改善に着手した日鍛バルブの高橋久雄社長
(写真:村田 和聡、以下同)
画像のクリックで拡大表示

 ―― ひどい状態ですね。

 高橋 去年の9月までは作っても作っても間に合わない状況で、ぼんぼん作っていたわけですよ。そうして作りためたバルブをお客さんのところに出荷していました。その山を作っていた途端にどーんと来たのでね。在庫の山になりました。

 今年5~6月頃に、(バルブの在庫を抱えていた)自動車メーカーの在庫処理が終わり、受注が復活しました。それでも、稼働率は3割減の状態ですね。現に今、秦野工場は「金土日」を休む週4日稼働。見てもらえば分かりますが、金曜日の今日はお休みです。

 ―― 自動車部品メーカーは猛烈な逆風に直面しています。厳しい経営環境の中、日鍛バルブはどこに活路を見いだしているのでしょうか。

 高橋 もう地道にやるしかありません。まず、投資を抑えます。その分の減価償却費が抑えられますからね。固定費も削減しており、それで利益が出るでしょう。材料費も下がってきていて、それも収益改善要因になる。ただ、何だかんだ言いながら、一番大きいのは工場の改善だと思っています。

 ―― この荒波に、地道な工場の生産性向上で立ち向かう、ということですか。

 高橋 そうです。私たちは2002年以降、「NPM」と名づけたカイゼン活動を行っています。NPMの活動には様々なものがありますが、具体的なものを1つ挙げると、バルブ生産ラインの効率化ですね。

 実は、ここにきて、生産性向上の成果がかなり出始めてきました。それに、生産ラインの生産性を高めたおかげで、トヨタさんのプリウスの受注も取れたんですよ。

 (編集部注:2009年4月から、プリウスにエンジンバルブを供給し始めた)

生産ラインの改善でプリウスの受注を獲得

 ―― 生産ラインの評価が受注につながったということですか。

 高橋 ええ、ありがたいことに(笑)。

 ―― プリウスの受注の話は後で聞くとして、新しい生産ラインは以前のものと何が違うのでしょう。

 高橋 バルブの製造工程をご存じかどうかは分かりませんが、「切断」「鍛造」「熱処理」「機械加工」など40の工程があります。

■バルブの製造工程
 バルブを作る際は、ニッケル基合金を切断、熱間鍛造してバルブの基本的な形を作り、その後、研削や研磨などの機械加工によって最終的な製品に仕上げていく。傘部と軸部の異なる材料をつなぎ合わせ、バルブシート面と軸端面に耐摩耗材を肉盛り溶接する仕様で全40の工程がある。


 ただ、それぞれの工程が独立しているため、設備と設備の間に大量の仕掛かり品が生まれるという問題がありました。さらに言うと、仕掛かり品が設備の間を移動するのは時間の無駄でしょう。こういう無駄な時間を全部、縮めましょう、という取り組みを始めました。発想はバルブの「一本流し」ですね。

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「プリウスの受注を取った日鍛バルブの“すごい工場”」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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