「勝ち残るためのダイバーシティー・マーケティング」

男女のニーズを徹底調査。ティアナ、キューブ開発秘話

日産自動車 祖父江玲奈氏に聞く(後編)

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2009年7月23日(木)

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 「勝ち残るためのダイバーシティー・マーケティング」対談の第2回は、日産自動車技術開発本部カスタマーエンジニアリング部女性への魅力創出グループの祖父江玲奈さんにお聞きしています。前編では、「女性への魅力創出グループ」の概要を中心に伺ってきました。後編では、新型ティアナや新型キューブの開発について実際の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

日産自動車実験技術開発本部カスタマーエンジニアリング部女性への魅力創出グループ課長の祖父江玲奈氏
1974年東京都生まれ。1997年中央大学総合政策学部卒業後、アクセンチュア入社。事業戦略から見る組織設計、人材マネジメントを中心としたコンサルティングを担当。女性の特徴を生かしたビジネスを目指し2007年日産自動車入社、現グループを担当 (写真:雨宮秀也、以下同)

 女性への魅力創出グループでは、車に関して女性に喜ばれるシーンや機能にフォーカスしていくということでしたが、男性と女性とではどんな違いがあるのでしょうか。

祖父江玲奈氏(以下、祖父江) いくつかの側面が考えられますが、まずは体格や筋力が挙げられます。体格という点では、全般的には男性よりも女性の方が身長が低い傾向にあるので、男性にとって見やすい視界と女性にとって見やすい視界は違ってきますね。

 ドアやトランクの開閉、ハンドルの操作、アクセルやブレーキなどのペダル操作などでは、筋力の違いで重さの感じ方が変わってきます。また、被服による差などもありますね。

 被服というと?

新型ティアナのシート。角を削ることで、スムーズな乗り降りが可能になった
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新型ティアナのオットマン。足をラクに伸ばせるため疲れにくい
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祖父江 これには文化的な側面も絡んできますが、女性は大きく足を開いて座ったり、モノをまたいだりすることは少ないですよね。スカートをはいている時は特に。そうすると、乗車時の動作にも違いが見られます。男性は足を開いて乗り込みますが、女性はお尻を座席のシートに乗せてから足を入れます。

 和服で乗車する時に美しく見えると言われる動作ですね。そうした動作の違いが、車にはどんな影響を与えるのでしょう。

祖父江 例えば、女性がタイトスカートをはいていた場合、車を降りる時には、お尻を軸に回転して、足を外に出すようにします。その時に、座っている位置から外が遠いと、足を着地させづらいのです。

 そこで、新型ティアナでは、シートの角の形状を少し削って丸みをもたせ、着地までの距離を短くしました。そうすることで、シートに足が引っかかることなくスムーズに乗り降りができます。その一方で、角を削ることで座面が小さくなったと感じてしまう男性もいるので、バランスを取るのに苦心しました。

 そんな細やかな配慮があるのですね。

祖父江 新型ティアナではほかにも助手席のシートにオットマン(足置き)をつけたり、新型キューブなどでは車を降りる際に左右どちらの手でも開けやすい形状をしたインサイドドアハンドル(ドアノブ)を採用したりと、女性の視点を様々な角度から採り入れています。

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著者プロフィール

秦 純子(はた・じゅんこ)

秦 純子アクセンチュア経営コンサルティング本部 戦略グループシニア・マネジャー 。1974年6月大阪府生まれ。97年早稲田大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。自動車、製薬、食品、飲料、総合商社、小売り、高級ブランドなどの製造業、流通業のクライアントに対する、顧客視点の事業戦略、新規事業戦略、マーケティング戦略を中心としたコンサルティングサービスに従事している。主な共著に『crmマーケティング戦略』(東洋経済新報社)。主な連載に「変化する顧客とバーチャルチャネル再構築」(日経情報ストラテジー)。アクセンチュアの「Women’s Initiatives」のメンバーとして女性向けのキャリアセミナーなどでの講演多数。



このコラムについて

勝ち残るためのダイバーシティー・マーケティング

「1億総中流社会」と呼ばれた時代から、企業を取り巻くマーケットは急速に多様化してきている。所得、世代、性別といったこれまでの切り口をさらに深化・進化させなければ、もはや市場を捉えることは難しい。この連載では、マーケットの多様化に対する挑戦(ダイバーシティー・マーケティング)に取り組む先進的な企業の事例を紹介しながら、多様化時代に勝ち残るためのマーケティング戦略を考えていく。

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