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モノづくりのメタボ化から脱却せよ

GM破綻から学ぶ「量」から「質」への構造変化

  • 常盤 文克

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2009年7月27日(月)

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 経営破綻した米ゼネラル・モーターズ(GM)が再建手続きを終え、7月10日に新会社として操業を開始しました。しかし、それでGMの経営をめぐる問題が解決したわけではありません。GMが顧客離れを招いた最大の原因でもある、本当に魅力がある車を作れるのか、という根本的な問題が残っています。

 米国の自動車産業を象徴する存在として隆盛を誇ったGMが、破綻したのはなぜでしょうか。その理由の1つが、モノづくりに真剣に向き合わなかったことではないでしょうか。一方、日本のモノづくりは強いと言われてきましたが、自動車など特定の産業を除くと、必ずしもそうではありません。一時のように日本のモノづくりをほめあげる声も、あまり耳にしなくなりました。今回はGMの破綻を契機に、改めてモノづくりのあり方を考えてみたいと思います。

もう大量のモノはいらない

 これまでのモノづくりでは、同じモノを大量生産する、つまり量を追うことが重視されてきました。新興国では、急成長する大市場の需要に応えるために、今でも量を追うモノづくりが大事です。そこではコストを削減し、徹底して生産効率を高めていくことが求められます。

 ところが、先進国のようにモノがあふれている状態では、量の追求は通用しません。これ以上のモノは必要ないのですから、本来ならば量よりも質の追求が求められるはずです。それでも量による成長を前提にしてきたのが、これまでの日本のモノづくりだったように思います。

 例えば、最近までの自動車産業がそうでした。市場には自動車があふれているのに、もっと売りたいと新型車を次々に投入し、設備投資を続けてきました。その結果、リーマンショックを境に生産能力が大幅に余ってしまったのです。

 量を追っている限り、質は見えてきません。量的な成長の発想から抜けだしたとき、初めて質が見えてくるのです。それでは、質とは何なのでしょうか。もちろん、これまで日本企業は「質の追求」と言ってきました。しかし、小さな改良や型にはまった取り組みが多く、(ハイブリッド車のようなものを除けば)従来の発想を覆すような革新的な製品はなかなか生まれてきませんでした。今までの質でいくら需要を刺激しても、新しい市場を拓くことはできないのです。

質の追求と「メタボ化」は違う

 それでも新製品開発と称して、機能を「添え物」のように継ぎ足していく多機能化を進めてきました。本質的には不要であっても、何か目先を変えなければと、どんどん物珍しい機能を増やしてきたのです。こうして生まれた製品を「メタボ製品」と呼ぶそうです。

 最近だと携帯電話がそうでしょう。本来の用途である音声通話やメール送受信の機能のほかに、とても使いこなせないくらいたくさんの機能が詰め込まれています。ここまでくると、いくら説明書を読んでも、すべての機能を引き出す操作は覚えきれません。過剰機能は携帯電話に限らず、家電などにも広く見られる傾向です。

 過去にも同じようなことがありました。バブル崩壊前後の1980年代後半から90年代初頭のことです。家庭用オーディオの操作パネルに、やたらとたくさんのダイヤルやスイッチ、メーターなどを並べ立てていて、まるで飛行機のコックピットのようでした。それらは音楽を聴くという本質的な部分にとって、必ずしも役に立つものではありません。それでも当時はよく売れましたが、間もなく市場から消えてしまいました。

 こうした商品に盛り込まれた見かけ上の機能は、ただその商品を飾り立てているだけと言っていいでしょう。そんなメタボ製品が登場するのは、モノづくりが隘路に入り込んでしまった末期症状の時なのかもしれません。

モノづくりの「質」も変わる

 質を追求することは、こうした多機能化とは根本的に異なります。本当にその製品に必要なものは何なのか、過剰な機能を削いで削いで最後に残る本質的なものを見極め、それを進化させていくことではないかと思います。付け足し、飾り立てることとは違うのです。

 そう考えると、インドのタタモーターズが発売した乗用車「ナノ」はどうでしょうか。

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