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死を宣告された男が、仕事に見た“夢”

東芝で伝説をつくった西室泰三氏に学ぶ

2009年7月30日(木)

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 なんとなくモヤモヤした気分になることって、ないだろうか? 特に何かトラブルがあったわけでもなければ、失敗したわけでもない。虚しさとも、不安感ともちょっと違う。ただ本当に、なんとなくシャキっとしない。

 目先の短期的な目標がはっきりしていれば、到底そんな気分にならない。でも、そんなにいつもいつも目標があるとは限らない。その結果、自分でも説明のつかない虚脱感に襲われる。

 そんな部下に、たいていの上司は「だから、夢が必要なんだよ。将来がちゃんとイメージできれば、そんな気分になることはない」と言う。

夢を持って仕事をすればいい、と言われるが

 でも「夢を持て!」と上司に尻を叩かれても、どうやって持てばいいのか、ということすら分からない部下もいる。夢や将来のイメージが明確な人には理解できないだろうけど、なかなか夢を持てない人というのも、世の中にはけっこういるのだ。

 ひょっとしたら、夢を持たずに働いている人の方が、夢を持っている人より、多いかもしれない、と思うことさえある。なのに、夢に向かって歩いている人には、そんな気持ちはいっこうに伝わらない。

 知人のA氏もそうだった。
 「最近の若いやつらは、ホントなんていうか覇気がないっていうか。このあいだ部下5人とそれぞれ面談やったんだけど、そろいもそろって、『何をしたらいいのか、何がしたいのか分からない』って、言うんだよ。みんな就職氷河期入社で、どうしてもうちの会社に入りたくて入ったわけじゃないから、余計そうなっちゃうのかもしれないけれどね」と、彼は言った。

 そして、
 「だから、夢を持てって説教したよ。自分が10年後どうなっていたいか、イメージしろって。俺なんて、ずっと入社した時から夢追いかけてるから、悩むこともストレス感じること全くない。今のやつらが“ヤワ”なのは、夢を持っていないからだよ」と、絶好調で彼の“持論”を展開したのである。

 A氏は一流国立大学を出て、大学では体育会系の運動部に所属し、就職先は大企業。いわば、人生の“勝ち組”だ。常に自分で考え、行動してきた“超”前向き人間。彼がどんな夢を持っているのか確かめたことも、彼に夢を語られたこともないけれど、彼に明確な夢があることは話しぶりからも明らかだ。

 そんな彼は、「何をしたらいいのか分からない」という部下に、なんら迷うことなく「俺がやってきたようにやれば、問題ないでしょ?」と言ったのだった。

 そういえば大学の教育実習のとき(私は教育学部だったので)、現場の先生がいつも言っていたことがある。

 「先生になりたい人は、子供の時に逆上がりができなかったような人がいいのよ」と。

 その先生が言うには、「最初から逆上がりができた人は、できない子供が『なぜ、できないか』を理解できない。でも、最初はできなくて、いろいろ試して、苦労してやっとできるようになった人は『なぜ、できないか』を理解できる。そういう人は、できない子供の目線で物事を教えられるのよ」と。

 上司も、同じなのかもしれない。さっさと夢を見つけて、夢に向かって歩き続けている上司には、『なぜ、部下はやりたいことを明確にできないか』が理解できない。だから、「夢を持て! 目標を持て!」と、ごもっともな意見をいい続ける。

 ところが部下は、
・ どうやったら「夢を持てるのか?」
・ どうやったら「目標を持てるのか?」
が分からない。

 上司に言われれば言われるほど戸惑い、混沌としたカオスに陥っていってしまうのだ。

 でも、「夢を持て」という指示まで出してるんだから、それ以上上司が部下の世話をやく必要ないでしょ?」 

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「死を宣告された男が、仕事に見た“夢”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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