「需要蒸発に勝つ価格戦略」

コーチのバッグ、また買ってしまう「2つの仕掛け」

値頃感を演出する「使い方提案」と「鮮度の維持」とは

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2009年8月3日(月)

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 昨年9月のリーマンショックをきっかけに起きた需要蒸発。その影響をもろに受けているのが、高価なブランド品の販売だ。

ショーウインドーのディスプレーも毎月変える (写真:陶山 勉、以下同)
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 市場調査会社の矢野経済研究所の推計によると、欧米から直輸入されている高級衣料品・服飾雑貨の2008年の市場規模(小売金額ベース)は、前年比10.2%減の1兆643億円。1996年のピーク(1兆8971億円)の56.1%にまで落ち込んだ。

 需要蒸発の影響が続く今年は9927億円と、1兆円の大台を割り込む見通しだ。30歳代以下の若年層の「百貨店離れ」、「輸入ブランド離れ」という長期的な低落傾向に、需要蒸発という突風が加わり、市場縮小のスピードに拍車がかかった格好だ。

 品目別で落ち込みが目立つ輸入ブランド品の1つが、「ハンドバッグ・カバン・革小物」。2008年の市場規模は、前年比10.5%減の4834億円と、5000億円の大台を割った。

リーマンショック後も売り上げを堅持

 こうした市場全体のトレンドとは対照的に、堅調な業績を上げているブランドがある。米ハンドバッグブランドのコーチだ。

東京・銀座にあるコーチの旗艦店の店内。白を基調とした明るい内装で客を誘っている
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 日本法人のコーチ・ジャパンが7月末に発表した2009年6月期の売上高は、前期比0.5%減の651億円。需要蒸発という逆風を浴びながら、前期並みの売り上げを維持した。

 1941年に米ニューヨーク市のマンハッタンで創業したコーチが日本に上陸したのは、21年前の1988年。当時はバブル景気の最中で、街にはグッチやルイ・ヴィトンといった欧州の高級ブランドのバッグを手にした女性たちがあふれていた。

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著者プロフィール

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス記者。日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経ビズテックの記者を経て、2005年12月日経ビジネス記者。2010年4月から現職。

上田 隆穂
(うえだ・たかほ)

上田 隆穂学習院大学経済学部教授。現在は経済学部長と学習院マネジメント・スクールのヘッド・マスター(校長)を兼務する。専門分野は価格マーケティングとセールス・プロモーション。1978年東京大学経済学部経済学科卒業、東燃入社。80年に退職し、一橋大学大学院商学研究科修士課程に進学。85年博士課程の単位取得後に退学して、同大学商学部助手に就任。学習院大学経済学部専任講師、同助教授を経て、92年から教授。2000年に経営学博士号を取得。主な著書に『マーケティング価格戦略』(有斐閣)、『日本一わかりやすい価格決定戦略』(明日香出版社)など



このコラムについて

需要蒸発に勝つ価格戦略

「100年に1度」とも言われる不況で、モノやサービスの需要が急減している。まるで蒸発でもしたかのような落ち込みぶりだ。こうした事態を受けて大幅な値下げや特売を行う動きが広がっているが、それに安易に追随しても利益を出すことはままならず、業績がさらに悪化しかねない。不況のさなかでも、質に見合った価格でモノやサービスを提供し、利益をひねり出す。その仕組み作りの秘訣を、企業の価格戦略研究の第一人者が実例を基に解き明かす。

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