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「物流金融」の裏にドン・キホーテ

在庫を資金に変える仕組み

  • 大矢 昌浩

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2009年8月4日(火)

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 中国最強の国営物流企業とされるコスコグループ(COSCO=中国遠洋集団)の「融資物流」が2006年にサービスを開始して以降、急ピッチで拡大している。2008年12月期の融資実績は前期比約5割増の310億元(約4340億円)。今期も大幅な増加が見込まれている。

 在庫を担保として、中国から海外に製品を輸出するメーカーや商社に調達資金を提供するほか、資材を輸入する中国企業に代わって、海外のサプライヤーに支払いを保証している。これから調達する在庫(同社では「未来在庫」と呼んでいる)をあらかじめ担保に設定することもできる。

 融資物流を実施するためにコスコと、中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行の現地3大銀行を含む13行が手を結んだ。銀行が資金と決済機能を提供、コスコが荷主企業の与信を管理して担保を保全する。

物流会社が銀行と一緒にビジネス

 コスコは融資先荷主の日々の在庫変動をウオッチし、在庫量が基準ラインを割った場合には荷主と金融機関の双方に警告を発する。これに応じて荷主は必要な在庫を積み増す、あるいは銀行が与信枠を修正する。万が一の場合は、コスコが出荷を停止して銀行に代わって在庫を差し押さえる。

 同じ仕組みが日本でも立ち上がっている。在庫や設備、売掛債権を担保にした資金調達を「動産担保融資(ABL=Asset Based Lending)」と呼ぶ。金融庁によると日本の地域金融機関が実施したABLの融資残高は2007年度で3133億円に達している。その約半分が在庫を担保にしたものだ。

 都市銀行や政府系金融機関、ノンバンク分まで含めると、日本におけるABLの融資残高は既に1兆円規模に上っているとの見方もある。さらには「今後数年内に10兆円近くに達するだろう」と、金融機関のABL事業を支援するトゥルーバグループホールディングス(東京都千代田区)の小野隆一社長は予測する。

 米国ではABLの融資残高が2007年で5450億ドル(約51兆7750億円)に上り、米国企業の総借入残高の約20%を占めるに至っている。これに対して日本はABLの融資残高を1兆円と見積もっても、まだ0.25%に過ぎない。それだけ伸びしろは大きい。

 日本の銀行融資は、これまで不動産と経営者の個人保証を頼みとしてきた。しかし、企業資産に占める不動産の割合は、平均で3割程度とされる。社歴の浅い企業の場合は、それよりもずっと低い。そのため、十分な返済能力を備えている場合でも資金調達は容易ではなかった。

 ABLがその突破口になることを期待されている。これまでのところ、ABLの金利は一般の銀行融資に比べて高めに設定され、融資期間も短期のつなぎがメーンとなっている。それでも事業の拡大ペースに資金調達が追いつかない成長企業には有力な資金繰りの手段になる。今後、制度が普及していくことで金利も下がってくることが予想される。

 銀行はABLを通じて将来有望な取引先を囲い込むことができる。在庫分だけ融資限度額を引き上げることで、従来の銀行基準でははねられていた資金ニーズに対応できる。融資担当者の裁量が広がり、現場の士気も上がる。

臭いで陳列時間が分かる

 在庫の時価評価と保全が制度普及のカギを握る。その方法の1つとして、NPO法人(特定非営利活動法人)の日本動産鑑定(東京都中央区)では、「動産評価鑑定士」と呼ぶ専門家を育成し、金融機関の要請に応じて現場に派遣している。ディスカウントストアのドン・キホーテのノウハウが、そのベースになっている。

 ドン・キホーテが販売している商品のうち約6割は定番品で、メーカーや問屋などの通常ルートで調達している。残りの約4割はスポット品で、同社に持ち込まれた在庫処分品を中心に「目利き人」と呼ばれるバイヤーが買い取り価格を査定して仕入れている。

 日本動産鑑定の久保田清理事長の前職はドン・キホーテの取締役。埼玉銀行(現りそな銀行)で30年近く銀行マンとして勤務した後、ドン・キホーテに出向になり、そこで目利き人たちの持つノウハウを目の当たりにして、その可能性に気がついた。

 「銀行マンに在庫の時価評価などできない。しかし、ドン・キホーテの目利き人たちならそれができる。彼らは自分の担当する売り場の仕入れから販売までを1人で手がける商店主。しかも実績がすべてという徹底した実力主義を生き抜いてきた人たちだ。素人が見れば驚くような動産鑑定能力を持っている」と言う。

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