「逆風の企業戦略」

創業200年の老舗企業が航空会社を作った理由

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2009年8月3日(月)

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 大小問わず経営不振に喘ぐ航空業、減便などその煽りを受けて赤字に苦しむ地方空港。逆風が吹きすさぶ地方の空に、真新しい翼が飛び立った。7月23日に初就航を迎えた、フジドリームエアラインズ(FDA)だ。

FDAの1号機。2号機はブルーで、今後増えるたびに違うカラーで彩っていく
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 FDAの拠点は6月4日に開港したばかりの「富士山静岡空港」。路線数は、九州の熊本、鹿児島両空港と、石川県の小松空港の3路線。一足早く国内線を就航させた日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の各2路線を超え、静岡空港ベースで最多路線を誇る。

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 このFDA、県からの出資も、地元経済界各社からの出資も受けていない。単独出資で設立したのは、総合物流業を営む、鈴与である。

 駿河国清水湊で船舶による物流業「播磨屋」を初代が創業したのは、200年以上前の江戸時代。陸揚げや倉庫管理など、港湾物流を主な生業とする老舗企業だ。今では、ガソリンスタンドやJリーグ球団の清水エスパルスの経営を手がけるなど、根を張る静岡で八面六臂の活躍を見せている。

鈴与の会社概要
創業 1801年(享和元年)
資本金 10億円(非上場)
単体従業員数 1061人
単体売上高 937億5800万円(2008年8月期)
単体経常利益 ▲12億6500万円(同、主にリース事業の減価償却による)
主な子会社 鈴与海運、鈴与商事(石油、ガス、建築資材などの卸売り)、鈴与オイルサービス(ガソリンスタンド)、鈴与建設、清水食品(缶詰やレトルト食品)、エスパルス

 だが、空の仕事は初めての門外漢。北海道国際航空(エア・ドゥ)が民事再生に、スカイネットアジア航空が産業再生機構入りに追い込まれるなど、ただでさえ新規参入には厳しい現実が待ち受けている。なのに、なぜ、果敢にも単独出資でアゲインストの空に挑むのか。

 初代から数えて8代目となる鈴与グループの総帥、鈴木与平社長が語る。


鈴木 与平(すずき・よへい)氏
1941年8月、7代鈴木与平前会長の子息として生まれる。社長は世襲制で、代々、与平の名を継いでいる。県立静岡高校卒業後、慶応義塾大学経済学部に入学。65年同学部卒業、67年東京大学経済学部卒業、鈴与に入社。77年社長に就任。1995年静岡鉄道取締役に、98年エスパルス(Jリーグ球団)会長に、2001年静岡朝日テレビ取締役に、2008年フジドリームエアラインズ社長に就任
(写真:廣瀬 貴礼)
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 ―― 全国で98番目、「最後の地方空港」と言われる静岡空港が開港するまでには、さまざまな紆余曲折がありました。県が現在の場所での空港建設を決めたのが1987年。96年に用地買収が始まりましたが、反対派の運動に悩まされ、計画から20年以上が経っての開港です。最初から「静岡空港=航空参入」という考えだったのでしょうか。

 鈴木 いや、そんなことないですよ。僕らも最初からここまでやる気は全くなかった。最初は、せっかく飛行場ができるから、何か仕事はしたいなと。夢みたいな話だけど、プロペラ機で伊豆大島や八丈島あたりに静岡から行けたらいいな、なんて酒飲み話はしましたけど、その程度です。

 ―― それが、具体的な話になっていったのは。

 鈴木 先般お辞めになった石川(嘉延前静岡県知事)さんの3選目、「空港建設は是か非か」というのが焦点になった2001年の知事選で、石川さんが100万票以上の票を得ました。県民がゴーサインを出したわけですよね。そこから、我々も何をしたらいいかという具体的な議論を始めました。

最初はあまり考えていなかった航空参入

 鈴木 でもやっぱり時間がかかるんですよ。空港はできるけれど、滑走路が短いし夜間も飛べないから、貨物は無理だろうとかね。お手伝いはするかもしれないけど、大した部分ではないという感覚でした。

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逆風の企業戦略

帆船は、真正面から風が吹いたら押し戻されて逆戻りするしかないのか? もちろんそんなことはない。だったら、歴史は別の進み方をしただろうし、大航海時代など訪れなかったかもしれない。逆風には「間切り」で立ち向かうことができる。ただし、追い風と異なり、船長、船員たちの上手下手がはっきり現れる。荒天強風の中、風上へと進みゆく企業の戦略を紹介する。

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