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何のために働くのか?

職安通いする元エリート部長の“真実”

2009年8月6日(木)

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 信じられない話を風の便りに聞くことがある。知人のA氏のこともそうだった。昔、仕事でお世話になったことがあるA氏が、職安に通っているという。大手商社の部長で、エリート街道を歩いてきたA氏に、いったい何があったのか――。

 今回は、A氏の事例を参考に、ミドルたちの切ない“真実”について、話をしようと思う。今回お話しするミドルの年齢は、アラフォーから40代後半も含むと考えていただきたい。

 本題の前に、まず皆さんに1つ質問。
 『あなたは、なぜ働いているのですか?』

 「そりゃ、お金でしょ。生活しなきゃならないんだからさ」
 これは実に正直な回答だ。労働の対価としてのお金を得ることで、私たちの生活は成り立っているのだから、「お金のために働く」とは、当然、かつ、全うな意見である。

 では、続けての質問。
 『3億円の宝くじが当たったとしたら、あなたは仕事を辞めますか?』

 「う~ん、辞めはしない。趣味程度で小遣い銭稼ぎくらいに働く」
 そりゃそうだ。このご時世、そんな大金を手にしても、仕事を辞める勇気はちょっとない。そこで今の6掛けくらいの力で仕事をする。生活の最低補償額を稼ぐことができれば、それでいい。

 だったら、
 『生涯、全く働かなくても、何不自由なく暮らせるだけのお金があったとしたら、あなたは仕事を辞めてしまいますか? それとも、働き続けますか?』

 「金はある。だったら、働かない」と果たしてなるだろうか。もし、働いているのが、本当に「お金のため」だけならば、「仕事を辞める」と、当然答えるはずだ。

 ところがこれと全く同じ質問を、以前、ある調査機関が行ったところ、その調査に参加した労働者の全体の約7割が、「働き続ける」と答えている。

 「いや、俺は辞めるよ。だって、お金あるんでしょ? 働く理由どこにもないし…」

 そう言う人でも、きっと、おそらくきっと、いやいや必ず、働くことになる。数週間、数カ月、どんなに長くとも1年もしないうちに、ほとんどの人が「働きたい」と思うようになるはずだ。

 なぜなら、「仕事=お金」だけではない、からだ。

「成長したいという願望」から大学院に進学

 実は前述のA氏は、仕事にお金以外のものを求めた結果、職安通いを強いられることになってしまったのだった。

 「40を過ぎた頃くらいですかね。ちょっと勉強したくなったんですよ。それで社会人を受け入れている私立の大学院の試験を受けて通ったんです。会社には内緒でしたし、仕事をしながらだったんで、卒業するのに時間がかかりましてね。結局、1年の予定が大学院に在籍できるギリギリの3年間かかってしまいました」

 突然、電話をかけてきたA氏は、こう話しはじめた。彼もまた、私が職安に通うA氏を心配していたことを風の便りに聞き、連絡をくれたのだった。

 「それで自分が学ぶと、アウトプットしたくなるでしょ? 僕も大学院で学んだことを生かして、後輩たちともう一度汗を流したいって思って、会社を辞めることにしたんです。そのまま会社にいたのでは、なかなかできるポジションではなかったんでね。残りの人生で、もうひと踏ん張りしたいと思ったんです」

 自分のやってきたことに対する確固たる裏付けが欲しくなる、とでもいうのだろうか。A氏のように、40前後、あるいはそれ以上の人たちが「もう一度学びたい」と大学院やオープンカレッジに通うケースは増えている。

 彼は、自分の「成長」を求めて大学院に進学し、その成長を実践で確認するために、自らの意志で新天地を求め、会社を辞めた。「職安に通っている」と聞き、てっきりリストラされた、と思っていた私は、少しだけホッとした。

 成長したいという願望。これは、誰もが生涯持ち続ける、人間の欲求である。

 特にA氏のようなミドルたちは、中期キャリアの危機に遭遇することで、余計に成長したいという願望を募らせる。

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「何のために働くのか?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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