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「次の内閣」の物流行政を読む

規制緩和の揺り戻しで、現場の風景は一変

  • 大矢 昌浩

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2009年8月11日(火)

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 民主党「次の内閣」で国土交通大臣を務める長浜博行参議院議員は「50年間続いた自民党政権の呪縛から日本の国土交通を解放する。これまで国民に知らされることのなかった負の遺産を白日の下にさらし、一つひとつ解きほぐしていく」という。

 ここで言う国土交通の“負の遺産”とは、自民党に食い物にされてきた道路予算や、全国に乱立させた地方空港・港湾などインフラ投資のムダ、政治家と官僚と事業者の3者もたれ合いが招いた産業の停滞、その結果としての国際競争力の低下を指すのだろう。

空も海も沈む

 日本の物流の国際競争力は、この10年間で無惨なまでに劣化した。1995年までアジアナンバー1の貨物輸送量を誇っていた成田空港は、まず香港にその座を明け渡し、韓国の仁川に追い抜かれ、2007年には上海の浦東にも負けて、現在はアジア4位に転落している。

 海上輸送網の軸となるハブ港湾も日本から消えた。日本の主要港のコンテナ取扱規模は今では、シンガポールや中国(上海、香港、深センなど)、韓国(釜山)、台湾(高雄)より、ヒト桁も小さい。マレーシア(ポートケラン、タンジュンペラパス)やタイ(レムチャバン)の後塵まで拝している始末だ。

 日本の港に寄港する基幹航路の便数は年を追うごとに減少している。そのため、荷主企業は日本で生産した製品を北米や欧州に輸出するのに、いったんほかの国のハブ港まで輸送して大型船に積み替えなければならない。それだけリードタイムとコストがかさむ。ハブ港の存在は、その地域の輸出競争力に大きく影響するのだ。

 中国はもはや別格としても、経済規模で日本よりはるかに劣るアジアの新興国に、なぜ物流で負けるのか。

 原因の1つは政治家の利益誘導だ。アジアの物流強国はいずれも国策としてハブ港に投資を集中させている。ところが、日本は政治家たちがそれぞれ自分の地元に国の社会資本整備費を呼び込むことに奔走し、投資が分散した。それによって国が衰退しようとも、身内が潤えば政治家は自分の立場を守ることができる。

 省益を優先する国土交通省の罪も重い。管轄する事業者を保護して、その見返りに天下り先を確保する。既得権を維持しようとするあまり、利用者不在、荷主不在の政策をずっと続けてきた。

 実際、航空貨物や港湾事業者の業績は、昨年のリーマンショック前まではずっと堅調だった。日本の空港や港湾の相対的な地位は低下しても、国際貨物の絶対的な物量はグローバル化によって増えている。新規参入を規制することで、既存の事業者はその恩恵を丸ごと享受できた。

 割を食っているのは、物流サービスの最終的な利用者である荷主企業、ひいては国民だ。利便性の低いサービスと割高なコストの負担に加え、日本の立地競争力が低下したことで、荷主企業は生産拠点を海外シフトさせた。国内の雇用が必要以上に失われた。

 一部の事業者の既得権を守ることが国益に反することは、政治家や官僚だって承知している。しかし、そこにメスを入れれば反発は必至で、改革が成功しても評価はされない。政治家は選挙に勝てず、中央省庁は自らの権益を失う。そのために国家としての戦略性を欠いた物流行政が横行してきた。

 今回の衆院総選挙で民主党は、抜本的な霞ヶ関改革を公約に掲げている。中央省庁の政策立案・決定機能を官僚の手から政治に戻すという。「おそらく霞ヶ関はいったん滅茶苦茶に混乱するだろう」と長浜議員。それでも従来の体制をいったん破壊することが必要という判断だ。

既得権益剥奪で、競争力は低下?

 民主党が政権を取れば、縦割り行政の弊害が是正されることは期待しても良さそうだ。役人の天下りは減り、業界関連団体から自民党に流れていた政治献金もストップするだろう。政官業のトライアングルが崩れる。

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