みなさんと一緒に見てきた、社長の話を分かりやすくするために社長が解決すべき5つの問題も、今回が最後の5番目となりました。
コラムの第1回を読んでいただいた方から、こんなコメントをいただきました。
「私の勤める会社でも社長の話を本気で聞いている一般従業員(非管理職層)はいません。なぜなら、言っていることとやっていることが一致していないからです」
いくら立派な理念を掲げていても、言っていることとやっていることが違っていたとしたら、社員は何を信じればいいのか、戸惑ってしまうでしょう。結果として、理念は単なる“絵にかいた餅”になってしまいます。それは働く社員にとっても、お客様にとっても不幸なことです。
「社長が解決すべき5つの問題」の最後は、(5)理念と、目標・評価がつながっていない・・・【日常とのギャップ】の問題です。
1.「前回までの内容はだいたい覚えている」という方は、このまま読み進めてください。
2.「このコラムを初めて読む」または「前回までの内容を忘れてしまった」方は、こちらの記事一覧からご覧ください。1つのコラム当たり、5〜10分程度でお読みいただけます。
部長は、社長の「空気を読んだ」つもり
あなたの会社では、社長が「お客さまのニーズを最優先しましょう」と言っているのに、部長や課長は「お客様も大切だが、数字(目標数字)がいかなければ意味がない、とにかく数字だ」と言っていたりしませんか。
会社にもよりますが、社長の多くは本心から「お客さまのニーズを最優先しましょう」と思っているのです。しかし部長や課長は数字優先を指示し、現場の社員は、目の前にある数字の達成だけを求められています。
なぜこうなってしまうのでしょうか。理由は2つあります。
1つは、部長や課長といった社長と社員の間に入っている人が、社長の本心をしっかりと把握しないまま、よかれと思って自らの判断で動いていることです。
全社総会で、社長が「お客さまのニーズを最優先しましょう」と力説したとします。社員は、「そうか、うちの会社はお客様第一主義なのだな」と、いったんは信じようとするでしょう。ところが部門に戻ると、部長が全員の前で今月の売上目標数字を発表しながら、こう檄(げき)を飛ばすのです。
「社長は、表向きお客様を最優先しようとおっしゃっていたけれど、数字がいかないとみなさんの給料も払えないのはわかりますね。お客様も大事だが、現場としてはその辺の空気をちゃんと読んで、われわれと会社の幸せのために絶対に数字を達成しましょう!」
その瞬間、社員の誰もが現実に引き戻され、社長の言葉を忘れてしまいます。いったんは社長の言葉を信じようとした社員も、「信じた自分が馬鹿だった」と不信感を募らせることになります。
部長に悪気はありません。彼の檄は、与えられた売上目標を絶対達成するのだという使命感からです。彼は本気で必達しようと思っていますし、そうやって築いたこれまでの実績を会社が認めたからこそ、彼は部長にまで昇り詰めたのです。
すでにお気づきのように、社長の思いとは全く違う方向に会社は動き始めています。
果たしてこれらの原因は、部長や課長にあるのでしょうか。いいえ、原因の原因(= “真因”)は社長にあります。社長が、理念に対して持っている“強い意思”を部長や課長に伝えられていないのです。それと同時に、理念と数字との関係をわかりやすく説明できていないことが問題です。
なぜ社長が、理念と数字との関係を伝えられていないのか。これが先ほど書いた2つの理由の、もう1つの理由につながっていきます。
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1986年東京大学卒、同年リクルート入社。人事部を経てHR事業部へ。大手から中小まであらゆる規模、あらゆる業種の企業を対象に、採用・組織作りやブランド構築を支援する。全社表彰、MVPほか各賞を受賞。その後マーケティングの新規事業立ち上げに参画、軌道に乗せて2002年に退職。期間限定でベンチャーの立ち上げに参画した後、2003年9月に企業理念の共有浸透を専門とするコンサルティング会社、ブライトサイド コーポレーション(正式名称ブライトサイド株式会社)を設立、現在に至る。

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