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episode:22
「この社会では、有能な人や善良な人だって、不幸にならないとは限らない」

  • 阿川 大樹

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2009年8月18日(火)

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前回までのあらすじ

12年ぶりに大日本鉄鋼に戻った旭山隆児(あさひやまりゅうじ)の新部署、第三企画室の出社禁止期間が明けた。風間麻美(かざまあさみ)と楠原弘毅(くすはらこうき)の話を元にビジネスモデルの検証を始めた3人。そこにガレージ村の知己である堂本から、風間麻美に電話が入った。表情を曇らせる麻美に、旭山はビジネスとして現場に行くようアドバイスする。

 茅ヶ崎駅からタクシーに乗り、ついたのは別名「秘密基地」。バイクツーリングの途中、千葉の漁港で出会った堂本さんの「ガレージ村」だ。

画像のクリックで拡大表示

 タクシー代の釣り銭をしまいながら踏み入れた敷地にパンプスの踵が沈む。前に来た時はオートバイだった。オフィスからそのまま出てきた自分がどうもこの場所にフィットしない。まるで勝手の違う場所のように感じられる。それがなおさら心を重くする。

「こんにちは」

「ああ、風間さん、わざわざ来てくれたの? うれしいなあ。でも仕事大丈夫なの?」

「いえ、その、たまたま外回りだったので」

 そういえば千葉で堂本さんに会ったときも、休みだと嘘を言ったんだった。

「見違えるようだねえ」

 堂本さんの声に、ガレージ村の人たちが一斉に顔をこちらに向ける。

 それは好奇の視線であり、健全な性的な興味を含んだ視線ではあるけれど、不愉快ではなかった。彼らは麻美のことを女と認めながらも、それ以上にバイク仲間として受け入れていたし、多分、風間麻美という女よりも自分のオートバイの方が好きだとわかっていたから。

「仕事の途中ですから」

〈見違える〉というのを褒め言葉と受け止めて麻美は照れた。作業用のツナギ姿の男たちの前に、スカートで立つのはどうも落ち着かない。

 土曜日のメンバーが今日も揃っていた。

 幸福なリタイアメントをした人たち……。

 家族を持ち、家を建て、定年まで勤め上げ、退職金を満額もらって、今では趣味のバイクガレージに入り浸っている。

 彼ら自身は〈未曾有の不景気〉に遭遇する前に経済の荒波から脱出した「勝ち組」に違いない。だが、彼らのメンバーの一人ともいうべき職人の津久井さんにピンチが訪れていた。

 津久井さんが勤めていた小さな町工場は、昨年以来仕事が減っていた。ガレージ村にとって、それは都合のよいことであるはずだった。仕事のない日に、腕の立つ津久井さんがガレージ村、でどんな部品でも作ってくれる。それまで、部品が手に入るまで何か月も滞ることのあったバイクのメンテナンスが、飛躍的に自由になった。

コメント6件コメント/レビュー

雇用保険は、金額が小さくたいした負担にはならない。社会保険(健康保険料を含め)は、年2回其れも税金などと一緒の時期に請求が来る。資金繰りの悪いときの企業にとって、ものすごい負担感がある。収めなくて良いのなら、収めないだろう。更に倒産したときの中小企業の(上場企業等の大企業とは別)社長は、サラリーマンには想像できない位惨めな状況に追い込まれる。全財産が無くなり、勿論失業保険もない。しかも破産でもすれば、銀行取引すら出来なくなる。毎日多数の中小企業の倒産が発生している。雇用問題が、社会問題になっているが、真面目に一生懸命やっている中小企業を本気で救済しなければ解決できないと思うのだが。(2009/08/19)

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雇用保険は、金額が小さくたいした負担にはならない。社会保険(健康保険料を含め)は、年2回其れも税金などと一緒の時期に請求が来る。資金繰りの悪いときの企業にとって、ものすごい負担感がある。収めなくて良いのなら、収めないだろう。更に倒産したときの中小企業の(上場企業等の大企業とは別)社長は、サラリーマンには想像できない位惨めな状況に追い込まれる。全財産が無くなり、勿論失業保険もない。しかも破産でもすれば、銀行取引すら出来なくなる。毎日多数の中小企業の倒産が発生している。雇用問題が、社会問題になっているが、真面目に一生懸命やっている中小企業を本気で救済しなければ解決できないと思うのだが。(2009/08/19)

いつも楽しみに拝見しいる中年ライダーです。すいません「海外青年協力隊でアフリカにいったものもいる。」正しくは青年海外協力隊です。OBなもので…。(2009/08/19)

意外な方向に話が進みました。町工場が潰れて社長や従業員が路頭に迷う。不景気によくあるつらい光景ですがどうするんでしょうかねぇ???(2009/08/18)

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三品 和広 神戸大学教授