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NFLの最強モデルが壊れる時(上)

労使の決裂が招く危機

2009年8月20日(木)

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 「米国で最も成功しているスポーツビジネス」と評される米プロフットボールリーグ(NFL)。観客動員数やテレビ視聴率、チーム資産価値などいずれの指標において、大リーグなど他のプロスポーツを大きく引き離して“独走状態”にあるのは、すでに『格差の徹底排除で成長するNFL(上)~「競い合うのは試合の3時間だけ」の共存共栄モデル』で詳しく解説しました。

 ところが、ここにきてNFLの史上最強ビジネスモデルが崩壊の危機に瀕しています。

 事の発端は、昨年5月のこと。米アトランタで開催されたオーナー会議で、リーグ機構側が32対0の全会一致で、選手側と取り決めた労使協定を「早期離脱(オプトアウト)」することを決めたのです。リーグ側は、この決断の理由について、「現行の労使協定は選手に有利で、経営を圧迫するため」としています。

 磐石の経営を続けてきたNFLに、一体何が起こっているのでしょうか?

違法スレスレの最強モデル

 米国スポーツビジネス界では、「優勝の行方が分からない状態を長く続ける(結果予測不確実性を高める)」ということが、スポーツを盛り上げる上で必須だと言われています。その実現には、各チームの経営資源をコントロールし、圧倒的に強いチームが出現しないように、戦力バランスを均衡させることが必要です。

 スポーツビジネスにおける経営資源とは、主に「選手」と「カネ」を指します。「選手」については、主にドラフト制度と移籍制度(フリーエージェント)によって、「カネ」については収益分配制度や年俸制限(サラリーキャップ)によって、チーム間の戦力が均衡するようにリーグが管理します。戦力が拮抗すれば、接戦が増え、結果予測不確実性が高まるからです。

 特にNFLは、こうした経営資源の管理を厳密に行い、チーム間の戦力格差を徹底的になくすことで大成功してきたわけです。まさに、「競い合うのは試合の3時間だけ」とも言われる共存共栄の最強モデルを作り出したのです。

 しかし、「全チームの共存共栄」という大義名分のもとで実施される「管理」は、選手やチームの権利を犠牲にして成り立っています。大学生選手を指名するドラフトでは、前年の成績が悪かったチームから指名権が与えられます。弱いチームに優秀な若手を割り振って、戦力を均衡させるためです。

 しかし、例えば、あなたが就職活動中の大学3年生だったとしたら、こうした制度を歓迎できるでしょうか。あなたの成績は抜群で、多くの企業が評価しています。でも、業界の最下位に低迷する企業が、あなたの意志と無関係に、あなたを指名し、それに従うしかないとしたら…。しかも、就職先では6年以上勤務するまで転職が禁止されています。給与の上限さえ決められているのです。

 それでも、あなたが入社して孤軍奮闘し、傾いていた企業が一転して爆発的に成長したとします。さて、あなたは、その貢献分のマネーを手にすることができるでしょうか。そうはいかないのが「共存共栄モデル」です。今度はチームが、「業績が悪い企業が倒れないように、利益を分けてあげろ」と言われるのです。

 このような「管理」は、資本主義社会を標榜する米国では、まず見られません。当然、あなたと同じように、こうした管理を快く思わない選手やチームが過去に存在し、裁判が起きました。実際、米国プロスポーツにおける厳しい管理は、裁判所による多くの判決を経て、今の仕組みに収まってきたのです。

 例えば、ドラフト制度は1936年にNFLが最初に導入した制度ですが(大リーグは64年、日本プロ野球機構は65年に導入)、78年にNFL選手により反トラスト法(日本の独占禁止法に当たる)訴訟を起こされています。

コメント1件コメント/レビュー

2011年からサラリーキャップを撤廃を見越した契約も既に現れ始めています。サラリーキャップ問題に関してはこれまで労使交渉に好影響をもたらしていた選手会側のアップショーが亡くなったことは相当痛手だったと思います。また、少し話はずれますが、新人契約時のサラリー高騰も問題と思います。実績も何もない新人に対して40億円が保証されているのはどうかと思います。そしてこれまでのNFLコミッショナーはかなり優秀な方ばかりでしたが、現コミッショナーを見ると・・・NFLの将来は明るいとはいえないかもしれません。(2009/08/20)

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「NFLの最強モデルが壊れる時(上)」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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2011年からサラリーキャップを撤廃を見越した契約も既に現れ始めています。サラリーキャップ問題に関してはこれまで労使交渉に好影響をもたらしていた選手会側のアップショーが亡くなったことは相当痛手だったと思います。また、少し話はずれますが、新人契約時のサラリー高騰も問題と思います。実績も何もない新人に対して40億円が保証されているのはどうかと思います。そしてこれまでのNFLコミッショナーはかなり優秀な方ばかりでしたが、現コミッショナーを見ると・・・NFLの将来は明るいとはいえないかもしれません。(2009/08/20)

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