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対話ができていてこその、デジタルなやりとり

デジタルとアナログ、使いこなしのコツ

  • 常盤 文克

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2009年8月31日(月)

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 IT(情報技術)が大きく進化し、コミュニケーションのあり方は大きく変わってきました。簡単なやり取りは電子メールが主役になりましたし、人に会わずに仕事が成り立つことも少なくありません。

 情報のやり取りは確かに高度化され、見かけ上は緊密になりました。しかし、本当に重要な情報が、はたしてどれだけ共有できているのでしょうか。ITを活用したデジタルなコミュニケーションの増大の裏側で、顔と顔を突き合わせた対話を通じたアナログなコミュニケーションは、間違いなく減少しています。極端なデジタル化が、我々の仕事への意欲や活力を弱めているのではないか――と心配しているのです。

 人と人との間に対話、できうれば豊かな心の通う対話があって、そのうえで初めて、高速でゆらぎのないデジタルな情報のやり取りが意味を持ってくるのではないでしょうか。

 そこで今回は、改めてデジタル時代のコミュニケーションのあり方について、考えてみたいと思います。

「共有」こそコミュニケーションの本質

 コミュニケーションの語源はラテン語の「communis」で、英語の「common」につながります。この意味は「情報を伝達することで他人とその情報を共有する」ことです。つまり、情報を「共有する」ことがコミュニケーションの本質だといえます。共有ですから、そこには2人以上の当事者があり、一方通行はあり得ないのです。

 ところが、最近のデジタルなコミュニケーションは、必ずしも情報が共有できているとは言えません。例えば、電子メールでの一方的な情報伝達は、送りっぱなし、受けっぱなしになりがちです。受け手に情報が届いていたとしても、それで送り手の意図が本当に伝わっているかどうか分かりません。これでは一方通行であり、コミュニケートしているようで、実はしていないのではないでしょうか。

 それに文字や数字、記号だけのコミュニケーションでは、送り手と受け手の微妙な感情や「空気」を伝えることも、判読することも難しいでしょう。その結果、気持ちの行き違いが起きることも少なくないはずです。

 上述のように、本来のコミュニケーションは、発信者と受信者で情報を共有することに意味があります。伝達の手段がどれだけ進化しても、その出し手と受け手の情報の共有、そして心の結びつきがなければ、本当の意味で進化したとは言えません。よく「もっと情報を発信せよ」との声を聞きますが、受け手の顔が見えないまま発信することにどれだけ意味があるのでしょうか。

伝達速度は遅いが、「密度」が高いアナログな対話

 真のコミュニケーションには、人と人が向き合って話すアナログな対話が欠かせません。この対話には、実は目に見えない大きな力があります。わずかな顔の表情や声音の変化、また身振り手振りなどで、言葉には表せないお互いの思いや感情を伝えることも、読み取ることもできるからです。人間がつくり出した最高のコミュニケーションツールだとも、能力だとも言えるでしょう。

 対話は人と人との結びつきを強くし、集団の一体感を醸成します。上司と部下のタテのつながり、仲間と仲間のヨコのつながりが強くなれば、そこに自ずとタテ・ヨコの「知の交流」が起こります。その知の交流こそが、新しい発想やモノを生み出す原動力になっていくのです。

 最近、人に軸足を置く経営が見直されていますが、その土台は豊かなコミュニケーションにあります。それには、社内の対話を活発にしなければなりません。「話す」のは時間を取るとか、労力がかかるとか、面倒くさいとか言いますが、この時間や労力は決して無駄ではありません。使うに値するものなのです。

 人は一人では生きられません。常にほかの誰かと関わって生きています。仏典に「衆縁和合」という言葉がありますが、いろいろな縁が絡まりあって人は生きている、という教えです。この「縁」と「絡まり」を創り出すのが、対話を通じたコミュニケーションなのです。

 デジタルなコミュニケーションに偏っていては、新しい発想やモノは生まれてきません。昔と比べて最近は、若い世代を中心に人と人との付き合い方が下手になっているように感じますし、もっと人付き合いに慣れることが必要だと思います。他人と接触しないでも仕事をするのは見かけ上は効率がいいかもしれませんが、いい仕事をするには、やはり人と人との触れ合いと対話が欠かせません。

 企業力とは何かと問われれば、その1つは企業の中での社員の「対話の密度」であると言えます。

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